フレンチポップスを聞きながら、フランス語になじむシリーズ。
今回紹介するのは、フランスのシンガーソングライター、Séverin(セヴラン)の2011年のシングル曲、En noir et blanc(白黒で)です。
Séverinは日本ではデビューしていないため、フレンチ・ポップスを熱心に聞いている人以外には知られていないと思います。
En noir et blanc
80年代ふうのチープな感じのエレクトロ・ポップです。
それでは訳詞に挑戦!
oh oh oh oh
ça y est, je ne grandis plus
j’ai tiré le dernier trait
je me retrouve avec cette tête
cette grande bouche entrouverte
aujourd’hui je suis fini
depuis qu’il n’y a plus ton nom
gravé sur la boîte aux lettres
j’apprends à faire les courses
à reconnaître la grande ourse
j’ai même des nouveaux potes
un scooter qui clignote
et deux casques au cas où
☆oh oh oh oh
“oh oh elle s’efface”
oh en noir et blanc
“oh oh elle s’efface”
en noir et blanc
“oh oh elle s’efface”
oh en noir et blanc☆
j’ connais quelqu’un qui connaît
quelqu’un d ‘un petit peu connu
j’ai même bu quelques verres
avec ce mec populaire
la population mondiale
c’est plus que la France fois 10
☆~☆ refrain
je fais des économies
j’ai l’assurance maladie
il y a même un plan tennis
je peux me blesser c’est remboursé
j’ai compris le tri
le prix des timbres et des cartes
il y a plus que ce pola
à contourner dans l’appart
☆~☆ refrain
ça y est, je ne grandis plus
j’ai tiré le dernier trait
depuis qu’il n’y a plus ton nom
gravé sur la boîte aux lettres
j’apprends à faire les courses
à reconnaître la grande ourse
j’ connais quelqu’un qui connaît
quelqu’un d ‘un petit peu connu
oh oh oh oh
作詞作曲はSéverin自身です。
白黒になって
やった。もうこれ以上僕は成長しない
最後の線を越えたよ
この頭でわかった
大きな口を開けながら
きょう、終わったことを
刻んであったきみの名前が
郵便受けから消えてから
僕は買い物することを覚えた
大熊座を見つけることも
新しい友達だって見つけて
点滅するスクーターも
万一に備えてヘルメット2つも手に入れた
★ああ、彼女は消えていく
白黒になって
ああ、彼女は消えていく
白黒になって
ああ、彼女は消えていく
白黒になって★
ちょっとばかり知られている誰かを知っている誰かと
知り合いになった
一緒にお酒を飲みもした
その人気者とね
世界の人口は、
フランスの10倍以上だ
★~★ 繰り返し
貯金をして
生命保険にも入って
テニスコートもある
けがをしても大丈夫、保険がおりるから
片付けもできるようになって
切手やはがきの値段もわかる
この世界には、部屋の中を歩き回る以上のことがあるんだ
★~★ 繰り返し
やった。もうこれ以上僕は成長しない
最後の線を越えたよ
刻んであったきみの名前が
郵便受けから消えてから
僕は買い物することを覚えた
大熊座を見つけることも
単語メモ
traite 行程、道のり
entrouvert わずかに開いた、半開きの
la Grande Ourse 大熊座
pote 友達、仲間
clignoter 点滅する
s’effacer 消える、忘れ去られる
faire des économies 貯金をする
pola この単語の意味は不明です(辞書になかった)。文脈から「世界」としましたが、間違っている可能性、大です。
歌の内容について
ガールフレンドが出ていったあと、自分でいろいろできるようになった、そうこうしているあいだに、彼女の存在は、モノクロになってどんどん消えていっている、という歌です。
未練があり、ただ強がっているだけなのか、吹っ切れたのか、吹っ切るためにがんばっているのか、そのあたりは好きなように解釈してください。
現在形と複合過去形が出てくるだけの、平易な歌詞です。
日常生活によく出てくる単語がちりばめられているので、ボキャビルに向くかもしれません。
とはいえ、この曲を紹介したのは、フランス語の学習に向くから、というよりも、単に私の好きな曲だからです。
Séverin(セヴラン)について
セヴランは1979年生まれ。幼いときから楽器を始め、クラリネット、ギター、ピアノを演奏します。
学校で映画の勉強をしているときに、音楽の道に進むことに決めました。
名前を知られるようになったのは、One-Twoという名のデュオの一人として活躍していたときです。
2005年にこのデュオはあるコンテストに出場し、それがきっかけで2006年にファースト・アルバムを発表しました。
わりと人気が出て、2008年にセカンド・アルバムを発表。ヨーロッパをツアーしました。
その後、セヴランはソロ活動を始め、2009年に Cheesecake というアルバムを出しています。
このアルバムに入っている曲は、14曲中、1曲だけ短いインストゥルメンタル、残りの13曲はすべて女性歌手(全曲違うシンガー)とのデュエットです。
内容はポップスで、エレクトロ・ポップもあるし、ビートルズみたいな曲もあります。彼はブリティッシュ音楽に影響を受けているようです。
私がセヴランを好きなのは、欧米よりの音作りをするからでしょう。
その次に出た、L’Amour Triangulaire(2011) が、実質、セブランのソロアルバムといえます。
En noir et blanc は、 このアルバムに入っています。
L’Amour Triangulaireは、全編エレクトロ・ポップですが、最近のアルバムでは、わりとふつうのポップスやら、ボサノバふうのやら、いろいろ歌っています。
セヴランは楽器もマルチに演奏できるし、音楽性も幅広いようです。とても良質のポップソングを書く人です。
最近の曲も、近々、紹介しますね。
日本のアマゾンで、Séverinのアルバムを探したら、先に紹介したCheesecakeを含め3枚ありましたが、なぜか、L’Amour Triangulaireはありませんでした。
カナダのSportifyでは、彼のアルバム、すべてを聴くことができますが、日本のSportifyではどうでしょうか?
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以前、ピルエットという、日本ではたぶん知られていないバンドを紹介し⇒Un mec en or ザ・ピルエット:歌と訳詞、その記事でも書きましたが、
私は80年代の、やる気なさそうなエレクトロ・ポップが好きで、たまに聞きたくなります。
でもこういうのをとっても嫌いな人もいるんですよね。音楽の好みっておもしろいですね。
それでは次回の音楽の記事をお楽しみに。
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