ジョルジュ・ムスタキの Les eaux de mars 「3月の水」を訳しています。
最終回のきょうは ステイシー・ケント(Stacey Kent)のバージョンをご紹介します。
ステイシーはとてもチャーミングな声の持ち主です。
ステイシー・ケントについて
この方は1968年アメリカ、ニュージュージー生まれ。カレッジを卒業後、ロンドンに渡り、以来ここを拠点に活動しているジャズ・シンガーです。
そもそもヨーロッパに行ったのは、比較文学の研究のため、フランス語、イタリア語、ドイツ語を勉強したかったからだそうですが、今は歌手として成功。
世界中にファンがいます。とくに有名なのは作家のカズオ・イシグロ。
彼はアルバムにライナー・ノーツを書いたり、歌詞をいっしょに書いたりしています。
また、クリント・イーストウッドは70歳の誕生日に彼女を招待しました。
2009年にグラミー賞にノミネートされたほか、数々の章を受賞。
英語、ポルトガル語、フランス語で歌い、2010年に全曲フランス語のアルバムをリリースし、翌年パリでのライブアルバムを発表。
フランス語のネイティブじゃないので、外国人のフランス語アクセントが気になる方もいらっしゃるかも?
ちなみに私はそこまでフランス語耳になっていないので、気になりません。
とてもリラックスしたいい雰囲気に仕上がってると思います。
Les eaux de Mars - Stacey Kent
3分43秒
サックスを吹いている人はご主人です。
これまで書いた記事:
その1⇒歌と訳詞:3月の水~ジョルジュ・ムスタキ その1 歌詞はこちらで紹介しています。
3月の水、最後の2つのパッセージの訳詞
ステイシー・ケントの歌だと2分28秒ぐらいから。
ただし、彼女やほかの部分を繰り返して歌っていて、この歌詞どおりではありません。
一番最初だけ、歌詞を引用します。
3月の雪解け水ほか、この季節のものを並べている歌詞です。
C’est l’hiver qui s’efface, la fin d’une saison
C’est la neige qui fond, ce sont les eaux de Mars
La promesse de vie, le mystère profond
Ce sont les eaux de Mars dans ton cœur tout au fond
それは消えゆく冬、ある季節の終わり
それはとける雪、それは3月の水
生命の約束、大いなる謎
それはきみの心の奥に流れる3月の水
一歩、道のつきあたりにある石
残った根っこ、それはちょっとさみしい
一歩、石、続く道
残った根っこ、それはちょっとさみしい
単語メモ
s’effacer 消える
” … pedra é o fim do caminho
E um resto de toco, é um pouco sozinho … ”
この部分はオリジナルのポルトガル語です。
ポルトガル語はわからないので、Google翻訳を使いました。
何か、大きくはずしていたら教えていただけると助かります。
「3月の水」全訳詞
最後なので、私の和訳をまとめてご紹介します。
一歩、石ころ、続く道
少しだけ残った根っこ、それは少しだけさみしい
それはガラスの破片、それは人生、それは太陽
それは死、それは眠り、それは半開きの罠
樹齢千年の木、木の節
それは吠える犬、それは宙を飛ぶ鳥
それは腐る幹、それはとける雪
大いなる謎、生命の約束
それは丘の頂上を吹く風
それは、古い廃墟、空白、虚無
それはガーガー鳴くカササギ、それは激しい通り雨
歓喜のほとばしり、それは3月の水
それは一歩ずつ、ゆっくり確かに進む足
それはつかまろうとする手、それは投げられた石
それは地面の穴、続く道
少しだけ残った根っこ、それは少しだけさみしい
それは宙を飛ぶ鳥、とまった鳥
水のまかれた庭、澄んだ水の泉
それは刺さったとげ、釘、あがっていく熱
それは損をしない計算、それは少し取るに足りないもの
魚、身ぶり、それは現ナマのよう。
それは人が待つものすべて、それは私たちがとどまっているものすべて
それは森、それは埠頭の端っこでの一日
それは密売酒、一番近い道
それはミミズクの叫び、眠り込んだからだ
走る車、それは泥、それはぬかるみ
一歩、橋、くわっくわっと鳴くヒキガエル
それは通り過ぎていく平底船、それは美しい地平線
それは雨の季節、それは氷のとける時期
それは3月の水、生命の約束
石、棒きれ、それはジョセフでそれはジャック
襲いかかってくる蛇、かかとの傷
一歩、石ころ、続く道
少しだけ残った根っこ、それは少しだけさみしい
それは消えゆく冬、ある季節の終わり
それはとける雪、それは3月の水
生命の約束、大いなる謎
それはきみの心の奥に流れる3月の水
一歩、道のつきあたりにある石
残った根っこ、それはちょっとさみしい
一歩、石、続く道
残った根っこ、それはちょっとさみしい
冬の終わり、春の始まりをイメージさせる自然の描写ですが、意味がわかったようで、よくわからない歌です。
全体的に、春になって、自然が再生する感じでしょうか?ただ、その1でも書きましたが、オリジナルのポルトガル語では、夏の終わり、冬の始まる時期を歌っています。
水のイメージが鮮烈だと思いますが、日本人にとっては3月は強い風でしょうね。
4月はまた新しい曲をご紹介します。
ステイシー・ケントの「3月の水」は2010年発売のRaconte-moi
というCDに入っています。
このCDは全曲、フランス語の歌です。
タイトルソングがYouTubeにありましたのでご紹介します。
raconte-moi は「私に話して」という意味です。
CDはこれ↓ 日本語のタイトルは「パリの詩」です
日本盤のボーナストラックの「残されし恋には」はこちらでご紹介しています⇒『残されし恋には』(Que Reste-T-Il De Nos Amours ?)歌と訳詞
こちらもとてもいい曲です。
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