2017年5月7日の日曜日、フランスの大統領選挙(決選投票)が行われ、中道無所属のエマニュエル・マクロン氏が当選しました。彼は39歳で、フランスの史上、最年少の大統領です。
決選投票の結果を伝える子ども新聞、1jour1actuの記事を紹介します。
マクロン大統領の誕生
Et le nouveau président de la République est… Emmanuel Macron !
そして、フランス共和国の新しい大統領はエマニュエル・マクロンです!
昨日、大統領選の第2回投票が行われ、エマニュエル・マクロン、「前進! En Marche !」という政治グループのリーダーですが、彼が65.82%の票を集め当選しました。彼はフランス共和国の第25代大統領となります。
数週間の選挙戦を経て、大統領選挙が終了し、フランスの新大統領の名前が明らかになりました。エマニュエル・マクロンです。3年前には、彼はフランス国民にはほとんど知られていませんでした。ほんの1年前に、「前進! En Marche !」というグループを設立したばかりです。
彼は、大統領選の第2回投票で選出されました。この選挙は4700万人近くのフランス国民に投票権利がありましたが、結局、3500万人の有権者が投票し、残りは棄権しました。
決選投票の前から本命だったマクロン
マクロンは65.82%の票を集めましたが、この結果は予想外のできごとではありません。事実、彼は、第1回投票でトップでしたし、世論調査でも彼の勝利が見込まれていました。
先週行われたテレビ討論(le débat de l’entre-deux-tours 直訳は「2回の投票の間の討論」)で、マリーヌ・ル・ペンに対して、有利にすすめたマクロンに支持が集まっていました。
2回の投票の間に、各方面から支持を得ることができたのも、彼が国民戦線の候補者に勝つ助けになりました。ライバルであった、ベノア・アモンやフランソワ・フィヨンなどの政治家が、第2回投票では、マリーヌ・ル・ペンには投票しないように国民に呼びかけました。
世界の影響力のある人たちもマクロンを支持しました。たとえば、元アメリカ大統領のバラク・オバマは、ビデオで、マクロンへの支持を表明しました。
新大統領は左派でも右派でもない。何が変わるのか?
39歳のエマニュエル・マクロンは、これまでの大統領とは違います。前任者たちとは違い、政治の色がありません。つまり、彼は左派でも右派でもないと宣言しているのです。
元銀行員のマクロンは、大統領として、まず、国の経済の活性化をすると約束しています。彼の第1の目的は失業率を下げることです。
さらに、中学と高校の教育改革も考えています。
彼が優先的にしたいと思っているのは、6年生が全員読み書きと計算ができるようにすること。CP(小学校第1学年)とCE1 (小学校の第2学年)の生徒は一クラス12人までにしたいと考えています。
マクロンは日曜日に当選しましたが、まだ大統領ではありません。5月の13日(土曜日)か14日(日曜日)に大統領の権限が移譲されます。
その日、正式な式典が行われ現在の大統領のフランソワ・オランドがエマニュエル・マクロンをエリゼ宮に迎え入れます。エリゼ宮はパリの大統領の邸宅です。ここでオランドがマクロンに大統領の権利を移譲し、今後5年間、マクロンが大統領を務めます。
単語メモ
récolter 獲得する
se dérouler 催される
quasi ほぼ~も同然
attendre 期待する
s’abstenir 意思表示をしない、棄権する
favori 本命の、優勝候補の
CP = cours préparatoire 準備級:小学校第1学年
CE = cours élé menatire 初級:小学校の第2、3学年
フランスの小学校の学年はこちらに書いています⇒フランスの小学校:授業は長いが、成績がよくないこと
小学校6年生が読み書き、計算ができなくてどうする、と思いますが、フランスの子どもたちは、休みが多すぎるせいか学力が低下しているそうです。
補足情報
オバマ元大統領のマクロン応援メッセージはこちらです。
こちらはマクロンの当選を伝える45秒のニュース。
こちらは2017年5月8日、オランド大統領とマクロンが、ヨーロッパ戦勝記念日(Fête de la Victoire)の式典で一緒に歩いている様子を伝える動画です。
Fête de la Victoireについてはこちらの記事で説明しています⇒5月8日、ヨーロッパ戦勝記念日(VEデー)の起源とは?
2人が胸につけているのはヤグルマギク(bleuet)です。この花は退役軍人と戦争未亡人への連帯を表すものです。詳しくはこちら⇒アルミスティス(第一次世界大戦休戦記念日)を知っていますか?
2017年大統領戦に関する記事です:
予断を許さない2017年フランス大統領選挙。各候補者の支持率はこんな感じ。
エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ル・ペンが決選投票へ(2017フランス大統領選挙)
大方の予想どおり、マクロン氏が大統領に当選しました。
彼は、2004年から4年間、フランス財務省財政監査総局の監査官として働いていましたが、契約を解消して、「ロチルド & Cie」という投資銀行に転職。ここでめきめきと出世し、高給をとっていたそうです。
2012年、オランドが側近として彼をリクルート、2014年36歳でオランド内閣の経済相に抜擢されました。
マクロンは2006年から数年間、社会党に入っていたことがあり、オランド大統領の前の奥さん(事実婚)のセゴレーヌ・ロワイヤルが、2007年に大統領選に出馬したとき、支援していたそうです。だから、オランド大統領とは旧知の仲なのでしょう。
オランド内閣にて、「マクロン法」という、日曜日に仕事を休まなければならない規制などを緩和する法案を出しています。その後、2016年の4月、「左派も右派もだめだ!前進だ!」と、アン・マルシェというグループを作り、8月に大臣を辞任。
このグループを作ってたった1年で大統領になってしまいました。
行動力があることは確かです。見習いたいものです。
彼は政治家として未知数なので不安を感じている人も多いです。
しかし、マリーヌ・ル・ペンが当選すると、フランスはEUを脱退し、ユーロを廃止してまたフランを使うことになってしまいそうなので、多くの国民はマクロンに投票したのでしょう。移民は絶対ル・ペンを支持しませんし。
いずれにしろ、共和党と社会党という、既存の大政党に対して、フランス国民はもう期待していないことがよくわかった選挙でした。
この後、マクロンは内閣を作ることになります。さらに6月に国民議会の選挙があります。
オバマのような立場の人が、よその国の選挙に関して、あのようなメッセージを送るのは異例のことですね。トランプ大統領が当選したので、マリーヌ・ル・ペンが当選してしまうと心配したのかもしれません。
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