不定期に、私がフランス語の学習を始めたばかりの頃の日記をのせています。
きょうはトリュフォー監督の映画のタイトルのフランス語をチェックし始めた話の続きです。
映画のタイトルで語彙増強をはかろうとしたが
なぜトリュフォー監督の映画の話を書いていたのかというと、タイトルの単語を調べていたのです。
いわゆる語彙増強です。
ただ、文法を知らなかったので、かなり無理がありました。
文法は一応、ラジオ講座を聞きながら勉強していたのですが、当時、まだ開始三ヶ月あたり。それに、一度聞いただけだと、ぴんと来ません。
しかもこの「サトシのナント留学記」、すごく進度が速かったです。今の久松先生のも速いですけどね。
ラジオ講座の初級編を聞いて、テキスト見て、というやり方をするのであれば、3シーズンぐらい聞いて、ようやくなんとなくわかってくる感じでしょうか。
たまに、勉強を始めたばかりで「これがよくわかりません!!」とパニックになっている方がいますが、いきなりはわからないようにできているのです。
語学はペンキを塗っていく作業と似ています。壁にペンキを塗る場合、下塗りを2~3回して、本塗りを2回ぐらいしますよね?
年月が減るにしたがって劣化するので、また塗り直します。
ちなみに、きれいに仕上げるコツは、一定のペースで一定の方向へゆっくり塗っていくことですね。
では、昔の日記を紹介します。
2009年7月1日の学習日記
三作目は 1958年の histoire d’eau 勉強を始めて三ヶ月、ラジオ講座を24回分聴いた今、なんと両方とも知っている単語だ。水の物語、と訳せるだろうか。
eauの前についている d’が気になる。
ラジオ講座で、水のような数えられないものには、部分冠詞というのがつく、ときいた。男性名詞につく部分冠詞は、du 女性名詞につくのは de la.
しかしは母音字で始まる名詞には、男性、女性ともに、de l’ がつく。 例として、de l’eau (水)があがっていた。これはd’だから、冠詞じゃなくてまだ習っていない前置詞かなと思う。
放送ではとりあげられない文法事項で、その日の放送に関連のあるものは「フランス語豆知識」というページにのっているので、そこにあるかもしれない)。
↓
例の仏英学習辞書*で調べてみた。
d’は abbreviation:de とある。de の短くなったものということだ。そのすぐ下に、a,e,i,o,u,y silent h の前につく、との説明。
そして、de, d’,du,des を見たら、前置詞であった。この場合の意味は2番目にあがっている定義のof だと思われる。
例)un verre de limonade が a glass of lemonade
このあと定義が10番まであったが、混乱するので今は読まずにおく。
さて、すぐ次にエントリーされているのが、この de, d’,du,des という組み合わせで déterminer (冠詞、だと思う**)である。全く同じつづりと読みで前置詞と冠詞があるなんて・・・・まぎらわしい。
・・・昔の日記ここまで・・・・
(*)この仏英辞書はこれです⇒初めて買った辞書:Oxford Learner’s French Dictionary
(**)determiner は限定詞 フランス語の場合は、冠詞、指示形容詞、所有形容詞など。
このあとまた映画の話を書いているのですが、きょうは前半でとどめておきます。
deは冠詞も前置詞もある
この映画の正式なタイトルは Une histoire d’eau
「水の話」という邦題がついています。
水はそれ自体は、形がなく数えられないので部分冠詞がつきます。
水を飲みたい。
Je veux boire de l’eau.
日記に書いてあるようにde l’が部分冠詞。水 eau が母音で始まるので、この部分冠詞がつきます。
部分冠詞は形のないもの、部分的にとらえているものにつける冠詞ですね。
ところがこの映画のタイトルのeauには冠詞がついてない!
ちなみに、このeauは洪水の水のことです。でも通常「洪水」の意味で使うときは les eaux と複数形にします。洪水でそのへんにあふれている水だと考えると、その水を形のないものとしてとられているから、部分冠詞がつくはず。
水びたしになった街の混沌というように、抽象的にとらえても、冠詞はつきます。
フランス語の場合、どんな名詞にも冠詞がつくという大前提がありますので。
フランス語を始めたばかりなのに、いきなりかなり難しいことを考えていますね。きょうは過去の私に、少しヒントを書いてあげましょう。
まず、このd’はdeという前置詞で「~の」という意味です。冠詞ではないのですね。
プチ・ロワイヤル仏和辞典第3版には巻末に文法解説がのっており、冠詞のところに「冠詞の省略」として、冠詞をつけない場合が17個(!)列挙されています。
Une histoire d’eauはこれかもしれないと思うのが2つありました。
(12)「前置詞+名詞」が他の名詞を修飾し、全体が複合名詞のようなまとまりをなす場合。
une salle de classe 教室
un bureau de poste 郵便局
une tasse à café コーヒーカップ
les vêtements pour homme 紳士服
(冠詞を伴うこともある。une robe du soir イブニングドレス)
・・・フランス語脳プロジェクトの仏作文力養成講座では、こういうのはすべて表現モデルとして覚えるしかないと言われた気がします。
(14)前置詞の次に来る不定冠詞複数のdesと部分冠詞は省略する
une maison entourée d’arbres 木々に囲まれた家
(←entourée de + des arbres)
なんとなく Une histoire d’eau の場合、14番だと思いますが違うかもしれません。
ちなみに、上記の日記の後半部分で書いているのですが、この映画は、トリュフォー監督とゴダール監督の共作です。
タイトルはゴダール監督が考えたもので『O嬢の物語 (Histoire d’O)』と韻を踏ませているそうです。
『O嬢の物語』は1954年に出版され、55年にドゥ・マゴ賞というのをとっています。
この映画を撮影したころ、まだ記憶に新しいタイトルだったのでしょうね。
★入門日記第12回はこちらから⇒トリュフォーの「大人は判ってくれない」の原題は?
☆入門日記の目次もあります⇒フランス語入門日記~目次を作りました
冠詞と前置詞は日本語にないコンセプトなので習得が難しいですね。
長く勉強している人の中でも苦手な人は多いのではないでしょうか。
こんにちは、
ペンキ塗りに例えた 語学が身についてゆくようす
なるほどーーです。
日本語は知らないうちに使っていた、それしかない、
という言葉ですが、
外国語は自分で学ぼうと思って、すこしずつ身につけて
ゆくものですが、最近どうやって自分にその言葉が
身について行くのか、過程そのものにも興味が
でてきました。
日記形式でかいたら記録にもなりますね。
花南さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ペンキ塗り、似てると思います。
文法ならば、同じところを何度もやって、少しずつ精度をあげてく感じですね。
昔は一週間に一度、その週やったことを日記に書いていました。
フランス語脳プロジェクトを始めて、ブログを書くようになってからはやめましたけど。