2016年7月14日、フランス、ニースで悲惨な事件が起きました。フランスの革命記念日を祝う花火を見るために集まった人たちが帰ろうとしているところに、トラックが突っ込んで84名が亡くなりました。
この事件、2016年ニーストラックテロ事件と呼ばれています。
ですが、犯人は筋金入りのテロリストではなかったようです。
今回は、事件直後、フランスの子ども新聞, 1jour1actuに掲載された記事を訳します。
記事は同じことの繰り返しが多いので、少し情報を整理して意訳しています。
なぜニースのテロがこんなに衝撃的なのか?
なぜこの事件を取り上げるのか?
君たちはバカンス中ですが、1jour1actuは、ニースのテロについて話すことにしました。このようなショックのあと、よりよく暮らしていきたいとき、最初にすべきことは、起きたことについて知ることだからです。
7月14日、ニースで、花火のあと、3万人近くの人々が、プロムナード・デ・ザングレを離れ始めたとき、男の運転していた大型トラックが突っ込み、84人が亡くなりました。1jour1actuはこのできごとを振り返り、なぜこの事件が、多くの人に深い傷跡を残したのか説明します。
フランスで2番めに死者を出したテロ
夜の10時半、ニース市内で、ある男が、7月14日の花火を見るために集まった人々の中に、大型トラックで突っ込みました。
トラックは2キロメートル走り、通行人をなぎ倒しました。84人が亡くなり200人が怪我をしました。
このテロは、第二次世界大戦以来フランスで起こったテロでは、130人の死者をだした、2015年の11月のパリのテロに続き、2番めに死者が多い事件です。2つのテロはわずか8ヶ月のあいだに起きました。イスラム国のテロ組織は、両方とも、自分たちの仕業だと表明しています。
それは、天国のようなニースで起こった
ニースはただの都市ではありません。フランスで5番目に人口が多いのですが、世界でもっとも知られている都市の1つです。
すばらしい海岸に沿った遊歩道であるプロムナード・デ・ザングレはシュロの木で縁取られ、高級ホテルが並んでいます。海から打ち上げられる花火を見るために人々が集まったのは、まさにこの場所だったのです。
ニースを選んだ犯人は、自分のすることが世界中にテレビ中継されることを知っていました。それがいかに衝撃的なのかもわかっていたでしょう。なぜならニースは、バカンスや、この世の楽しみを連想させる都市だからです。
それは国民の祝日の7月14日に起こった
毎年7月14日は、1789年のバスティーユの襲撃を記念するフランスの祝日です。この日は休日で、夕方、時には前日の夕方に花火が打ち上げられます。
この催しを見るために、国中から大勢の人が集まります。ニースの花火は1年でももっとも人気のあるイベントの1つで、この14日には、およそ3万人近くが花火を見に集まりました。
花火の夜にテロを起こすことを選んだ犯人は、一度に大勢を襲撃できることを知っていました。彼の行動は象徴的です。犯人はフランス国民がもっとも大事にしている、共にいる歓びや、お祝いをすること、私たちの、自由で政教分離した民主的な国に対する敬意を迫害したのです。
この事件を受けて、7月18日の正午にニースや、フランス中で、数万人の人々が集まり犠牲者に黙祷を捧げました。
このテロは大勢の子どもとティーンエイジャーを襲った
花火は、親子連れに人気の催しです。84人の死者の中には10人の子どもとティーンエイジャーがいました。何人かの子どもたちはまだ病院で治療を受けています。
ニースのテロは、私たちに大きな衝撃を残しました。なぜなら子どもは大人よりずっと、花火を楽しんだり、安全に生きることを守ってもらう権利があるからです。
子どもとして、この事件にショックを受けるのは当然です。次の記事では、このような恐ろしいテロのあと、悲しみに圧倒されないためにどうしたらいいのか専門家にたずねます。
元記事 → Pourquoi l’attentat de Nice est-il si choquant ?
単語メモ
se dispenser ちりぢりに去る
volant ハンドル
foncer sur ~に突っ込む
revenir sur ~を再び持ち出す
profondément 深く
poids lourd 大型長距離トラック
percuter ~にぶつかる、衝撃を与える
écart 隔たり
border ~に沿う
porter atteinte à qc/qn ~を侵害する、~に害を及ぼす
dizaine およそ10回
dénombrer 数え上げる
en tant que + 無冠詞名詞 ~として
envahir (感情、思考などが)圧倒する
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テロは特別なことではなくなってきた
記事にも出てきますが、2015年11月13日の夜、パリ同時多発テロが起きて、130人が亡くなり、350人以上の人が怪我をしました。
パリの襲撃はまぎれもなくテロだと思うのですが、今回のトラックで突っ込んだ犯人は本当にテロリストであったのか、疑問が残ります。
フランスでは、テロを起こしそうな人のリストを持っていて、監視していますが、そのリストの中には今回の犯人は入っていませんでした。
ISが「われわれの仕業だ」と犯行表明をしましたが、犯人と組織とのつがなりはなかったようです。
革命記念日という、フランス人にとってすごく大切な日の花火を見に来た人を狙ったということは、犯人は、フランスという国、あるいは西側の国に対して、憎しみを持っていたのでしょうか?
他の人が幸せになるのが憎らしい、とか。
犯人の家を捜索したら、ここ8ヶ月の間に、インターネットでイスラム国の活動に関する情報収集を熱心にしていたことがわかり、短期間にそういう思想に染まっていったのではないか、と報じられています。
ISのプロパガンダは、世の中に不満を持っている人が簡単に染まってしまうほど、強力なのでしょうか。
そう考えると、世界にはたくさんのノーマークのIS過激派予備軍がいることになります。きのうまでふつうの人だったのが、ある日テロ行為に走り、無差別に人を殺害する。もうテロは特別なことではなくなってきた、という気がします。
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