カラスとキツネ

フランス語を読む練習

カラスとキツネ(タイトルのフランス語:第7回)

『カラスとキツネ』というお話のフランス語のタイトルを紹介します。

これは、ラ・フォンテーヌの寓話の中でも有名な詩の一つですね。イソップ童話にもなっています。

ラ・フォンテーヌはフランスの詩人で、代表作がこの詩の入っている寓話詩(Fables 1668-1679)。

Fablesには、さまざまな教訓の入った詩が集められています。どれもとても美しい詩であり、ルイ14世が統治していた社会の風刺だそうです。

この詩の中からとられた名言、

Cette leçon vaut bien un fromage, sans doute.
この教訓は、たぶんチーズ一切れの価値があります。

が、先週のラジオ講座のストリーミング放送に出て来ました。

はたしてどんな教訓だったのでしょうか? きょうは原文にあたってみましょう。



カラスとキツネ(Le Corbeau et le Renard)

Le Corbeau et le Renard

Maître Corbeau, sur un arbre perché,
Tenait en son bec un fromage.
Maître Renard, par l’odeur alléché,
Lui tint à peu près ce langage :
“Hé ! bonjour, Monsieur du Corbeau.
Que vous êtes joli ! que vous me semblez beau !
Sans mentir, si votre ramage
Se rapporte à votre plumage,
Vous êtes le Phénix des hôtes de ces bois.”
A ces mots le Corbeau ne se sent pas de joie ;
Et pour montrer sa belle voix,
Il ouvre un large bec, laisse tomber sa proie.
Le Renard s’en saisit, et dit : “Mon bon Monsieur,
Apprenez que tout flatteur
Vit aux dépens de celui qui l’écoute :
Cette leçon vaut bien un fromage, sans doute. ”
Le Corbeau, honteux et confus,
Jura, mais un peu tard, qu’on ne l’y prendrait plus.

アニメと朗読

和訳をしてみます。詩にはなっていません。

カラスとキツネ:和訳

カラスさんが、木に止まって
くちばしにチーズをくわえていました。
キツネさんが、その匂いにひかれて
カラスさんに、こんな感じのことを言いました。
「おや、こんにちは。カラスさん、
あなたはすごくきれいですね。本当にご立派でいらっしゃる。
お世辞抜きで、もしあなたのさえずりが羽と同じようなら
カラスさんはこの森の住民の中の王者でいらっしゃいますな。
この言葉に、カラスは思わず我を忘れ
美しい声を聞かせるために
大きなくちばしを開け、チーズを落としてしまいました。
キツネは、それをつかみ、こう言いました。
「カラスさん、お世辞を言う者はみんな、
そのお世辞を真に受ける人間のおかげで生きている、
ということを学んでください。
この教訓はおそらく、チーズ一切れの価値はありますね。」
カラスは、恥ずかしさで当惑し
少しばかり遅かったけれど、二度とその手にのるものかと心に誓いました。

単語メモ

古い話で、かつ詩なので、ちょっと単語が難しいです。

alléché < allécher 引き寄せられる

tint < tenir 単純過去 (古) ~と主張する

langage 言葉使い、話し方

semblez < sembler ~に見える、思われる

ramage 鳥のさえずり

plumage 羽、羽毛

se rapporter à qn (古い言い方)~と一致する、符合する、類似する 

hôte(詩で)住人

ne pas se sentir (de+無冠詞名詞) (~で)我を忘れる

proie 獲物、餌食、食べ物

se saisit < se saisir つかむ

sans doute おそらく

confus 恥じ入った、当惑した

jura < jurer ~を誓う

朗読はあちこちにありますが、Il était une histoire…をご紹介しておきます。一文一文練習もできますよ⇒Lire l’histoire : Le Corbeau et le Renard – Fables-poesies – Il était une histoire

「カラスとキツネ」の教訓

この話の教訓は「おだてにのってはいけない。口のうまい者にうっかりだまされてはいけない」といういものですね。

カラスは人が(鳥だけど)よすぎたのでしょうか?それとも、自己顕示欲が強すぎたのでしょうか?

口をあけたらチーズが落ちるということにまで、気が回ってなかったのは確かです。

カラスの鳴き声は必ずしも美しいとはされていません。そのカラスが「あなたの、声がきれいなら」と言われて「それなら、聞かせてやろう」とさえずろうとしました。自分では、まんざらでもないと思っていたんでしょうね。

ルイ14世の統治下には、キツネのようなおべっか使いがたくさんいたのかもしれません。

★次のお話はこちらから
第8回『青い鳥』



チーズについて補足

さて、カラスってチーズを食べるんでしょうか?

フランスにはチーズがいっぱいあるから、きっと、食べるんでしょうね。

そういえば、「プチ・ニコラ」の映画のワンシーンに校長先生が生徒にこの詩を暗唱させる場面があります。

暗唱は始まらず、チーズのことで子どもたちが言い争いを始めてしまいます。

Alors, euh… Vous, mon jeune ami. Récitez-moi Le corbeau et le renard.
Euh … Je ne la connais pas par coeur, monsieur, je me souviens juste que c’est un corbeau qui tient dans son bec un roquefort.
Mais non ! C’est un camembert.
N’importe quoi ! Un camembert il n’aurait pas pu le tenir dans son bec, ça coule et puis ça sent pas bon.
Ça suffit ! Ça suffit ! Vous vous calmez, vous vous calmez ! Calmez-vous !

よし、きみ「カラスとキツネ」を暗唱してみたまえ。
えーと、暗記はしてないのですが、ロックフォールチーズをくちばしにくわえたカラスのことだけ覚えています。
違うよ。あれは、カマンベール。
馬鹿言うなよ! カマンベールがくちばしでくわえられるわけないじゃん。だらだらたれるし、くさいし。
いい加減にしなさい!静かに!静かにしなさい!

こんなシーンでした。

・ロックフォールは羊の乳から作ったブルーチーズ

ロックフォールチーズ

・カマンベールは外側に白いカビをつけて熟成させた柔らかいチーズ。ノルマンディーのカマンベール村が原産です。

カマンベール

フランスの作品を理解するためには、チーズに関する基礎知識も必要かもしれません。






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コメント

    • ランブイエ
    • 2015年 1月 09日

    20年前によく分からずに読んだ18世紀の短編小説を、読み返しています。そこにロココ時代の画家の名前N.Halléが出てきたので調べていたら、Fableを題材とした絵を得意とした人だったので、Fableを調べていたら…何とペンさんのブログに辿り着きました!!
    何時も有り難う。色々と情報を載せていただいて助かっています。

      • フランス語愛好家
      • 2015年 1月 10日

      ランブイエさん、こんにちは。
      へ~、18世紀の小説を読んでいるのですね。
      すごいです。

      最近、「タイトルのフランス語」書いてませんが
      また書こう、と今思いました。

      コメントありがとうございます。うれしかったです。
      これからもよろしくお願いします。

      pen

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