10月になり、新たにラジオ講座、「まいにちフランス語」の新しいシリーズが始まりましたね。初級編は再放送ですが。
今週から、フランス語の勉強を始めたばかりという方のために、今回は、英語とフランス語の発音で大きく違う点を5つにまとめてみます。
まあ、違う言語なので発音も違っていて当然です。しかし、英語もフランス語も見た目は同じアルファベットを使うため、はじめてフランス語のテキストをながめてみると、なんとなく同じに見えたりします。
スペルが同じかちょっとだけ違う単語もたくさんあります。
ところが、発音がしっかり違うため、いざ読もうとすると、「あれ、よ、読めない…」となってしまいます。
日本人は義務教育で英語を学んでいるので、英語とフランス語の発音の違いから入っていくとなじみやすいのではないでしょうか?
1.フランス語には英語にない音がある
当たり前といえば当たり前ですが、同じ文字なのに、フランス語には英語にはない音があります。
その代表格はRの音。
Rの発音の方法を伝授している動画はたくさんありますが、2分未満のこれを選んでみました。
英語とスペルが全く同じ単語が出てきます。
う~ん。授業(?)は悪くないけど、カメラをもっとしっかり固定してほしいものです。
フランス独自の音で、もう1つの有名な音は鼻母音(びぼいん)という鼻にひびかせる音です。
この動画で出てくる、オンとかアンといった音です。
鼻母音はポルトガル語やポーランド語にもあるそうです。
ここで母音と子音について説明しておきます。
母音は音(声)が口の外にでる途中で、舌や唇などに邪魔されず、わりとスムーズに出る音です。日本語で言えば、ア・イ・ウ・エ・オです。
邪魔されるという言い方は変かもしれませんね。そういう発音をしたくてやっているわけですから。
子音は母音以外の音です。
2.フランス語には二重母音がない
英語の発音の特徴に二重母音というものがあります。
二重母音とは、母音が重なっているというか、連なっています。
たとえば、日本語の「愛」はア・イ と発音しますが、アとイは単体でくっきり発音されます(少なくとも正式は発音は)。しかし英語のI(アイ)は、なだらか~に、I think so あ~いしんくそう と発音します。文字で書くとみな同じですが^^;
英語では、ア・イとかソ・オというようにカクカクというか、短く発音せず、母音と母音がなだらか~につながることが多いのです。so、 go という単語の発音は、ソウ、ゴウです。
フランス語にはこれはありません。
英語の no は ノウ(カタカナでうまく書けないけど)ですが、フランス語になると non ノン と短いです。
フランス語は、短く、カクカク発音します。この部分は日本語話者には発音しやすいと言えます。
3.つづり字記号(アクサンなど)というものがある
フランス語の単語をながめてみると、英語に比べ、やたらと文字に飾りがついているように見えます。これはつづり字記号と呼ばれるもので、単なる飾りではなく、ある一定の役割を果たしています。
下の画像は、イギリスの小説、The Girl on The Train の1ページ。その下は、同じ小説の仏訳です。同じ箇所です。
英語の文字の連なり
フランス語の文字の連なり
英語のほうの記号はピリオド、コンマ、クエスチョンマーク、引用符、この画像にはありませんが、あとはクエスチョンマークやびっくりマーク(エクスクラメーションマーク)ぐらいです。
ところが、フランス語には、コンマやピリオド以外に、文字の上にチョンと斜めに横棒をひっぱったり、三角(△)の上の部分だけのっていたり、Cの下に、ちょろっとしっぽみたいなのがついていたりします。
これがつづり字記号です。この記号が発音に影響を及ぼす時があります。
ただの飾りやインクの汚れに見えますが、アクサンを正しくつけないと、テストで減点されたりします。
日本語で、「パパ」についてる◯を飾りだと思って、取ってしまうと「ハハ」になり、全く意味が変わります。これと同じです。
つづり字記号の詳しい説明を見たい方はこちら⇒フランス語のアクサン(つづり字記号)と句読点のまとめ
4.語末の子音を読まないことが多い
英語になれた人が、フランス語を始めて面食らうのは単語の最後の子音を発音しないことが多い、という事実です。
たとえば、フランスの首都パリは、Paris パリ です。日本でもパリはパリなので、Parisは意外と読めたりするかもしれません。しかし、英語では Paris はパリスです。
しかし大丈夫なのはパリぐらいで、ほかの単語はことごとく語末の子音を発音してしまい、「あれ?」っとなります。
たとえば
art は英語ではアート、フランス語ではアール(最後はRの音)
accident は アクシデント ですが、フランス語では、アクシダン (enは鼻母音)
grand は グラ~ンド なのに、フランス語ではグラン(Rと鼻母音が入っていて、すごくよく使う言葉ですが、発音が難しい単語です)。
fruit は フルートゥ(カタカナで書けませんが)ですが、フランス語ではフリュイです。なぜ、リュになてしまうのかというと、U の発音が「ユ」みたいな音だからです。
alphabet アルファベット これはフランス語ではアルファベです。Tを読みません。
私は今でこそ、「アルファベ」と読むのに何の抵抗もありませんが、始めたころは、語末のD、T、G、P、S あたりををどうしても読んでしまう、という状態から抜け出すまで、けっこう時間がかかりました。
超初心者時代の私の体験はこちらからどうぞ⇒フランス語入門日記~目次を作りました
しかし、いったんフランス語読みに慣れると、今度は英単語をフランス語読みしてしまい、娘に変な顔をされます。だから、最近、改めて、英語とフランス語の発音を学び直しているところです。
5.フランス語は英語に比べてつづりと音に規則性がある
英語の場合、たとえば同じAでも単語によって読み方が変わります。all オール among アマング catch キャッチ、すべて違う音です。そこで、(ある程度)正確に発音するためには、その単語を発音込みで知っていなければなりません。
一方、フランス語では、Aが出てくれば、たいてい「ア」と読みます。
ただし、an や am、ain、aim はこの形ひとそろいで、それぞれ1つの鼻母音なので、ア ではありません。
同様に、ai はこの2つで エ、au はこの2つで オ と読みます。
このように、ある一定の文字が2つや3つで、特定の読み方をすることがあるものの、こうしたルールを覚えれば、ほかのAはほぼいつもアなので、その単語を知らなくても、音だけは正確に読めるようになります(発音が正確にできるかどうかは別です)。
だから、最初は「うへ~、全然読めへん」となるのですが、読めるようになると、意味はわからないのに、読み方はわかる、という状態になります。
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今回は、英語と比較しつつ、フランス語の発音やつづりの読み方の特徴をごく簡単に書いてみました。発音の記事、どうでしたでしょうか。
発音の説明をするときに、カタカナでは限界があります。
だからといってIPA(International Phonetic Alphabet 国際音声記号)を書くと、初心者はますますわからなくなるかもしれないし、IPAはワープロの変換で出せないので、入力も面倒です。
というわけでカタカナを使っています。きっちり身につけたい人は、辞書でIPAを参照しつつ音を確認したほうがいいのは言うまでもありません。
今回の記事、何のためにもならなかったかもしれませんが、フランス語のスペルと音の乖離(かいり)のショックが少しやわらいだのではないでしょうか?
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