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『サラの鍵』(1)~映画の予告編のフランス語

Elle s’appelait Sarah (彼女はサラという名前だった)という映画の予告編をご紹介します。  ジル・パケ・ブレネール(Gilles Paquet-Brenner)監督の2010年の作品です。

先週までご紹介していた『優雅なハリネズミ』Le Hérisson と同じく、ベストセラーを映画化したものです。

『優雅なハリネズミ』(1)~映画の予告編のフランス語

日本でも『サラの鍵』というタイトルで公開され、話題になったので、ごらんになった方も多いと思います。

では、まず予告編をごらんください。

この映画の背景は、1942年7月パリで起きたユダヤ人の一斉検挙。その60年後、パリで生きるアメリカ人ジャーナリストジュリアと、つかまったユダヤ人少女サラの人生が交差します。

ですから、1分40秒のあいだに、現代と昔のシーンが入り混じっています。

では、スクリプトと和訳を書きます。



Elle s’appelait Sarah『サラの鍵』予告編

今回は36秒あたりまで。

Le principe de mon travail c’est d’échapper aux chiffres et aux statistiques pour redonner une réalité à chacun de ces destins.

Je n’arrive pas à m’empêcher de penser à ma fille à la place d’un de ces enfants.

C’est qui ?
C’est une petite fille que j’essaie de retrouver.

Police, Madame ! Ouvrez !
Vous allez nous suivre.

Vous voulez aussi emmener les enfants ?

Starzynski Wladyslaw, Starzynski Rywka, déportés et exécutés à Auschwitz en 1942. Pas de Sarah, ni de Michel.
Je suis sûre qu’ils se sont évadés.

私の仕事の本質はこのような数字や統計にとらわれず、彼らの運命がどうなったのか真実を知ることです。

この子どもたちの1人が、もし私の娘だったのなら、と考えずにはいられません。

この子、誰?
私が探している少女よ。

警察です、奥さん、開けてください!
私たちについてきてください。

子どもたちも連れていくのですか?

スタージンスキー・バリスタフとスタージンスキー・リンカは、アウシュビッツの強制収容所に入れられ、1942年に処刑されているわ。でもサラとミシェルは違う。2人は逃げおおせたに違いないわ。

スクリプトはこちら⇒Bande-annonce: Elle s'appelait Sarah

単語メモ

échapper ~からのがれる

redonner  再び与える

arriver à + inf. うまく~できる
Cet enfant arrive déjà à écrire son nom.
この子はもう自分の名前が書ける。

Je n’arrive pas à trouver mon stylo.
どうしても万年筆が見つからない。

à la place de ~の代わりに
J’ai invité Paul à la place de Jean.
ジャンの代わりにポールを招待した。

déporter 強制収容所に送る
Les nazis déportèrent des juifs par millions.
ナチスは数百万のユダヤ人を強制収容所に送った。

s’évader 脱走する、逃亡する

ミシェルというのはサラの弟です。警察がやってきたとき、2人は同じベッドに寝ており、ドアをドンドンとたたく音に飛び起きます。

サラは捕まった時、弟を秘密のクローゼットに隠して鍵をかけました。原作や映画の英語のタイトルは Sarah’s Key となっているのはそのためです。

この続きはこちら⇒『サラの鍵』(2)~映画の予告編のフランス語



ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件

第二次世界大戦中の1940年から1944年、フランスはヴィシー政権。パリはドイツに占領されていました。

1942年の7月16日、17日に、ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(Rafle du Vélodrome d’Hiver 通称:ヴェル・ディヴ事件 Rafle du Vél’ d’Hiv)が起こります。パリにいた大量のユダヤ人が一斉に検挙されたのです。

Vélodrome d’hiver は冬の競輪場という意味で、検挙されたユダヤ人はまずここに集められました。ここで飲まず食わずで数日過ごし、その後各地の強制収容所に送られたのです。

この検挙の主な目的は、外国から避難してきた無国籍のユダヤ人を検挙するものだったそうです。

2日間で検挙されたユダヤ人はおよそ1万3000人。そのうち子どもがおよそ4000人。終戦まで生き延びたのは、大人100人弱とのこと。

パリでユダヤ人の大量検挙があったことは、日本ではあまり知られていませんが、フランスでも、35歳以下の若者の半分ぐらいは知らないそうです。

というのも、この事件はフランス人の歴史にとっては汚点ですから、あまり語られなかったのです。大量のユダヤ人を検挙したのは、ドイツ兵ではなく、フランスの警察官なのですから。

「ヴィシー政権は本当のフランスではない」という考え方が強く、歴代大統領はその責任を認めたり、この件にふれることに消極的でした。

1995年に、初めてシラク大統領がこの事件について謝罪しました。

守るべき国民を敵の手にゆだねてしまって申し訳なかったと。

また、2012年、この事件から70周年の式典で、オランド大統領も謝罪しています。

★関連書籍ご紹介★
原作です。

オーディオブックあり。

翻訳版。

DVDです

いかがでしたか?

この映画では、アメリカ人ジャーナリストジュリアは、サラの生涯を追うことに夢中になります。

というのも、自分が住んでいるアパート(もともとは夫の祖父母のものだった)が、サラ一家が住んでいたアパートだったからなのです。






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