20世紀のフランスを代表する歌手、ダリダの1980年代半ばのヒット曲、Pour en arriver là という曲を紹介します。
日本のアマゾンで調べたら、いろいろなコンピレーション・アルバムに入っているので、きっと日本でも人気のある曲だと思います。
「そこへ行くために」は、私の直訳で、邦題は知りません(調べましたがよくわからず)。どこへ行くかというと、歌手としての栄光の座とか、一人前の歌手として立つ舞台とか、そういうニュアンスだと思います。
私はいろいろなことを犠牲にして、たくさんの努力をして、歌手として成功したのよ、並大抵のことじゃなかったのよ、という内容です。
そこへ行くために
ミドルテンポなので聞き取りやすいです。
複合過去がたくさん出てくるので、復習できます。
それでは、訳詞に挑戦!
☆J’ai trop douté de tout
De moi de dire de vous
の de dire は、de Dieu の間違いだと思われます。
そこへ行くために・訳詞
☆できるだけ、前から訳しています☆
私は昼も夜も寝ないで働いた
そこへ行くために
雨の中なのに、暑く、太陽がふりそそいでいても寒い思いをした
そこへ行くために
恐ろしさに語りかけ、沈黙をだまらせた
何時間も化粧をし、日曜日を売り渡した
そこへ行くために
そこへ行くために
何度も泣いた、涙が枯れるほど
そこへ行くために
100回転んだけど、武器は落とさなかった
そこへ行くために
自分の人生を歩いたわ、自分の出番じゃないときも
終わりの言葉を告げてきた、ほとんどすべての恋に
そこへ行くために
そこへ行くために
☆そこへ行くために
何もかも、ずいぶん疑ってきた
自分も、神も、あなたも
置き去りにしてきた、子供の頃の夢はすべて
いま、私のこころは、ギリギリのところにある
そこへ行くために
私は信じてる、あなたと一緒なら、たとえ約束をしても、
後悔の影はささないんじゃないかと
そこへ行くために
もう一度、出発するわ☆
叫ぶことを学んだ、自分の心の中だけで
そこへ行くために
あなたに見せないために、人が私のことを非難しているところを
そこへ行くために
私は世界中をまわった、でも、何も見ることはできなかったのよ
その欠落は、あまりに深すぎて、私の鏡を汚しているわ
そこへ行くために
そこへ行くために
☆~☆繰り返し
そこへ行くために
私はよく忘れたのよ、切符を2枚買うことを
「私のことを待っていて」と言うことを
何もないところへ行くために
記憶の中においてきた、物語の始めを
そこへ行くために
私は信じてる、あなたと一緒なら、たとえ約束をしても、
後悔の影はささないんじゃないかと
そこへ行くために
もう一度、出発するわ
そこへ行くために
単語メモ
en arriver à qc/inf ついに~にまで至る
douter de ~を疑う
montrer qc/qn du doigt ~を指さす;~をあざける、非難する
nul 存在しない、無の、ゼロの;無価値の;最低の、ひどい
ダリダについて
ダリダ(1933-1987)は、エジプト出身の、イタリア系のフランス人です。
ティーンエイジャーのころは、モデルとして活躍したり、学校で行われた演劇に出たりして、わりと早い時期から、人前に出ることをしていました。
家が裕福ではなかったので、学校を卒業してからは、タイピストの仕事につきました。しかし、ずっと女優になりたいと思っていたようです。
まあ、とてもきれいな人ですから、そういう気持ちにもなるでしょう。
1954年にミス・エジプトに選ばれ、その後、パリに移りました。女優志望だったのですが、役が見つからないので、1956年に歌を歌い始めました。
歌手活動を始めて、わりとすぐ バンビーノという曲がヒットして、順調なすべりだしをしました。その後も、フランスだけでなく、イタリアや日本など、インターナショナルな歌手として、人気を集めました。
80年代はディスコソングを歌っていたし、ダリダはわりとなんでも歌いこなせる人なので、キャリアは順調だったと思います。
しかし、私生活はあまり幸せではなかったようです。恋多き人だったらしく、いろいろな人を好きになるものの、毎回あまりうまくいかなかった、というようなことが、伝記映画に出てきます。
この映画はいわゆる、人々がもっているダリダのイメージをそのまま描いているかと思います。
つまり、仕事は順調だったけど、その影でいろいろつらいことがあった。でも、いつも夢をもって歌い続けてきた、それがダリダだ、という感じです。
まあ、本当のところはわかりません。ですが、バックに流れる彼女の歌はみなよかったです。
ダリダは、54歳で亡くなっていますが、失恋が原因の自殺です。
■これまでに紹介したダリダの曲■
ダリダの Le temps des fleurs (花の時代):歌と訳詞
あまい囁き(Parole parole)、ダリダとアラン・ドロン(歌と訳詞)
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久しぶりにダリダの曲を紹介しました。
芸能界はシビアなところですから、いろいろつらいことがあるんでしょうね。
ダリダは、30年ほど、トップ歌手の座にいましたし、私生活の幸せより、歌をとったのでしょう。
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