絶対音感が獲得される仕組みを説明している、Le Mondeの4分半の動画の紹介、後半です。
前半では、声調のある言語話者は、絶対音感を持ちやすい、という内容でした。
後半では、声調のない言語を話す人間が、絶対音感を獲得する方法を説明しています。
L’oreille absolue
4分33秒。フランス語の字幕あり。
2分30秒から最後まで訳します。
トランスクリプション
Une étude réalisée en 2006 sur des étudiants en musique dont un groupe parlait une langue tonale et l’autre non a démontré cette inégalité face à l’oreille absolue.
Pour le groupe des étudiants chinois qui avaient commencé la musique à l’âge de 5 ans, 60% avaient développé l’oreille absolue, contre seulement 14% des locuteurs anglais.
Mais alors comment développer l’oreille absolue lorsqu’on parle une langue qui n’est pas tonale, comme l’anglais ou le français ?
Eh bien une seule solution : il faut se mettre à la musique très, très tôt.
Car ce que les chercheurs ont aussi remarqué, c’est que le moment où l’on acquiert le langage correspond aussi à celui où l’on acquiert l’oreille absolue, vers 3 ans.
Vous avez sûrement remarqué qu’apprendre une deuxième langue au collège était…plus difficile.
Win… the yes… Needs the no to win.
Eh bien c’est le même principe avec l’oreille absolue : plus on a un apprentissage et une pratique intense de la musique au moment où on apprend à parler – c’est-à-dire avant 6 ans – et plus on a de chances de développer l’oreille absolue.
C’est ce qu’ont confirmé des chercheurs en 1998.
Ils ont étudié les capacités auditives de 600 musiciens.
72 d’entre eux avaient commencé la musique avant 4 ans.
Ils étaient 40% à se déclarer en possession de l’oreille absolue.
En revanche, seul 4% des 104 musiciens ayant commencé leur apprentissage à partir de 9 ans se déclaraient absolutistes.
Certains chercheurs pensent aussi qu’il existe une prédisposition génétique à l’oreille absolue.
Mais jusqu’à présent, personne n’a réussi à le prouver.
Si vous vous intéressez à l’oreille absolue, vous avez certainement déjà vu des formations circuler sur Internet.
Mais là aussi, aucune preuve scientifique n’existe à ce jour que l’oreille absolue puisse être acquise adulte.
Un chercheur américain, Paul Brady, s’est soumis à un entraînement intensif de soixante heures d’écoute.
Il a obtenu un taux de réussite de seulement 65%, contre 98% pour les personnes qui ont l’oreille absolue.
和訳
2006年の、声調のある言語を話す学生のグループとそうでない言語を話す学生のグループを対象にした研究では、絶対音感に関するこの不公平が証明されました。
5才で音楽を始めた中国人の学生のグループのうち、60%は、絶対音感がありましたが、英語話者のグループでは、14%です。
では、声調のない言語、たとえば、英語やフランス語を話す人は、どうやって絶対音感を養ったらいいのでしょうか?
唯一の解決法は、ものすごく早期に、音楽を始めることです。
というのも、これもリサーチでわかったことですが、私たちが言語を獲得する時期が、絶対音感を獲得できる時期と同じであり、それは3才ごろなのです。
もちろん、皆さんは、中学で第二言語を学ぶのは難しい、と言うでしょう。
「勝つためには、つまり、イエスと言うためには、ノーが必要なのです」。
これは、絶対音感の原則にもあてはまります。言葉を学ぶ時期に、音楽を熱心に学ぶことができればできるほど、つまり、6才より前に学べば、絶対音感を獲得するチャンスが増えます。
これは、1998年のリサーチで証明されています。
600人の音楽家の聴く能力を調べました。
600人のうち72人は、4才になる前に音楽を始めており、そのうち、40%が、絶対音感を持っていると言いました。
逆に、9才から音楽を学び始めた104人のミュージシャンのうち、絶対音感の持ち主は、4%だけです。
研究者の中には、絶対音感は遺伝することがある、という人もいます。
しかし、これまでのところ、誰も、この説を証明していません。
絶対音感に興味があるなら、インターネットで出回っている、絶対音感の養成法を見たことがあるでしょう。
しかし、大人になってから絶対音感を獲得できるという科学的裏付けは今のところありません。
アメリカの研究者である、ポール・ブラディは、60時間のリスニングの集中トレーニングを行いました。
彼の成功率は、65%でしたが、絶対音感を持っている人は、98%でした。
単語メモ
auditif 耳の、聴覚の
se déclarer 自分が~であると公言する
une formation 育成、養成、教育
se soumettre à ~に従う
最後に出てくる、Paul Bradyの研究ですが、彼は音楽的素養が全くない大人でしたが、音を聴き分ける集中トレーニングをしたら、65%の音を聴き分けることができるようになった、というものです。
つまり、トレーニングは有効ということですね。しかし、子どものとき、絶対音感を身に着つけた人ほどには聞き分けられないのです。
Win the Yes need the No to win against the No という意味不明の英語を言っているのは、ジャン=ピエール・ラファラン (Jean-Pierre Raffarin)という政治家で、”Le oui a besoin du débat pour gagner” というフランス語を彼なりに訳したものだそうです。
この不思議な英語は、Les Guignols(レ・ギニョール)という、政治や政治家を風刺する人形劇の番組で、よくネタになったとのこと。
「声調のある言語をしゃべる国の人は、絶対音感を養いやすい」というのはこの動画を見て、初めて知りました。
絶対音感があると何かいいことがあるんでしょうかね?
昔、幼稚園でオルガンを習っていたことがあり、卒園してからは何もやっていませんでした。小学校3年のときに、引っ越したら、近所の団地のコミュニティセンターで、ピアノを教えていたので、そこに通い始めました。
練習が嫌いなので、レッスンをさぼったりしているうちに、小学校5~6年のときに、我が家から数軒先に大きな家が建ちました。
その家の娘さんが音大生で、ピアノの生徒を募集していると聞いたので、今度はそこに習いにいきました。
そのとき、初めてソルフェージュ(solfège)をしたのですが、聴覚の練習のとき、音の名前を言っていたら、先生に、「あ、あなた移動ドだ!」と言われたのです。
つまり、「相対音感の持ち主ね(絶対音感、ないのね)」、と言われたわけですが、このとき、何か人間として、大きく劣っていると宣言されたような気がしました。
しかし、今回紹介した動画を見て、絶対音感を持っている人は、ものすごく少ないとわかりました。
むしろ私は、多数派であり、あんなに落ち込むことなかったな、と何十年もたった今、思っています。
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