先週の歌と訳詩:『遠くの森で』 に引き続きまして、きょうも童謡をご紹介します。
フランス語ではこういう歌をcomptineと呼びます。
きょうの歌は « Il était un petit navire » (昔、小さな船があった)。これはとある船に乗っていた若い水夫の物語。
では、まず聞いてください。
昔小さな船があった
4分50秒
とってものどかな曲調なのに、歌詞はかなり残酷ですね。
Il était un petit navire 昔小さな船があった
Il était un petit navire {x2}
Qui n’avait ja-ja-jamais navigué {x2}
Ohé ! Ohé !
昔小さな船があった
それは一度も航海に出たことがなかった
お~え! お~え!
{Refrain:}
Ohé ! Ohé ! Matelot,
Matelot navigue sur les flots
Ohé ! Ohé ! Matelot,
Matelot navigue sur les flots
おえ!おえ! 水兵さん
水兵さんが波の上を行く
おえ、おえ 水兵さん
水兵さんが波の上を行く
Il entreprit un long voyage {x2}
Sur la mer Mé-Mé-Méditerranée {x2}
Ohé ! Ohé !
船は長い旅に出た
地中海の上の
おえ!おえ!
Au bout de cinq à six semaines, (x2)
Les vivres vin-vin-vinrent à manquer (x2)
Ohé ! Ohé !
5、6週間たって
食料がなくなってきた
おえ!おえ!
On tira z’à la courte paille, (x2)
Pour savoir qui-qui-qui serait mangé, (x2)
Ohé ! Ohé !
わらのくじを引いた
誰を食べるか決めるために
おえ!おえ!
Le sort tomba sur le plus jeune, (x2)
C’est donc lui qui-qui-qui fut désigné, (x2)
Ohé ! Ohé !
一番若いものがくじに当たった
それは彼、彼が選ばれた
おえ!おえ!
On cherche alors à quelle sauce, (x2)
Le pauvre enfant-fant-fant sera mangé, (x2)
Ohé ! Ohé !
そこでみんな、どのソースにしようか考えた
かわいそうな子どもが食べられる
おえ!おえ!
L’un voulait qu’on le mît à frire, (x2)
L’autre voulait-lait-lait le fricasser, (x2)
Ohé ! Ohé !
ある男はフライにしたかった
別の男は煮込みたかった
おえ!おえ!
Pendant qu’ainsi l’on délibère, (x2)
Il monte en haut-haut-haut du grand hunier, (x2)
Ohé ! Ohé !
みんなが、考えているあいだに
彼は大きな帆の高い、高い、高いところへ上った
おえ!おえ!
Il fait au ciel une prière (x2)
Interrogeant-geant-geant l’immensité, (x2)
Ohé ! Ohé !
彼は天に向って祈りを捧げた
広大な天に向って問いかけた
おえ!おえ!
Mais regardant la mer entière, (x2)
Il vit des flots-flots-flots de tous côtés, (x2)
Ohé ! Ohé !
でも、あたりの海を見ると
波が四方八方から寄せてくるだけ
Oh ! Sainte Vierge ma patronne, (x2)
Cria le pau-pau-pauvre infortuné, (x2)
Ohé ! Ohé !
ああ、聖母マリアさま、私をお助けください
かわいそうな彼は叫んだ
おえ!おえ!
Si j’ai péché, vite pardonne, (x2)
Empêche-les-les-les de me manger, (x2)
Ohé ! Ohé !
もし私に罪があるのなら、早くお助けください
私を食べられないようにしてください
おえ!おえ!
Au même instant un grand miracle, (x2)
Pour l’enfant fut-fut-fut réalisé, (x2)
Ohé ! Ohé !
その瞬間、大きな奇跡が
水夫に起きた
おえ!おえ!
Des p’tits poissons dans le navire, (x2)
Sautèrent par-par-par et par milliers, (x2)
Ohé ! Ohé !
船の上に小さな魚が
何千匹も跳ねた
おえ!おえ!
On les prit, on les mit à frire, (x2)
Le jeune mou-mou-mousse fut sauvé, (x2)
Ohé ! Ohé !
みんな魚をつかまえ、フライにした
若者は助かった
おえ!おえ!
Si cette histoire vous amuse, (x2)
Nous allons la-la-la recommencer, (x2)
Ohé ! Ohé !
もしこの物語が気に入ったのなら
もう一回話してあげよう
おえ!おえ!
単語メモ
matelot 水夫、船員
flots 複数で)波
entreprit (entreprendre) 取りかかる、着手する 単純過去
bout 終わり
vivre (古)食事
Le vivre et le couvert 食物と宿泊、食と住(★この表現では現用)
vinrent venir 単純過去
venir à (程度、段階などに)至る、達する
Cette jupe vient aux chevilles.
このスカートは足首まで届いている。
à la courte paille くじを引く 短い藁(わら)があたり
tira (tirer) 引っぱる 単純過去
sort くじ
tirer au sort くじを引く
Le sort est tombé sur lui. 彼がくじに当たった
frire 揚げる、フライにする
fricasser (鶏、子牛、ウサギの肉)をホワイトクリームで煮込む、白いだし汁(フォン)で煮込む
délibère (délibérer) 討議する;よくよく考える
hunier トップスル、中檣帆(ちゅうしょうほ)
prière 祈り
Sainte Vierge 聖ヴィエルジュ⇒ヴァージン・メアリー⇒マリア様
patronne (patronner) 保護する、庇護する
infortuné 不幸な人
péché 宗教上の罪(★法律上の罪はcrime)
mousse 16歳以下の見習い水夫
この歌はトマ・フェルセンの「こうもり」と同じく物語を語っているので、動詞の時制が単純過去。それに古い言葉が多く、童謡なのに、訳すのが難しかったです。
これまた、途中で「かんべんして下さい」と心の中で言いながら最後まで訳しました。
ともあれ、彼の命が助かってよかったです。
初めて書き込みをします。
今子育て中で、30年以上前に自分が保育園で習った歌を子守唄代わりに色々思い出したり、忘れてしまった部分をネットで検索して歌っていたのですが、
この“~オエオエ~♪”という間の手が入る歌を、確か7番まであったはずなのに始めと終りしか思い出せず、ネットで調べても全くヒットせず、思い立っては調べる をここ3年ほどボチボチ繰り返し、そんな歌など無かったのに私の記憶違いだったのかと半ば諦めかけていたとき、やっと?こちらのサイトに巡り会いました。
この歌が実在したことを確認出来て嬉しかったです。フランスの歌が原曲なんですね。地中海という単語が入っていたので勝手にスペインとかイタリアの曲だったかと想像していました。
当時7番まである曲を暗記で歌って、祖母を喜ばせたことを思い出しました。
内容が少し乱暴というか残酷そうなので、今は歌われなくなってしまったのでしょうか。
こちらの訳詞を見ながら、昔教わった歌詞を思い出したいと思います。
福永さま
はじめまして。penです。
コメント、ありがとうございます。
この歌、どなたかも、ご自身か
お子様が保育園で歌った、
とおっしゃっていました。
もしかして、カソリック系の幼稚園ですか?
ネットでなかなか見つからなかったということは
もしかしたら、日本語のタイトルは違うのかもしれませんね。
記事がお役にたってよかったです。