今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
Tout soldat a dans son sac son bâton de maréchal.
兵士はみんな、元帥杖(げんすいじょう)をバッグの中に持っている。
兵士はみんな、元帥杖をバッグの中に持っている。
元帥杖とは元帥の指揮棒です。元帥は軍隊における階級です。
私の調べたところによると、えらい順から、
元帥⇒大将⇒中将⇒少将⇒准将⇒大佐⇒中佐⇒少佐⇒大尉⇒中尉⇒少尉⇒准尉⇒上級曹長⇒曹長⇒軍曹⇒伍長⇒兵長⇒兵長勤務上等兵⇒上等兵⇒一等兵⇒二等兵
という階級があります。
元帥は一番えらいのですが、この上に大元帥とか、たとえば天皇とか王さまとか、軍隊の誰よりもえらいその国の人がいる可能性はあります。
とはいえ、元帥の杖を持っている人は、ものすごい権力があるわけです。
ですから、このことわざは、「たとえ今はのらくろ二等兵のような下っ端の使い走りの兵隊さんでも、かばんの中には元帥の杖を持っている」、つまり、「いつかは元帥になる可能性があるから、がんばれ」、という意味です。
「人の可能性は無限である」ということですね。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
tout すべての
soldat 兵士
a < avoir ~を持っている 3人称単数の活用
dans ~の中に
son 彼の
sac かばん、リュックサック この場合は軍人のかばんだから、リュックがふさわしいでしょうか。
bâton (職権を表す)棒、指揮棒
bâton blanc d’agent de police
フランスの交通巡査の白い警棒
bâton du chef d’orchestre
オーケストラの指揮者の指揮棒
de ~の
maréchal 元帥
bâton de maréchal 元帥杖(げんすいじょう)
こんな感じの棒です。
これまであまり気に留めたことはなかったのですが、ドキュメンリーや映画の中に出てくると思います。
直訳
「兵士はみんな、元帥杖をバッグの中に持っている。」
補足
avoir son bâton de maréchal で
元帥に任せられる
望みうる最高の称号を得る
という意味があります。
元帥の杖は、中世からあるそうです。当時、元帥というのは、ただの雇われ人にすぎなかったそうですが、ある王さまが、杖や勲章を作って、元帥たちに与え、元帥の権力というものを作りあげたのが始まりだそうです。
19世紀になって、「フランス革命のあと、誰もが平等だ」という神話の象徴として、軍隊でこのことわざのようなことが言われるようになりました。
特に兵士や学生の士気をあげるために使われたようです。
そういう意味ではやや古めかしいことわざかもしれません。
ただ、現在でも、「がんばれば、あなたにも可能性がある」と言って、励ますのに使われています。
英語では、
The sky is the limit.
ということわざがこれにあたります。
直訳は「空が限界」。空というものは、上にあがってもどこまでも空ですから、「限界はない」ということになります。
つまり、「個人の可能性は無限だ」という意味です。
日本語では「為せば成る」が近いですね。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
その2⇒フランス語のことわざ~目次 その2
2013年もそろそろ終わりです。
あなたは、今年、限界までがんばれたでしょうか?
「頭打ちだ」と思っていても、どこかに元帥杖があるのです。
ぜひ、探し当てて、来年はさらに飛躍して下さいね。
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