犬が出てくるフランス語のことわざを紹介します。
犬と一緒に寝るものはノミとともに起きる。
Qui se couche avec les chiens se lève avec des puces.
犬と一緒に寝るものはノミとともに起きる
犬にはたいていノミがついているので、その犬と一緒に寝ると、ノミが自分のからだにもついてしまう、ということです。
もちろんこれは比喩で、人はつきあう相手の影響で、悪くなってしまう、という意味です。
たとえば、まわりがやたら残業をしている会社にいると、特に大事な仕事もないのに、自分もえんえんと会社で残業をするようになったり。
誰も挨拶しないような、コミュニケーションの乏しい会社にいると、自分もだんだん挨拶をしなくなってしまったり。
うわさ話ばかりしている奥さんたちのいる社宅に住んでいると、自分も毎日ゴシップに明け暮れたり。
書いているだけで、だんだん気持ちがネガティブになってきます。
人間は意外と自分が思うほど能動的に生きてはいないので、ついついまわりの影響を受けてしまうのですね。
いつも自分の尺度で生きているのではなく、まわりの尺度で相対的に生きる傾向が強いからです。
もちろん、逆に、まわりからよい影響を受ける場合もあります。
なごやかなクラスにいると、自分もだんだん明るくなったり。
親切な人ばかりいる会社にいると、自分もだんだん思いやりあふれる行動がとれるようになったり。
志の高い人の中にいると、自分もだんだん前向きになったり、といったことです。
よくわかる!フランス語の文法解説
★単語の意味
qui ~の人は
se couche < se coucher 寝る
avec ~と一緒に
chien 犬
se lève < se lever 起きる
puce ノミ
★直訳
「犬と一緒に寝るものはノミとともに起きる。」
★補足
複数の定冠詞«les»と複数の不定冠詞«des»
lesは特定のものをさしているので、les chiens は犬全部、あるいは一般に犬。
des pouces は複数のノミです。
似ている英語のことわざ
英語にも似た言い方はたくさんあります。たとえば、
Evil companions corrupt good morals.
悪い友だちはよいモラルを損なう。
Bad company corrupt good character.
悪い友達はよい性格を損なう。
日本語のことわざは「朱に交われば赤くなる」が該当します。
さて、あなたは犬のノミがついたなあと思うような経験がありますか?
私はあんまり周囲の影響を受けないほうなのですが、それでも今思いつくことが一つだけあります。
私は日本にいたときから薄化粧で、カジュアルで楽な服装が好きでした。会社でも「penさん、いつもTシャツ着てますね」と言われてました。
それが、カナダに来てからは、周囲のゆるい服装にすっかり染まり、いつもノーメイクで、超カジュアル路線になってしまいました。
夏場は運動靴ではなく、短パンにビーチサンダルをひっかけて学校へ行く小学生が多い土地柄です。
たまに日本に帰ると、母親に「もっと化粧をしろ」だの、「登山靴で栄(名古屋の繁華街)に行くな」などとうるさく言われます。
だた、これは、より自分らしく生きるようになっただけであり、ノミがついたとは言えないかもしれません。
フランス故事ことわざ辞典 田辺貞乃助 編 白水社 には次の三つが
「朱に交われば赤くなる」に相当するものとして採録されています。
De deux regardeurs, il y en a toujours un qui devient joueur.
博打を見るものは、二人に一人が必ず博打うちになる
Les mauvaises compangies corrompent les bonnes moeurs.
悪い仲間は善い習慣を悪くする
La mauvaise compagnie pend l’homme
悪い仲間は人を縊り殺す。
わるい仲間とつきあっていると、その悪に染まって悪の道に深入りし、遂には絞首台におくられるようになる。
Pen さんはどの本を参照してことわざを紹介されているのでしょうか、
お差し支えなければ教えてください
私はことわざは
・辞書
・インターネット
から適当に拾ってきます。
辞書は
・単語を調べていてたまたま見つけたらメモしておく。
・ある特定の単語から、この単語の使ってあることわざはないかなと探して、あればメモしておく。
インターネットはことわざを集めたサイトからことわざを見つけるか、
こういうことわざないかな、と思って、キーワードで検索をかけて見つけています。
たまたま見つけるのと、探して見つけるのと半々ぐらいです。
本は101 French Proverbs というのを先月買いました。ここからは、医者に行くより製粉所に行け、というのを書きましたけど、あんまりソースとしては使ってないです。
樋沼さんのお持ちのその本はことわざの辞典なのですね。
ご回答ありがとうございました。 インターネットの urlはお気に入りにいれておき、おりにふれて参照することにします。
樋沼さん、こんにちは。
わざわざ、コメントありがとうございます。
参考になればうれしく思います。