フランス映画、La tête en friche (眠っていた才能)の予告編の後編です。記事のタイトルは、文字化け防止のためアクサンを抜いていいます。
「眠っていた才能」は便宜上、私が訳しただけです。豊かなものを秘めているのに、開発されていない、知られていない能力、といった意味です。
まず予告編をごらんください。
La tête en friche の予告編
今回は35秒から一気に最後までチェックします。
Comment faire imaginer par exemple une ville sans pigeons ?
Mais ça ne peut pas exister ! Comment ça s’appelle ?
La Peste.
Ah!
D’Albert Camus.
Albert ! Ah, ben, c’est comme mon grand-père. Haha.
どうやって想像できるだろうか、たとえば、鳩のいない街を。
そんなのありえないよ。それ、なんていう本?
ペスト
ああ、
アルべール・カミュの。
アルベール! 僕のおじいさんもそうだ。
Alors, avec un dictionnaire on voyage, d’un mot à l’autre… on rêve…
あのね、辞書があれば旅行できるのよ。1つの言葉からまた別の言葉へ。夢を見る。
Annette…
Alors, c’est ce soir que tu me fais un petit ?
Aneth. Ah, ben c’est pas comme ça que ça s’écrit, ça.
アネット…
ねえ、今夜赤ちゃんを作らない?
アネット(Aneth)、こんなつづりじゃないな。
T’as lu Camus, toi?
Ah ben, pas tout hein. La Peste, La Chute. L’Étranger…
カミュを読んだって?
ああ、全部じゃないけど。ペスト、転落、異邦人。
Je suis née d’une histoire d’amour. Enfin, comme tout le monde.
Non, pas comme tout le monde !
私は愛の物語から生まれたの。みんなと同じように。
いや、そうじゃない人もいる。
Ah des poireaux…
Oh! Mais qu’est-ce que tu fais là ? Qu’est-ce que tu fais ?
Oh! Va dans ta niche, toi !
J’aurais une mère comme ça, j’oserais même pas être son fils.
あ、リーキが。
そこで何してるんだよ。何してるんだ。
あんたの小屋に戻りなさいよ。
もしあんな母親がいたら、息子になるのはごめんだな。
On revient toujours gueuler sur la tombe de sa mère…
… comme un chien abandonné.
C’est vrai. C’est très vrai ça. Tu as raison.
人はいつも母親の墓にむかって泣き叫ぶ
捨てられた犬のように
その通りだ。本当にそうだ。おまえの言うとおり。
Vous avez une excellente mémoire auditive.
Non, non, non. C’est surtout que je retiens ce que j’entends.
あなた、すばらしい聴覚記憶を持っているのね。
いやいや、聞いたことは特によく覚えられるんだ。
C’était pour qui, les fleurs ?
Parce que ce matin, quand j’ai vu le bouquet sur la table, j’ai cru que c’était pour moi. Comment elle s’appelle?
Elle s’appelle Margueritte avec deux t. Les fleurs, c’était pour elle. Elle a 95 ans. Oui, je l’aime. Ça te va?
これ誰の?
今朝、花束がテーブルの上にあるのを見た時、私のためだと思ったのよ。彼女、なんていう名前?
マルグリットだ。Tが2つの。花は彼女のため。95歳だよ。ああ、僕は彼女を愛してる。満足か?
Qu’est-ce qu’il y a?
Vous êtes quelqu’un de très bien, Germain.
どうしたの?
あなたは本当にいい人ね。ジェルマン。
スクリプトはこちらを参考にしました⇒Bande-annonce: La tête en friche
前編はこちら:
単語メモ
poireaux poireau の複数形。リーキ、ポロネギ 太いネギです。
白い部分を食べます。やわらかく煮ると甘みがでるので、スープやグラタンなどに使われます。英語ではleek
niche 小屋
oserais < oserer 思い切って~する
Il osa dire la vérité. 彼は勇気をふるって事実を語った。
gueuler わめく、どなる、大声で歌う
みんな早くしゃべっているので、聞き取りは難しいですが、よくよくスクリプトを見ると、単語も構文もさほど難しくありません。
マルグリットはおばあさんのせいか、ゆっくりしゃべっています。
今回のお話
ジェルマンはマルグリットと公園でカミュの小説を読むようになります。彼はほとんど文字が読めないので、もっぱらマルグリットが読んで聞かせます。
ジェルマンは耳で聞いたことをどんどん覚えてしまうのでマルグリットは驚きます。
彼は、子どものときから母親から全く愛されていませんが、それでも母親の家のそばにトレーラーを置き、寝泊まりしています。野菜を作ってときどきマルシェで売っています。
横暴なお母さんはせっかく育ったリーキを引っこ抜いてしまいます。
母親から見向きされず、みんなからも馬鹿にされているジェルマンですが、アネットという若いガールフレンドがいます。アネットはジェルマンの良さをわかっており、彼を深く愛しています。
ジェルマンはマルグリットの読むカミュの言葉や文章の美しさにふれて、今までは想像もしなかった世界にふれていきます。
ある時、マルグリットはジェルマンに自分が使っていた古い辞書をあげます。もらったものの、使いこなせないジェルマンは、マルグリットに返そうとします。
ところがマルグリットは目の病気で次第に視力が失われつつあったのです。これを聞いたジェルマンは今度は自分がマルグリットに物語を読んであげたい、と思います。
アネットの助けを借りながら、彼は文字を読む練習を始めます。
「ペスト」は戦後、フランスで大ベストセラーになっています。アルジェリアにあるオランという街でペストが流行り、閉鎖されます。閉ざされた街の中で、人々がペストと戦う、というあらすじです。
ある医師が、ねずみの死骸を見つけたことこら始まるこの小説では、人がばたばたと死んでいきます。ペストは突然街を襲った不条理で、人間たちが、抵抗する話、とも言えます。
それでは次回の映画の記事をお楽しみに。
お久しぶりです。
ペスト、若い時にフランス語で読もうとして挫折しました・・・
異邦人は読めても、ペストは無理。
なので、この映画、観たいです。
もう一度、読んでみようとは思いませんが。
いちおう、日本語では読んだし。(言い訳)
アンさま
こんにちは。penです。
この映画はペストの内容とは
全く関係ありません。
こんなのどかな公園で
あんな話読むのか?
と思ってしまいました。
私もフランス語では読んだことはありませんが
内容に興味がないと読めないですよね。
ペストはカナダではパブリックドメインなので
ネット上にあります。
単語はそんなに難しくなさげですが、
スラスラ、ストレスなく読むことは私もできません。
引き続き、フランス語の学習を続けたいと思っております。
コメントありがとうございました。
pen