2019年5月23日から26日にかけて、欧州連合(EU)の加盟国で、欧州議会の議員を決める選挙が行われました。
この選挙の結果を伝える子供新聞記事を和訳します。
ごく簡単に書かれていますが、今回の選挙の特徴はすべておさえてあります。
欧州議会選挙:結果はいかに?
Élections européennes : quels sont les résultats ?
5月26日の夜、欧州議会選挙の結果が明らかになりました。どの政党が、新しい欧州議会の議員751人を送り込むのかわかったのです。
予想通りの勝利もありましたが、予想外のことも起きました。1jour1actuが2019年欧州議会選挙の結果をお伝えします。
ヨーロッパ市民それぞれが、自分と同じ考えをもっている議員のリスト(それぞれの政党)に投票しました。このリストをたくさん獲得すればするほど、欧州議会に議員を送り込むことができます。
新選挙が終わって、議席を失った政党もあれば、獲得した政党もあります。
反欧州連合の政党が伸びた
欧州連合の存在に批判的な政党が751の議席のうち173議席を獲得しました。
いまや彼らは議会で、2番目に大きな勢力です。
イタリア、ハンガリー、イギリス国民が、おもにこうした政党に投票しました。
反欧州連合の政党の議員は、内側から、彼らの言葉によれば、欧州連合のうまくいっていないところを変えたいのです。
フランスはどうでしょうか?
マリーヌ・ル・ペンが率いる国民連合(e Rassemblement national)がこうした政党ですが、この政党が、首位に立ち、22の議席を獲得しました。
与党は弱体化
欧州議会は以前よりも分離しました。40年以上議会の中心になっていた2つの大きなグループが、80人の議員を失いました。
今後、彼らが法律を通すことはより難しくなります。
フランスはどうでしょうか?
共和国大統領の政党である、共和国前進(la République en marche)が国民連合にわずかに及ばず2位でした。
エマニュエル・マクロンの政党にとっては残念なことですが、それでも欧州議会に21人の議員を送り込むことができます。
緑の党の躍進
この選挙ではとても驚くことがありました。
フィンランドやドイツなどたくさんの国で、ほとんどの国民が緑の党に投票したのです。
このような政党は、環境に配慮した法律をより提案したいと考えています。緑の党は全部で77人の議員を送り込むことができ、前に比べると25人増えました。
フランスはどうでしょうか?
フランスでも、環境保護者の躍進は同様に目を見張るものでした。ヨーロッパ・エコロジー=緑の党(Europe écologie-Les Verts)が第3位で、2014年の選挙のときより、ずっと多くの議席を獲得しました。
高い投票率
世論調査の数字とは裏腹に、たくさんの有権者が投票しました。欧州連合の28カ国で、2人のうち1人以上が投票したのです。
ヨーロッパの政治に関する関心の高さを物語っています。
フランスはどうでしょうか?
やはり2014年のときより、たくさんの国民が投票し、2人に1人以上が投票所に行きました。
元記事 → Élections européennes : quels sont les résultats ? – 1jour1actu.com
単語メモ
à l’issue de ~のあとで
anti-européens 反欧州連合、欧州連合懐疑派
hongrois ハンガリーの
déception 失望
écolo エコロジスト、環境保護を主張する人
2019年欧州議会選挙の特徴
■ 投票率が高かった
今回の投票率51%弱で、1994年、56.7%を獲得して以来、50%以下にさがっていた投票率が50%を上回りました。
記事にもあるように、現在、より多くの人がヨーロッパの政治(欧州連合の動き)に興味を持っているからです。
いま、イギリスがEUを脱退することに決めた(Brexit)のに、国内での意見がまとまらず、なかなか脱退しない、という問題があります。
また、全体的に、既存の中道の政党の人気が落ちているし、移民は困った存在である、という半グローバルな動きもあり、欧州連合にとっても転換期だからだと思います。
■ フランスでは極右政党が1位を獲得
マリーヌ・ル・ペンの国民連合が得票率23.3%で首位を獲得。その次が、マクロン大統領の政党の22.4%です。
まあちょっぴりしか違いません。
3位が緑の党で13.5%。
■ 緑の党の躍進
異常気象が続いているし、このままでは地球が大変なことになる、という危機感を持っている人が多いので、緑の党が得票を伸ばしたのでしょう。
私も危機感を持っている1人です。
欧州議会選挙関連動画
欧州議会選挙って、そもそも何なの? なんで、そんなに大騒ぎしているの? という人の参考になる動画を紹介します。
A quoi servent les élections européennes ?
欧州議会選挙はどんな役割を果たしているのか?
イラストで説明しているし、とてもゆっくり話しているのでわかりやすいです。
3分47秒
欧州議会は欧州連合の国会みたいなもので、各国から選出された議員が、EUの法律を考えて通したり、予算を決めたりします。
欧州連合で決まった法律は、加盟国全部に適用されるから、重要なのです。
議席は全部で751。議員の任期は5年。
本会議はフランスのストラスブールで行われ、各種委員会はベルギーのブリュッセルで行われます。
現在、EUには28カ国が参加していて、各国から議員が送り込まれますが、送る議員の数は、その国の人口によって違います。
一番人口の多いドイツは89人、その次のフランスは74人、その次はイギリスで73人送り込みます。人口の少ないマルタは6人です。
イギリスはもうすぐ脱退するはずなのに、議員を送り込むのかい、と思うわけですが、もしかしたら、また国民投票があるかもしれないので、なんともいえません。
選出された議員は、政治的な主張によって8つのグループに分けられ議論をします。
それぞれの国で、選挙をして、どの政党の議員を送り込むか決めます。
先に書いたように、フランスでは極右の政党が僅差ではありましたが、首位でした。
最近、マクロン大統領の人気は落ちていますから、こうなってしまうのも無理はないのかもしれません。
こちらは、欧州議会選挙に投票する人たちって誰? という1jour1questionの動画です。
先に紹介した動画と同じことを話していますが、子供むけなのでずっとわかりやすいと思います。
最後に今回の結果を説明している大人向けのニュースクリップです。
5分2秒。
これだけ見れば、欧州議会については、だいたいのことはわかるのではないでしょうか?
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今回は、2019年の欧州議会選挙の結果をお伝えしました。
欧州議会では、大きな国の発言権が大きいですね。まあ、それはEUじゃなくても同じですが。
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