フランソワーズ・アルディがご主人のジャック・デュトロンとデュエットしている曲をご紹介します。
タイトルはBrouillard dans la rue Corvisart
邦題:『霧のコルヴィザール』
コルヴィザール通りは13区に実在します。
まずは曲をお聞きください。
今の季節にぴったりですね。
それでは訳詞に挑戦!
Brouillard dans la rue Corvisart『霧のコルヴィザール』
Toutes ces choses-là
On s’les murmure tout bas
Le soir dans la
Rue Corvisart
Le bar-tabac
A éteint ses billards
Brouillard dans la
Rue Corvisart
Toujours les mêmes
こんなことを全部
人は小声でつぶやく
コルヴィザール通りの夜
カフェの
ビリヤードの灯りは消えた
コルヴィザール通りの霧
いつも同じだ
同じ石畳
同じ乞食
いつも同じさ
同じためいき
同じ思い出
同じ苦しみ
同じ住所
同じ季節
同じ家
いつも同じだわ
同じ歌
バーがもうないのも
霧のコルヴィザール
こんなことを全部
人は小声でつぶやく
コルヴィザール通りの夜
たった一度だけでも
霧
一人の男
コルヴィザール通りで
いつも同じよ
同じ石畳
同じ乞食
いつも同じなの
同じ歩道
同じ物語
同じ傷
同じ靴
同じ頭痛
同じ口癖
いつも同じだ
同じ憂鬱
同じハンカチ
霧のコルヴィザール
こんなことを全部
人は小声でつぶやくの
コルヴィザールの夜
たった一度だけでも
霧
一人の女
霧のコルヴィザール
たった一度だけでも
コルヴィザールで誰かが
一人の男
一人の女
ただ一度だけ
霧のコルヴィザールで
歌詞はこちらを参照しました⇒Paroles Brouillard Dans La Rue Corvisart – Françoise Hardy – Musique – Ados.fr
名詞が多いので、簡単です。それぞれ韻をふませるために選ばれた言葉なので、意味は深く考えなくていいと思います。
単語メモ
bar-tabac カフェ、カフェタバと同じものだと思います。あとで「バーはない」と言ってますので。
éteint 消えた、スイッチを切った (éteindreの過去分詞より)
billard ビリヤード
pavé (1枚1枚の)舗石、敷石;舗道、石畳、道路
paumé 惨めな人、乞食同然の人、貧民
blessure 傷、けが
rengaine (絶えず繰り返される)決まり文句、口癖;聞き古された歌
cafard ゴキブリ;ふさぎの虫、ゆううつ
si seulement ~でありさえすれば
二人で仲良く作った曲のように見えますが、作詞作曲は ミシェル・ジョナス Michel Jonasz と、アラン・ゴールドシュタイン Alain Goldstein。
フランソワーズ・アルディ(1944生)
フランソワーズ・アルディは、イエイエの話しで少しふれましたが、
こちら⇒2014年秋冬のファッションのトレンドその4~60年代ルック
1962年にデビューしてから活躍しているフランスの歌手。デビュー当時はイエイエの時代だったので、アイドルでしたが、もともとシンガーソングライターなので、そのうち独自の音楽を追求。
日本では「もう森へなんて行かない」が有名ですね。
「さよならを教えて」もよく知られていますが。
⇒歌と訳詞:さよならを教えて~フランソワーズ・アルディ
初期の彼女の歌は、リリカルで、透明感があってアンニュイ。しかもさらさらのロングヘアーが美しく、もう完璧です。
デュトロンの前のボーイフレンドがジャン・マリー・ペリエというカメラマンでした。彼が撮影した美しいポートレートが残っています。
ジャン・マリー・ペリエと一緒に出ている動画。
アルディは当時21歳。黙ってるとクールビューティで、笑うと可愛いですね。
ペリエは1940年生まれ、60年代に同世代のたくさんのミュージシャンの写真をとっています。本人のサイトでアルディの美しい写真が見られます。
ほかのミュージシャンのも素敵です。マリアンヌ・フェイスフルが野原で寝そべってるモノクロの写真なんてすごくきれいです。
さて、アルディとデュトロン、現在は別居中ですが、出会ってから40年以上のつきあいです。今でもいい友だちのようです。仕事も時折一緒にして、2004年に別のデュエット曲を発表しています。
2人とも同じレーベルからデビューし、67年ころから付き合いが始まったとか。73年にトマという男の子誕生。トマもやはりミュージシャンになりました。
81年に正式に結婚し、20年ぐらい仲がよかったそうですが、デュトロンに新しい恋人ができて別居。
ジャック・デュトロン(1943生)はアルディよりちょっと遅れて、1966年にデビューしたミュージシャン。アルディにたくさん曲を書いています。
彼は俳優でもあります。アルディも映画にちらちら出ていたようですが、デュトロンは「俳優」と名刺に太字で書けるぐらい、しっかり映画に登場。セザール賞の主演男優賞の受賞歴もあり。
彼の曲もそのうち取り上げる予定です。
★★トップの写真をお借りしました:
photo credit: ygourvennec via photopin cc
いかがでしたか?
アルディもデュトロンもフランスではとても有名です。日本で言えば誰になるのでしょうか?
見目麗しく、才能もある男女が結婚して、年をへるごとに仕事の幅を広げ、還暦のころデュエットして、70代の今は芸能界の大御所になっている・・・そんな2人なのですが。
日本は「若さ」に価値がある、とされ、「大人」とか「円熟」ということには見向きもしない文化なので、いないかもしれませんね。
On s’les murmure tout bas は正確に書くと、どうなるのでしょうか
初めて見る省略形なので、とまどっています。ご教示ねがえれば幸せです。
樋沼さん、こんにちは。
s’les は se les だと思います。
早くしゃべっているので、se の e が落ちて聞こえるから、
聞こえたままに、書いているのではないでしょうか。
je suis が j’suis と書かれるように。