56課のラジオ講座は、半過去と複合過去の違いについてとりあげられていました。
点と線の説明でしたね。よく出てくる例文で言うと、「私が帰宅したとき、子どもたちはテレビを見ていた」というようなのです。
帰宅したのは、そこで完結する行為なので「点」。子どもたちがテレビを見ていたのは、ある程度の時間続いていた行為なので「線」。
点のほうが複合過去、線のほうが半過去、というわけです。
では早速復習しましょう。
半過去と複合過去
半過去と複合過去の違い
半過去:継続している過去、終わりがはっきりしていない過去(未完了)、そのシーンの背景。過去の進行中の行為。過去の習慣(何度か行ったこと)。
複合過去:過去のできごと。過去のあるときにした動作(終わったことがはっきりしていること)。過去の状況において強調したい動作。メインの動作。過去の体験
言葉で説明するとこんな感じです。
半過去が背景で、複合過去がメインの動作というのは、フランス語脳プロジェクトの仏作文講座で習ったことです。
これは情報上の区別で、同じ過去のできごとを話すときでも、話し手の焦点がどっちにあたっているかで、どっちの時制を使うか変わることがあります。
例文
半過去
quand il était petit
彼が幼かったとき
幼かったときはある程度継続した過去の状態。「若かった」という状態がいつ始まって、いつ終わったのかはっきりしていません。
複合過去
quand elle est entrée dans sa chambre
彼女が部屋に入ったとき
部屋に入ったのは一瞬(で入れるかどうかは別として)で終わる動作。終わった動作。過去のできごと。
では、以下に講座に出てきたものを含めて、例文をいくつか書いておきます。
Quand il était petit, il allait à la pêche avec son père.
彼が幼かったとき、父親と釣りをしたものだ。
il était petit 過去の継続
il allait à la pêche 過去の習慣
ともに半過去
était < êtreの半過去 活用の確認はきのうの記事をチェック ⇒33:L55 半過去
Il écoutait la radio quand elle est entrée dans sa chambre.
彼女が部屋に入ったとき、彼はラジオを聞いていた。
il écoutait la radio 継続していた動作⇒半過去
ラジオを聞いていたのはバックグラウンド、状況説明で、部屋に入ったことがメインの動作というわかりやすい例です。
Quand j’étais jeune, je jouais du piano.
若いころ、ピアノを弾いていました。
釣りの例文と同じパターンで、ともに半過去。
Nous sommes allés à la piscine, parce qu’il faisait beau et chaud.
私達はプールに行きました。なぜなら、天気がよくて暑かったからです。
sommes allés < aller の複合過去
往来発着の動詞なのでêtreを使っています。
êtreを使う複合過去はこちらで説明しています⇒31:L53 複合過去その2
faisait < faireの半過去
プールに行ったのは、過去のできごと。天気がよくて暑かったのは、状況や背景です。
最後に基本ダイヤローグを見ておきましょう。
Je boxais quand j’étais célibataire.
Ah bon, j’ai du mal à te croire.
ぶよぶよの中年の男性:独身のとき、ボクシングをしていたんだ。
女性:あら、そうなの。信じられないわね(←私はあなたを信じることが困難である)。
boxais < boxer ボクシングをする
étais < être
これは「釣り」の例文と同じパターンで、最初の文の動詞は、ともに半過去です。
※avoir du mal à 不定法
~するのが難しい
☆ラジオ講座関連記事目次はこちらから
■ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その1(概要)
■1課~47課まで⇒ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その2
■48課以降⇒ラジオ講座「まいにちフランス語」関連記事の目次~その3
いかがでしたか?ここは難しいところなので、今すぐ理解できなくても大丈夫です。
日本語は時制があいまいで、厳密に使い分けをしない言語なので、複数あるフランス語の過去形を使いこなすのはそんなに簡単ではありませんね。
当然のことながら、いつも参考書の例文みたいにわかりやすいパターンで出てきませんし。
どうしてこれは半過去になってるのかな、とちょっと意識してみることから始めるといいかなと思います。
明日は近接過去、半過去、複合過去です。お楽しみに。
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