フランスの子ども新聞、jde.fr から、フランスの大統領選挙に関してごく基本的な説明を書いている2017年3月2日の記事を2つ紹介します。
jde.frは9歳から14歳向けの新聞となっています。
タイトルは、Les clés pour comprendre l’élection(選挙を理解する手引)です。
フランスの大統領選挙を理解するために
今年の4月23日と5月7日に、フランス国民は共和国の新大統領を選出します。この選挙はどんな仕組みになっているのでしょうか?
フランスは民主主義国家で、主権は国民にあります。けれども、みんなが同時に国を指揮するのは不可能です。
そこで、指導者を任命しなければなりません。選挙が定期的に行われるのはこのためです。
次の選挙は、4月23日と5月7日にあり、共和国の大統領という、国でもっとも権力のある人を選出するために行われます。
Précieux droit de vote 貴重な選挙権
投票するためには、18歳以上で、選挙人名簿に登録していなければなりません。
すでに大勢のフランス人が投票に行かないことがわかっています。
投票権は貴重な権利です。
世界では、たくさんの人々に選挙権がなく、国の運命を決めるごく少人数のグループの権力のもとに、自分の意見を言うことができないまま甘んじています。
フランスでは、歴史を経る中で投票権が獲得されていきました。
たとえば、女性は1944年までは選挙権がありませんでした。
投票することは重要です。しかし、投票を拒否することも同様に意味があります。
投票しないことは、無関心や不信感、政治家の政策を拒否する気持ちを表しています。
多くのフランス人が投票しないのはこんな理由からです。
Règles précises 明確なルール
かつてないほど、候補者は政策によって、最大限の有権者を説得しなければなりません。公約のリストは3月20日か21日に発表される予定です。
候補者は全員すでにキャンペーンを始めています。
選挙が公明正大に行われるように明確なルールがあります。その大部分は憲法と選挙法に記載されています。
5月7日に選出された人がフランスの第25代大統領になります。1848年に初代大統領になったルイ=ナポレオン・ボナパルトから続く長い伝統です。
元記事 → JDE | Les clés pour comprendre l’élection
単語メモ
commander 指揮する
désigner 指名する、任命する
dirigeant 指導者、幹部
liste électorale 選挙人名簿
se déplacer 出向く
subissent < subir 3人称複数現在 受ける、被る、耐え忍ぶ
au fil de qc ~の流れにそって、つれて
plus que jamais かつてないほど
succéder à ~のあとを継ぐ
もう1つ、同じ日にアップされたComment fonctionne l’élection ?(選挙はどんなふうに行われるのか)も紹介します。
Comment fonctionne l’élection ? 選挙はどんなふうに行われるの?
フランスの選挙人はみんな選挙権があります。4月23日に、ある候補者が過半数の得票を得れば、選出されます。
しかし、このようなことはフランス共和国の歴史では今までなかったことです。
その場合、当選未定で、第2回投票(決戦投票)が行われます。
第1回投票で獲得票が多かった2人の候補者が5月7日の第2回投票に出ることができます。
有権者は再度、投票をします。
Vote secret 秘密投票
誰に投票するかは秘密で行われます。投票への干渉を防ぐためです。
結果は午後8時にならなければ発表されません。この時間、すべての選挙会場が閉まります。
もしテレビやラジオ、フランスのインターネットのサイトが8時より前に結果を発表すると、あとで大きな修正をすることになる恐れがあります。
元記事 → JDE | Comment fonctionne l’élection ?
ballottage 第1回答票での当選未定。
大統領はどんなふうに選ばれるのか?
私がよく記事をとりあげているもう1つの子供新聞、1jour1actuが作っている、1jour1questionで、Comment est choisi le président de la République en France ?(フランスでは共和国の大統領をどんなふうに選んでいるのか)という動画があり、参考になります⇒Comment est choisi le président de la République en France ?
動画を埋め込みたかったのですが、埋め込みが制御されていました。
フランス大統領選挙の二大特徴を簡単に書くと
1.)国民が直接選ぶ(直接選挙。suffrage universal direct)
2.)2回投票がある
1回目の投票で過半数を獲得した候補がいなかった場合、得票の多かった上位2人の候補者から1人を選ぶ第2回答票が行われます。
フランスの海外県や海外領土でももちろん投票が行われます。また、受刑者も投票できると1jour1questionの動画で言っていました。
1jour1question毎日、子どもたちの質問に一つずつ答える趣向の動画です。1分ちょっとと短いし、漫画があってわかりやすいので貴重なりソースです。
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フランスの大統領選挙は5年に1回です。王様のいないフランスでは、大統領の権力は極めて大きいです。
国民が直接投票するため(しかも2回)、選挙の前はひじょうに盛り上がります。子ども新聞でも、選挙関係のニュースが増えていくと思うので、今後も適宜紹介します。
不正給与疑惑のせいで、出馬が危ぶまれていたランソワ・フィヨン元首相ですが、6日に行われた中道右派・共和党の幹部の会議で、フィヨン氏を支持し続けることに決まりました。
まあ、今から、ほかの候補者を立てるのも大変ですよね。
なにせ、第1回投票は来月なのですから。
今回の選挙は、国民戦線(極右政党です)のマリーヌ・ルペン党首が大統領になるかもしれないので、各方面から注目されています。
彼女が大統領になったら、フランスもEUから抜けてしまう可能性があります。世論調査で、今のところ一番人気があるのがマリーヌさんです。
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