次の日曜日、2017年の4月23日は、フランス第五共和政における11回目の大統領選挙の第1回投票です。
IFOP(フランス世論研究所)が4月18日火曜日に発表した各候補者の支持率を紹介しているEuronewsを訳します。
ひじょうに混戦模様で、誰が大統領になるのかちょっと予測がつきません。
2017年フランス大統領選挙は混戦模様
フランス大統領選挙まで4日となりました。こんなに投票結果が予測できない選挙はこれまでありませんでした。日曜日は、棄権する率が、過去最高になりそうです。
水曜日発表ののIFOPの世論調査によると、4人の候補者の支持率がほぼ並んでいます。ちょっとしたことで、どんな結果もありえます。
トップはマクロンとル・ペン
現在の状況は、エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ル・ペンが23%と22%でトップ。続いて極左のジャン=リュック・メランション、共和党のフランソワ・フィヨンも19%と健闘。
社会党の候補者はそういうわけにはいきません。ブノワ・アモンはたった8%で第5位です。
だいぶ離れて6人の候補者が、日曜日に票を争います。6人の中には2人の反資本主義者と2人のスーヴラニスト(souveranisite)を含みます。
彼らは4%を超える投票率は見込めません。
圏外の候補者たち
イェール市長のニコラ・デュポン=エニャンの支持率も4%で、反欧州連合の主張をもち、フランソワ・フィヨンとマリーヌ・ル・ペンの基盤からの投票を狙います。
反資本主義の候補者、フィリップ・プトーの支持率は3%ですが、テレビ演説のあと、SNSで評判をあげています。
支持率1%のジャン・ルサールは郷土としてのフランスの候補者でありたいと望んでいます。スーヴラニストのフランソワ・アリノーと互角に渡り合っています。
共産主義のナタリー・アルトーはもっとも支持率の少ない0.5%。ジャック・シュミナードも最低の支持率。彼は75歳で候補者の中で最年長です。
元記事 → France : l’issue incertaine du premier tour de la présidentielle | Euronews
単語メモ
scrutin 投票
aura paru < paraître の前未来
pourrait < pouvoir 条件法現在
seraient < être 条件法現在
coude-à-coude ひじを接して、並んで
IFOP-Fiducial フランス政治研究センター
IFOP Institut français d’opinion publique フランス世論研究所⇒Ifop – Connection creates value
marge 余白、マージン
habituel いつもの、普通の
notoriété 周知、有名、名声
faire jeu égal avec qn ~と互角に渡り合う
doyen 最高齢者、最年長者
souveranisite は「独立国」であることを支持する人だと思います。
2017年フランス大統領選の有力候補
大統領選には11人が立候補していますが、ニュースにあるように、大統領になる可能性があると思われているのは5人です。
このニュースで発表していた支持率の高い順番に書くと
Emmanuel MACRON エマニュエル・マクロン(前経済相)中道の無所属。 23%
Marine Le Pen マリーヌ・ル・ペン Le Front national (FN) 国民戦線(極右) 22%
Jean-Luc MÉLENCHON ジャン=リュック・メランション La France insoumise (LFI) 左翼党(極左)19.5%
François FILLON フランソワ・フィヨン(元首相)Les Républicains (LR) 共和党 19%
Benoît HAMON ベノア・アモン Le Parti socialiste (PS) 社会党 8%
今回の大統領選の特徴
社会党のアモン候補者は8%なので、たぶん決選投票には残れません。
オランド政権が不人気すぎて、オランド大統領が出馬できなかったので、彼が出馬しました。
社会党の予備選挙についてはこちら⇒社会党の候補者は誰に?2017フランス大統領選
オランド大統領、当選したときは、わりと皆から期待されていたのですが(だから当選したのですけど)。
フィヨン候補者は共和党の統一候補で、ちょっと前までは一番人気で、彼が次期大統領になると思われていましたが、ペネロプゲートで一気に支持率が落ちました。
ペネロプゲートについて⇒ペネロプゲート:大統領選の有力候補フランソワ・フィヨン元首相に家族への不正給与疑惑
それでも19%支持率があるのは、組織の力でしょうか。
メランション候補は極左で、前回の大統領選にも出ています。一番左の人なので、大統領にはなりえない感じなのですが、フィヨン候補が自ら墓穴を掘ったため、上位に浮上。また、テレビ演説で聴衆の心をぐっとつかみ、支持率上昇中です。
マリーヌ・ル・ペンは国民戦線の党首です。極右なので、ものすごく大雑把に言うと、移民は出ていってほしい、フランスはEUから離脱すべき、という主張です。そうやってフランスの国力を高めましょう、という感じ。
ちなみにメランション候補も、EUに関しては見直しが必要だ、と言っています。
フィヨン候補とアモン候補は、親EUです。この2人は、既存のエスタブリッシュメントとされる政党の候補者です。
一番人気のマクロン候補者はまだ若く39歳です。政治活動をしながらも、銀行員としても活躍。社会党に入って、オランド大統領の側近を勤め、経済改革をめざした法案(マクロン法)を考えたりしました。きっととても優秀な人なのでしょう。
2016年に彼は右派でも左派でもない政治をめざして、自らの政党というか政治グループ、「前進!(En Marche!)」というのを結成。
だから、既存の政党の候補ではないのです。
アメリカでトランプが大統領になったり、イギリスがEUを脱退することになったりする中、今回のフランスの大統領選挙はひじょうに重要です。まあ、フランスは大国なので毎回重要なのですが、今年は特に重要です。
その重要な選挙で支持率を集めている人たちは、右派でも左派でもない独自の人だったり、極端に右だったり左だったりする人なのです。
人々は、既存の政党に期待していないでしょうが、かといって、極端に右や左にも行きたくないでしょう。とするとやっぱりマクロンさんが当選するのでしょうか?
彼は若くてわりと二枚目なので、若者に人気のようです。
マリーヌ・ル・ペンは一時期人気があったのですが、最近は支持率を下げています。
決選投票には残りそうです。彼女の場合、決選投票で闘う相手が、オランドとかサルコジなどの、いわゆるエスタブリッシュメント(既成の勢力)の候補者だったら、より勝算があったと思います。
しかし、マクロンもメランションも、そうではないので、ちょっと調子が狂っているのかもしれません。
このように誰に入れたらいいのかわからない雰囲気なので、投票率は下がるだろう、と考えられています。
大統領選挙の仕組みはこちらで解説⇒大統領選 2017年フランス大統領選挙入門
第1回投票の結果はこちら⇒エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ル・ペンが決選投票へ(2017フランス大統領選挙)
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フランスの大統領選挙は、2回投票があります。
第1回投票は4月23日、決選投票(第1回投票の上位2人で選挙をし直す)は5月7日です。ちょっとドキドキですね。
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