今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
人を見かけで判断してはいけない。
Il ne faut pas juger les gens sur la mine.
人を見かけで判断してはいけない
日本語でも似たことわざがあるので、理解するのは難しくないと思います。
その人の性格、才能、本質などといったものは、見かけだけではわからない、ということ。
よくあるのは、見た目がすごく怖そうな人だけど、話してみると、意外にやさしい人である、とか、一見、すごく貧乏そうだけど、実は資産家である、などという場合です。
あるいは、きらきらブランド物を身につけて、はぶりのよさそうな人が、実はカードの借金地獄に陥っている、とか。
見かけで判断して間違ってしまうのは、情報が少ないからです。でも、それ以上に、見る人の独断と偏見が入ってしまうという理由もあるでしょう。
また、これは人だけでなく、物にも言えることです。
ぼろぼろの事務所に入っている会社だから、お金がないのかと思ったら、経費をかけていないから実はすごく利益が出ているとか。
見た目がさえない洗濯機だけど、動かしてみるといい仕事をするとか。
物の場合は実際に動かしてみないと何とも言えませんが、多くの人が、見た目でその品物を選んでしまいますね。
ことほどさように見た目は大切。でも、その物の本質は見た目ではわからないのです。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
il ne faut pas + 不定法 ~してはいけない
juger 判断する
les gens 人一般
sur ~に基づいて
mine 顔つき、顔色
*juger 人 sur la mine 「…を外見で判断する」という熟語です。= juger les gens d’après
直訳
「人を見かけで判断してはならない」
同じような意味をもつことわざ
このことわざと、意味の似ていることわざを2つ紹介します。
Il ne faut pas se fier aux apparences.
外見を信用してはならない。
se fier à ~を信頼する
L’habit ne fait pas le moine ; il faut se méfier des faux-semblants.
服が修道士を作るわけではない。見せかけを信用してはならない。
moine 修道士
se méfier de ~を信用しない、用心する
faux-semblant 見せかけ、なりすましている人
英語では
Don’t judge a book by its cover.
本を表紙で判断してはならない。
ということわざがあります。
★ほかのことわざはこちらからどうぞ⇒フランス語のことわざ~目次 その1
「ジャケ買い」という言葉がありますね。
昔のLP(大きなレコード)が入っている袋というか、厚紙の覆い(おおい)をジャケットと言います。
このジャケットにはいろいろなデザインの写真や絵がついているのですが、「ジャケットのいいものは中身もたいていよい。だから買うべきだ」という考え方があります。
まあ、レコードだと、売れてるアーチストはジャケットのデザインにもお金をかけることができるだろうし、また、そのアーチストのセンスなども関与しているだろうし、「ジャケ買い」しても成功することがあるでしょう。
それに、昔は今みたいに、インターネットでちょっと試聴してみる、なんてできませんでしたから、ジャケットを判断の目安にする、ということは理にかなっています。
お店によっては頼めばそのレコードをかけてくれることもありましたが、今ほど自由には聞けませんでした。
「ジャケ買い」に失敗しても、人は自分の失敗を認めたくないので、「ちょっと期待はずれだったけど、こんなものか。まあいいや」と納得してしまうものです。
そして、ジャケットのいいものはよく売れるのです。やはり、人は見た目で買い物をする動物のようです。
この記事へのコメントはありません。