虎と小鳥のフランス日記、第110話の受講メモです。
今回は「ベルシーその1~フランスのロックの神」
ベルシー(Bercy)は、パリの12区にある場所の名前です。
この場所に、通称ベルシーと呼ばれる大きな体育館があります。正式な名前はパレ・オムニスポール・ド・パリ・ベルシー(Palais omnisports de Paris-Bercy)で、フランス最大の屋内球技場です。
日本で言えば日本武道館とか、後楽園球場とか、愛知県体育館とかそんなたぐいのものです。
カミーユが地下鉄の駅から地上に出ると、コンサートがあるらしく、人がわさわさいます。
いったい誰のコンサートなんだろ、ちょっとそのへんの人に聞いてみたれ、とコンサートにやってきた人に彼女がインタビューする内容でした。
雰囲気がわかるのでサンプルビデオをごらんください。
★2015/01/24追記
「虎と小鳥のフランス日記」の配信が終了したため、サンプル動画も削除されました。あしからずご了承ください。
コンサートの主はジョニー・アリディです。ベルシーの収容能力は、最大で17,000とあるので、生半可なアーチストではここでコンサートを打つことはできません。
ジョニー・アリディがフランスのロックの神だとは知らなかったのですが、いまだに想像以上の人気を誇っているようです。
3つのキーフレーズ
キーフレーズその1
さて、きょうは何のコンサートがあるのでしょうか?ええっと、Hanni El Khatib…ニューアルバム・・。知ってる?
Alors, je sais pas quel concert il y a ce soir. Apparemment, Hanni El Kathib…nouvel album. Tu connais ?
カミーユはポスターを見ながら、この名前を読み上げ、アントワーヌに知っているかどうか聞いています。
ハンニ・エル・カティーブはアメリカのミュージシャンなので、カミーユとアントワーヌが知らないのも不思議はありません。
キーフレーズその2
ちょっとお聞きしたいのですが、あるアーティストのポスターがたくさん貼ってありますけれど、きょうは誰が来るんですか?知ってますか?
Oui, je voulais vous demander, donc euh…là je vois plein d’affiches d’un artiste, mais je sais pas qui passe ce soir du coup ? Est-ce que vous savez ?
この方はファンその1です。「私のアイドル、ジョニー・アリディのコンサートです」というお答え。
キーフレーズその3
(ジョニーの)前に歌う人を知っていますか?
Et vous connaissez le musicien qui passe avant, ou pas ?
ハンニ・エル・カティーブを知っているか?ということです。
彼女も知らないのですが「ジョニーが選んだのだから上手いはずです」とうれしそうでした。アリディじゃなくて事務所とか、プロモーターが選んだのだと思うんですけどね。
ちなみに、ハンニ・エル・カティーブは3年ほど前、ナイキのCMに曲が使われて注目されました。ガレージロックという感じでしょうか。ストレートなロックです。
キーフレーズをちょっと解説
今回は connaître, savoir の使い方がポイントです。両方とも「知っている」という意味ですが、でてくるシチュエーションが少々違います。
1,2のje sais pas わからない
je ne sais pas の略で、わからない、答えられない、という意味。
1の Tu connais ? (このシンガーを)知っている?
人、事柄、場所などを聞いたことありますか?というときは connaître
⇒名詞の目的語、特に人や場所が来るときはconnaîtreを使う。
他の例
この作家のこと、ご存知ですか?
Vous connaissez cet auteur ?
彼(女)の住所、知ってる?
Tu connais son adresse ?
2の Est-ce que vous savez ?
誰が来るのか、あなたは私に教えることができますか?という意味あいの「知っていますか?」
⇒savoirは「~できる」という能力の意味も含む
3の vous connaissez le musicien qui passe avant
このconnaîtreは1番のconnaîtreと同じです。
他に、queで導かれた節がつづくときはsavoirが使われる、とか、savoirは中性代名詞leとともに使われることが多いといった用法の違いもありますが、そういうのは出てきたときに、またチェックしますね。
●単語をひとつ
pass < passer ここでは、コンサートをする、という意味です。
ジョニー・アリディとは?
カミーユが知らなかったのは、ハンニ・エル・カティーブで、ジョニー・アリディは知っていたと思います。
フランスのエルビス・プレスリーといえばわかりやすいでしょうか。現在はロックンロールだけでなく、いろんなタイプの歌を熱唱するロック・シンガーです。
こちらは今年の6月15日、70歳になったアリディのことを伝えるスライド
2分
彼の歌はこちらで紹介しています⇒とどかぬ愛~ジョニー・アリディ(歌と訳詞)
織田先生はアリディをご存知なかったそうです。あんなにいろんな(昔の)フランスの哲学者や文学者を知っているに、ジョニー・アリディを知らないとは・・。
・・・と驚きましたが、無理もないかもしれません。
アリディは、フランス語圏以外ではそんなに成功していないのです。ロックンロールの人なので、英語圏には本物(という書き方をすると語弊がありますが)がたくさんいるからだと思います。
日本でも同様でしょうね。音楽好きな人でも、せいぜいシルヴィー・ヴァルタンの元亭主、ぐらいの認識かもしれません。
かく言う私も、ジャック・デュトロンのほうが好きです。二人とも今、70歳です。ちなみに、今年の11月に来日するポール・マッカートニーは71歳です。アリディもマッカートニーもともに双子座だということを豆知識としてお伝えしておきます。
そんなアリディも、フランスではまぎれもなく「ロックの神」で、66歳のときいったんは引退宣言をしましたが、現在はまた、このようにしっかり活動しています。
やはり偉大ですよね。日本で70歳で現役のローラーとかいないですし(いないですよね?)ベルシーでコンサートをできてしまうだけでもすごいのです。
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