今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
勘定のけじめは友情のかなめ
Les bons comptes font les bons amis.
勘定のけじめは友情のかなめ
勘定のけじめとは何でしょうか?
借りたお金をちゃんと返すことです。
どんなに少額でも。
たとえば、5月の気持ちのいい日曜日の朝、あなたが、友だちと散歩しているとき、たまたま産直の市が出ている場に出くわしたとします。
とってもおいしそうなほうれん草や小松菜が並べれられており、
しかも格安。
あなたは、最近毎朝グリーンスームージーを飲んでいるので買っておきたい。
しかしお財布を持っていませんでした。すると友だちが「今度返してくれればいいから」と420円貸してくれました。
この420円をちゃんと返すということです。
ちょっぴりだし、いいや。
今度一緒にお茶したときに、私が持てばいいや。
そうやって、返さずにいると、友だちを失ってしまいますよ、
とこのことわざは言っています。
というのも、たいてい、貸した側は覚えてるんですよね。だけど、少額だから言い出せないんです。友だちですし。でも、覚えてるんです。わりにいつまでも。
返さないと、たとえそうではなくても、お金にルーズな人と思われてしまいます。お金にルーズな人は、何かそれを補ってあまりあるほどの人間的魅力がないと、嫌われるものです。
さっさと、420円返してしまったほうがいいのです。
借りたお金を返して、勘定帳をプラスマイナスゼロにしておくことが、友情を長持ちさせる秘訣なのです。
よくわかる!フランス語の解説
★単語の意味
les 複数の名詞につく定冠詞
bon(s) よい
この形容詞は、ふつう名詞の前に来ます。
compte(s) (貸借の)勘定、会計、収支
この意味のときはたいてい複数になりますね。
font < faire 作る、もたらす ami(s)友だち ★直訳 「よい勘定はよい友だちをもたらす」 ★補足 compte 発音はコーント(鼻母音)Pを発音しません。
似ていることわざ
英語にも同じ意味のことわざがあります。
●Short reckonings make long friends.
早い清算は長い友情をもたらす。
●Neither a borrower nor a lender be.
借り手にも貸し手にもなるな。
これはシェイクスピアの『ハムレット』の中でポローニアスが息子に言う台詞です。
ポローニアスはデンマーク王であるハムレットの宰相。そしてオフェリアの父親。
原文は
Neither a borrower nor a lender be,
For loan oft loses both itself and friend,
And borrowing dulls the edge of husbandry.
お金を借りても貸してもいかん。貸すと、お金も友だちも失うし、借りると倹約する気持ちが鈍る。
ポローニアスはほかにも息子にいろいろ忠告しますが、そんなポローニアスをハムレットは好きになれません。
やたら処世術にたけた俗物に見えるのです。
さて、日本のことわざでは
「金の貸し借り不和の基(もと)」
というのがあります。
友だちに限らず貸さないほうが無難である、ということですね。
私はあんまり人にお金を貸したことがないのですが、家族に代わって支払うことはあります。その場合は、もう返してもらうことは全く期待していません。
あなたも、何か借りていたら、すぐに返したほうがいいでしょう。
あるいは逆に「貸してるけど言いだせない」という場合は、「きょうpenのブログにこんなことわざがあってね・・・」と切り出してみてください。
その友情を長持ちさせるために。
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