秋のモンスーリ公園

フランスの暦、年中行事

歌と訳詞:美しい九月~バルバラ

きょうは「9月」というタイトルのバルバラの歌をご紹介します。バルバラの作詞作曲。とても美しい曲です。そして、3分間の中に一つの物語がある、バルバラらしい作品です。



Septembre (Quel Joli Temps) 訳詞

3分42秒

それでは、訳詞に挑戦!

9月(なんて美しい季節)

夏の終わりがこんなにきれいに見えたことってなかったわ。
今年のブドウの木はおいしい実をつけるでしょう。
遠くにツバメがまた集まって来てるわ。
でも、別れなければならない。私たちとっても愛し合っていたのに。

なんて美しい季節なの、さよならを言うには
なんて美しい宵なの、若さを満喫するには
煙草の煙といっしょに
愛は行ってしまう。私の心臓は止まる
なんて美しい季節なの、さよならを言うには
なんて美しい宵なの、若さを満喫するには

花々はすでに9月の色をつけている
そして遠くで、船が到着した音が聞こえる
よい天気。悲しみは、この季節に影の色を落とす
私は桟橋に残るわね、あなた。また今度

本当に美しい季節ね、あなた。さようなら
なんて美しい宵なの、若さを満喫するには。
煙草の煙といっしょに
たぶん、また私たちのところに愛が戻ってくるでしょう
たぶん、ある夜、春が来るころ
ああ、なんて美しい季節なの、再会するには。

5月の花がこれほど美しく見えることはないんじゃないかしら。
今年のブドウの木はおいしい実をつけるでしょう。
ツバメといっしょにあなたが戻ってくる時、
だって、あなたが私のもとに戻ってくるのですもの、明日ね。

この曲は1965年発売の«Le Mal De Vivre»というタイトルのアルバムに収録されています。

le mal de vivre の直訳は「生きることのつらさ」。アルバムタイトルと同じ曲の邦題は「孤独のスケッチ」

これはバルバラのアルバムが12枚入っているBOXセットなのですが、一番上の左から2つ目、首をかたむけて目をつむっているのが、そのアルバムです。

単語メモ

paru < paraître 現れる、姿を見せる;~のように見える

se rassembler (再び)集まる

hirondelles ツバメ

s’annoncer ~の兆しがある

au détour d’une conversation
会話のふとした機会に、たまたま会話中に

歌の内容(penの解釈)

美しい9月のある日、ある女性が恋人と別れます。
恋人は船に乗って行ってしまいます。

昔の歌って、よく港でお別れしますね。

先日紹介したフランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」の元歌の英語の歌詞でも、恋人が船に乗って去って行きました。

お別れするその日は、ほんとうにいい天気。

つらいことのある日に、天気がよすぎてつらさが増すってことがありますよね。ゆーみんも「悲しいほどお天気」などと歌っていました。

そんな日のお別れ。

でもただ別れるんじゃないんです。バルバラは、春にはまた逢えるかも、と歌っています。

私は一番最後の節は、季節がめぐって春になってしまった、と解釈しました。

9月の美しい日、煙草の煙といっしょに行ってしまった彼が、5月に、また煙といっしょに戻ってきて、その日もすごく美しい日だろうというのです。

ちなみになぜ煙草の煙とともにやって来るかというと、彼がヘビースモーカーだからですね。60年代のフランス人、みんな、スパスパたばこを吸ってましたから。

さて、訳す時、さっぱりわからなかった一行がありました。だって動詞がないんです。
これね(動画では1分47秒のあたりです)。

Beau temps pour un chagrin que ce temps couleur d’ombre.
直訳⇒つらい気持ちには美しい天気、この時は、影のような色

言いたいことはなんとなくわかるのですが、このqueって何だろう?

いずれにしても、季節の移り変わりとその美しさがうまく歌いこまれた作品です。



きょうの文法

時制をチェックしてみました。

大過去

Jamais la fin d’été n’avait paru si belle.
この文はJamaisが前に出ています。ふつうの並びにすると
La fin d’été n’avait jamais paru si belle.
夏の終わりがこれほど美しく見えたことはなかった。

avait paru
avait < avoir 半過去
paru < paraître 過去分詞

助動詞の半過去+過去分詞⇒大過去

大過去は過去のある時点までに完了していた行為、状態。
~してしまった

ここを大過去にするニュアンスとは?

これまでの夏の終わりはそれほど美しくなかったが、今回、体験した夏の終わりは美しかった、ということなのだろう、と解釈。

この夏を体験したその時が過去のある時点です。

単純未来

Les vignes de l’année auront de beaux raisins.
ブドウの木はおいしいブドウの実をつけるでしょう。
auront < avoirの単純未来

現在形

On voit se rassembler, au loin les hirondelles
遠くにツバメがまた集まってきてるのが見えるわ。
voit < voir 現在形 見える

半過去

on s’aimait bien.
私達は愛し合っていた
aimait < aimer 半過去

前未来

一番最後の春の再会を歌っているところ

Jamais les fleurs de mai n’auront paru si belles.
これもjamaisをふつうの並びにすると
Les fleurs de mai n’auront jamais paru si belles.

auront paru
auront < avoirの単純未来
paru < paraître 過去分詞

助動詞の単純未来+過去分詞⇒前未来(ぜんみらい)
未来のある時点までに完了しているはずの行為です。

春、再会するその時点より前に、花がいっぱい咲いているのを見て、きれいだな~と思っているだろう、ということです。






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コメント

    • 樋沼達雄
    • 2013年 9月 13日

    朝倉季雄 新フランス文法事典 白水社 P452
    「C’est属詞 que 名詞 という構文においてこの属詞を強調するときは
    C’est que が省略される」として、次の文例を挙げています。
    Foutaises que tout cela くだらんよ なにもかも
    (foutaise: くだらないこと、ばかげたこと)
    また同じ文法書のP111には [-là ]の解説のなかで、-là は
    称賛 2)軽蔑を表すことがあるとして次の例を挙げています。
    Cet homme là, quelle force de la nature. あの男はなんという性格のたくましさであろう
    私のうろ覚えですが、歌劇カルメンの合唱部に
    Drôles de gens que ces gens-là.というリフレインがあります。なんとおかしな人たちでしょう、くらいの意味でしょうか。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 9月 13日

      樋沼さん、こんにちは。
      教えていただき、ありがとうございます。
      強調構文のc’estの省略というのがあるのですね。
      省略とか倒置がでてくると、なかなか難しいものがあります。
      これからもよろしくお願いします。

    • 樋沼達雄
    • 2013年 9月 13日

    上記コメントの上から4行目 c’est que が省略されるとありますが、誤りで、正しくは c’est が省略されるです。 すみません。

      • フランス語愛好家
      • 2013年 9月 13日

      わざわざ、補足ありがとうございます。
      コメントのお返事が遅くなりまして、失礼しました。

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