一人

フレンチポップスの訳詞

Dommage (ドマージュ):ビッグフロー・エ・オリー、歌と訳詞。

フレンチ・ポップスを聞きながらフランス語になじむシリーズ。今回は、また男性デュオです。ビッグフロー・エ・オリー(BigFlo et Oli)の、Dommage(ドマージュ)を紹介します。

ビッグフローとオリーは兄弟で、自分たちの名前をグループ名にしました。「さくらと一郎」みたいな感じです。

ラップミュージックですが、この曲はゆっくり、しみじみと歌っているので聞き取りやすいです。

dommage は「残念なこと」です。

自分のやりたいことがあるのに、勇気を出せず、現状維持でとどまっている4人について語り、「いや、本当、残念だよね~。最後のチャンスだったかもしれないのにさ」と歌っています。



Bigflo et Oli ドマージュ

それでは訳詞に挑戦!

ドマージュ(残念)

ルイは毎朝バスに乗る
この美しい女性と乗り合わせる。いい匂いの香水も一緒さ
自分のところに来て話しかけてほしい。毎日ルイはそう思う
ルイの心の奥底にあるものは、人が愛と呼んでいるもの
でも、ルイは人見知り
彼女ときたら、とても美人だ
彼は彼女のところに行きたくない。自分の座席から身動きしない
一度、彼女はルイにほほえみかけた。バスを降りるとき
その日以来、ルイは二度と彼女を見ていない

ああ、ルイは彼女のところに行くべきだったのに。そうするべきだったのに
そうだよね
みんなそう言ったさ。ああ、本当に残念。残念だ。これが最後だったかもしれないのに。

ヤスミンは美しい声の持ち主。自分に才能があるのを知っている
人生の中で嵐のような時は、音楽が彼女のよりどころ
彼女の音楽にふれれば、世界は彼女の足元にくる
でもヤスミンの父親は、こう繰り返した。「まともな仕事を見つけなさい」
時々ヤスミンは、スポットライトの中にいるところを想像する
ステージで賞賛の声を受け、花束を投げられる
でもヤスミンは錆びついて、日常にからめとられている
歌を歌うこともある。工場で仕事中にね

ああ、ヤスミンは好きな道に進むべきだったのに。そうするべきだったのに
そうだよね
みんなそう言ったさ。ああ、本当に残念。残念だ。これが最後だったかもしれないのに

ディエゴはソファーに倒れ込んでいる
弟を怒鳴りつける。弟がテレビの前を横切るから
友達は出かけたけど、ディエゴはついていかない
よく一人だから、月が彼の友達さ
悲しくて、夜、何もしたくない
ディエゴは落ち込んでいる、生涯の恋人が見つからないから
でもさ、かわいそうなディエゴ、君は間違ってるよ
きょう君がパーティに行けば、その人に巡りあったのだから

ああ、ディエゴは行くべきだった。そうするべきだった
そうだよね
みんなそう言ったさ。ああ、本当に残念。残念だ。これが最後だったかもしれないのに。

ポリーヌは控えめな性格。自分がきれいなことを忘れている
体中に空色のしみがついている(☆pen注:夫に殴られて青あざだらけ、ということ)
もうすぐ夫が帰ってくる。そんなこと、考えるだけでいやだ
夫がポリーヌの手をつかむときは、ダンスをするためじゃない
ポリーヌは市役所や、自分の決心を思い出す
きょうの午後、彼女は荷物をまとめた
ポリーヌには将来があるけど、育てなきゃならない息子もいる
最後のダンスのあと、彼女は立ち上がらなかった

ああ、ポリーヌは出ていくべきだった。そうするべきだった
そうだよね
みんなそう言ったさ。ああ、本当に残念。残念だ。これが最後だったかもしれないのに。

何もしないで後悔するより、したいことをして後悔するほうがまし
何もしないで後悔するより、したいことをして後悔するほうがまし
何もしないで後悔するより、したいことをして後悔するほうがまし
したいことをして後悔するほうがまし。それが肝心さ

単語メモ

croisait  < croiser  出会う、すれ違う

collé à < coller à  はりつく、くっつく

Crois-moi (相手の同意を求めて)そうでしょう、そうじゃない? 

bouée   救命ブイ、浮き輪

rouillé < rouiller 錆びさせる、衰えさせる

affalé   (椅子などに)倒れ込んだ  ←affaler (口語表現)

engueuler   どなりつける、ののしる、きつくしかる (口語表現)← gueule

tenir compagnie à qn/qc  ~と一緒にいてあげる、のお相手をする、につきものである。

déprimer  意気消沈させる、落胆させる

de sa vie   生涯にかかわる ☆saは人称に合わせて変化します。

remords と regret はともに「後悔」という意味ですが、文脈から考えて、何もしない後悔より、何かをしたあと後悔するほうがまし、と訳しました。

☆ポーりーヌが市役所( mairie)のことを考えるのは、役所で結婚手続きをしたからです。フランスで結婚するには、まず役所でしかるべき手続きをする必要があります。

詳しくはこの記事をどうぞ⇒民法上の結婚とは ☆リンク先はFC2ブログです。

時制メモ

ほとんどが現在形で、たまに複合過去が出てきます。

リフレインの部分の、Ah il aurait dû y aller, il aurait dû le faire

は 条件法過去形です。過去のできごとで現実とは反対だったことを言い表しつつ、そうするべきだったのに、と後悔や非難の気持ちを表す用法です。

il aurait dû y aller 部分の訳は、4人それぞれの状況に合わせて少し意訳してます。

ポリーヌの、Après la dernière danse, elle s’est pas relevée は 直近で夫に殴られたとき、立ち上がれなかったとは、死んでしまった、ということです。みなで、彼女のお墓の前で、「ああ、本当にドマージュ」と歌っています。

ディエゴの C’était à cette soirée que t’allais la rencontrer は半過去。今晩のパーティに行けば、彼は恋人に出会っていた、という意味。



ビッグフロー・エ・オリー(BigFlo et Oli)のプロフィール

この2人はトゥールーズ出身の兄弟で、本名は、ビッグフローのほうがフロリアン(Florian)、オリーが、オリヴィオ( Olivio)。

小柄で細身のほうがお兄さんのビッグフローです。

父親はアルゼンチンの人、母親はアルジェリア系のフランス人。

父親はサルサの歌手でお母さんも、フランス音楽(ジャック・ブレルやシャルル・アズナブールなど)が大好きだったので、小さなときから音楽に囲まれて育ちました。2人とも、音楽学校で楽器を学んだりしています。

2014年にEP盤、Le Trac を発売してデビュー、2015年に La Cour des grands、2017年に La vraie vie というアルバムを発売。

1枚目のアルバムはアルバムチャートで2位、2枚めのアルバムは1位となり、すでにかなりの人気者です。DommageはLa vraie vie からシングルカットされた曲で、これまでのところ、2人の最大のヒット曲です。

ビッグフロー・エ・オリーは、ラップミュージシャンですが、その題材は、日常のことや、人生の問題です。

もう1曲、Alors Alorsという曲のPVを紹介します。

東京、ニューヨーク、ダカールを旅する2人が見られるおもしろい動画です。ビデオの最初に出てくる紙によれば、1週間で3カ国を回っています。ダカールはセネガルの首都です。

フランスのパスポートの表紙にある、遠目に見るとくしゃくしゃしたものは、フランスの紋章で、ライオンやら月桂樹の葉、オークの葉、束ねられた棒、斧がデザインされています。

ウイキペディアによると、公式の紋章ではないものの、1953年以降、フランスの象徴とされています。

フランスのパスポート

La vraie vie のアルバムの表紙。日本のアマゾンではストリーミングで聞けます。

これ、2人が子供のときの写真ですね。かわいいです。きっと仲のよい兄弟なのでしょう。

前回紹介した男性デュオはこちら⇒Le chant des sirènes(人魚の歌声)、フレロ・デラヴェガ(歌と訳詞)

来日したということは、B&Oは日本でも人気なのでしょうか?

東京の街中で大きな白いマスクをしているのは、日本人のパロディ(?)ですね。このマスク、外国の人にはとても異様に見えるようです。

まあ、私自身も、実家のそばの公園で、大きなマスクをしている女性をはじめて見たときはぎょっとしましたし、娘もびっくりしていました。






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