カヌレを持つ修道女pen

フランスのお菓子

カヌレとは?~フランスのお菓子~その1

フランスのお菓子を紹介するシリーズを始めます。

お菓子は、言葉と同じようにその起源をつきとめるのが難しいもの。

べつべつの地方で似たような時期に、似たようなお菓子が作られたり、人の行き来によって、伝わったり、逆輸入されたり。

当ブログでは、歴史的にあまり厳密に追求せず、一般にフランスのお菓子とされているものを取り上げて行きます。

初回はカヌレです。



カヌレとは?

カヌレのスペルはcanelé
(一番最後のアクサンのついたeは「エ」、その前のeは「ウ(あるいは無音」と読みます。)

ワインで有名なフランスのボルドーの名物です。
ボルドーについてはこちらをどうぞ⇒ボルドー名物メドックマラソンとは?

どんなお菓子か動画でごらんください。言葉はわからなくとも、映像でだいたい検討がつきます。

Bordelais は ボルドー地方

昔、ボルドーの修道女が作っていたという通説があるカヌレ。しかし、これは事実と違うのではないか、という説が近年有力です。きょうはそのあたりの謎にせまってみます。

カヌレの歴史

カヌレは18世紀にボルドーの女子修道院(Couvent des Annonciades)で修道女が作っていたと言い伝えられています。

名前は代わりましたがこの修道院は現存します。しかし、後年、この場所を調べたら、カヌレの特徴のあるあの型も、それを作ったという記録も発見されず、これは事実とは違うのではないか、というのが最近の見方です。

修道院

ごく単純な焼き菓子なら作っていたかもしれませんね。

修道女たちがカヌレを作っていた、主張する人たちは、こんなふうに言っています。

実は、カヌレの主材料である卵の黄身は、ワインを作る過程で出るものでした。

ワインを樽の中で熟成させるとき、ぶどうのカスみたいなのが、底に沈みます。この澱(オリ)を取り除くために、通常別の樽に移し替えます。

昔、ボルドーでは澄んだワインを作るために、オリ取りに卵白を使っていたそうです。ワイン作りを知らないので、どのように使っていたのかわかりませんが。使うのは卵白だけなので、黄身があまるのです。

この黄身を有効活用するために、つましい暮しを送っていた修道女たちがこの焼き菓子を作り始めたと言うのです。

カヌレの特徴~型と蜜蝋

カヌレ型と呼ばれる溝のある小さな型で焼きます。

伝統的なカヌレはこの型に蜜蝋(みつろう)を塗って焼きます。

蜜蝋を使うと、外側にツヤが出るというか、ピカっとした感じに焼きあがります。

蜜蝋はミツバチの巣を作っているロウで、働き蜂のおなかから分泌されたもの。最近はビーワックスとも呼ばれています。

ろうそくとして使うとススが少ない蜜蝋は、古くからヨーロッパの修道院で作られていました。ですから修道女が型に蜜蝋を塗るのはあり得る話です。

修道院の庭ではよくハチを飼って、ハチミツや蜜蝋を作っていました。そのためヨーロッパの古い教会にまつわるお菓子はハチミツを材料に使ったものが多いのです。

ハチ

ミツロウは食べても害はないですが、おいしくもないはずです。あまり摂取するとお腹をこわすかもしれません。

型のまわりに溝が入っていますが、この「溝」がお菓子の名前の由来とされています。カヌレは、cannelé と綴られることもありますが、これはcanneler(溝をつける)という動詞の過去分詞からできた形容詞です。

この型も考えてみれば謎です。ふつうの型に比べれば、作るのに手間がかかる型です。誰がこんな溝をいっぱいつけた型を考えだしたのでしょうか?きっときれいな模様を出したかったのでしょうね。

・・・☆・・・

学術的には修道女が考案したのではないと証明されるカヌレ。けれど薄暗い修道院で、修道女たちが、つつましく、せっせとカヌレを作っているさまをを想像するのは楽しいものです。



カヌレのレシピと作り方~動画

最後に今日的なカヌレの作り方をご紹介します。
型には溶かしバターを塗っています。

材料

500 g lait  ミルク

50g de beurre  バター

250g de sucre en poudre  粉砂糖(ふつうの砂糖でOK)

125g de farine 小麦粉

2 œufs entiers + 1 jaune d’œuf 全卵2 卵黄1

1/2 petit verre de Rhum ambré Negrita ダークラム(ラム酒)小さなガラスの器に1/2 

1 gousse de vanille バニラのさや

※単語メモ
ambré 琥珀色の
petit verre この入れ物はフランスの規格でしょうか?ラム酒は香りづけなのでお好みで。このレシピではたくさん入れてますね。
Negrita はブランド名
gousse さや

作り方

1. ミルクにバターとバニラのさやを入れてレンジで加熱しバターをとかす

2. 卵をボールに割り入れ、かきまぜる

3. そこへ砂糖を投入、混ぜる

4. ラム酒を入れる、混ぜる

5. 小麦粉を投入、混ぜる

6. 卵の生地に、牛乳とバターをとかしたものを投入、混ぜる⇒生地のできあがり。

※バニラの大きなさやは取り除くこと。
バニラは高価なので、乾かして砂糖と一緒にびんに入れてバニラシュガーを作るのに使うといいです。

7. 冷蔵庫で生地を最低12時間寝かせる

8. 型に溶かしバターをぬり、生地を流し込んで焼く

中はもっちり、外側はかりっと焼ければ成功。

☆12時間☆
動画でどのぐらい寝かせるかのところで、au minimum 12 heures (douze heures)と言ってます。ここはうっかりすると、2時間(deux heures)と聞き間違えそうなところ。

しかし、そのあと、ダミアンが également une nuit (一晩ってことだね)と言い、次のシーンでは女の人が違う服を着ているので、2時間ではなかったのだろうと判断しました。

参考⇒フランス語の数字【第14回】~12(ドゥーズ)

「フランスのお菓子」この続きはこちら⇒ブッシュ・ド・ノエル~フランスのお菓子~その2(前編)

型が小さいと、焼くお菓子の数が増えるので手間がかかります。しかも、この型にいちいち油をひかなくてはなりません。

今はシリコン型やスプレーでしゅーっと油を引く便利なものがありますが、昔はもちろん手作業。

さらに、カヌレの生地は半日以上寝かします。

生地作りそのものは簡単ですが、せっかちな現代人には作るのにちょっぴり忍耐力を、強いられるお菓子かもしれません。






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