3月8日の国際女性デーにちなんで、世代の違う3人の女性の子どもの頃の話を書いた記事を訳しています。
タイトルは
Journée des femmes : récits d’enfance
女性の日:子ども時代の話
前回は第2次世界対戦直前に生まれた70歳のマリー・ジョゼの話でした。
今回はそれより20年あとに生まれた女性の子ども時代です。ほぼ私と同じ世代です。
Journée des femmes : récits d’enfance 女性の日:子ども時代の話
Martine, 50 ans, propriétaire d’une ferme pédagogique.
マリーヌ 50歳 教育用ファームのオーナー
Martine est née et a grandi à Paris. A l’école, il y avait des filles et des garçons. Elle est entrée au collège autour de 1975, l’année où la mixité est devenue obligatoire à l’école publique.
マリーヌはパリで生まれ育ちました。学校では男子と女子がいました。
彼女が中学に入学した1975年は、公立の学校は男女共学にしなければならなくなった年です。
-「とてもいい思い出です。男女が入り混じっていました。当時の服の流行のせいで、みんな似たような格好をしていました。ゆったりしたトップスにベルボトムのパンツをはいて。
その当時、学校では実技的なことを教えていましたが、マリーヌによれば、これは大変有用だったそうです。
– 技術のクラスでは、たとえば、電球の取り替え方なんかを習いました。ある時、先生がこう言ったんです。「さあ、裁縫をやるぞ」って。男子は嫌がっていましたが、最後にはやりましたね。
マリーヌにとって、男女平等は幸いしたようです。彼女は中学生と高校生の子どもがいますが、いまは学校でそうした科目を教えないことを残念に思っています。
家ではちょっと事情が違いました。彼女には3歳年下の弟がいました。
- 私は年上なのに、弟の言うことのほうが重要でした。父も母も弟の意見のほうをよく聞いていたのです。
マリーヌの両親にとっては、男子がすべきこと、女子がすべきこと、というのがあったのです。
– 私は母に手伝って家事をやってました。洗濯、アイロンがけ、縫い物を。弟は全然やりませんでした。彼は消費する側であるべきでした。私はよくこんな声を聞いたものです。「男の子は活動的でなくては」と。
自分の娘や2人の息子の教育に関してはマリーヌは抜かりがありません。
– 息子たちにも家事をマスターしてもらいたいですね。無理やり押しつけたわけではありませんが、今では、娘のほうが、息子より少し家事が苦手なんですよ。
元記事 → Journée des femmes : récits d’enfance – 1jour1actu.com – L'actualité à hauteur d'enfants !
単語メモ
mixité 男女共学
regretter que + 接続法 ~を残念に思う
Je regrette qu’il ne vienne pas.
彼が来ないのは残念だ。
poids 重さ⇒重要性
…c’est sa parole qui avait le plus de poids
より重みがあるのは彼の(弟の)言葉であった。
se dépenser 消費する
ここではマリーヌやお母さんのした家事を享受するということ
vigilant 警戒する、抜かりのない、用心深い
20年たって教育の現場ではだいぶ変化があったようです。
フランスは1975年に公立高校での男女共学が義務付けられたのですね。日本では、1947年に出た「教育基本法」によって、公立の学校では男女共学が原則となりました。
フランスは Liberté, Égalité, Fraternité 自由、平等、友愛 がスローガンですが、女性の地位はわりと最近まで(60年代まで)低かったようです。
68年に5月革命が起きて、70年代にフェミニズム運動が盛んになりだんだん女性の地位が向上してきました。
私も弟がいるのですが、祖父から、弟は大学に行くべきだが、私はあまり勉強しなくてもいいと言われてました。
女の子は高校を出て、社会勉強のためにちょっと会社につとめて、それから永久就職(結婚のことです。死語だと思います)をするのがいいと。
やはり私の家でも弟のほうが社会的地位があったと言えます。私は弟を手下のように扱っており、よく両親から怒られたものです。
学校では平等なのですが、家庭の中では違うのですよね。
しかも、学校を出るといきなり格差ができます。さらに結婚して子どもができたあと、この違いは決定的になるような気がします。今は少しは状況がよくなっているのでしょうか。
この続きはこちら⇒国際女性デーにちなんで~3人の女性の話(3) 現在10歳の女の子へのインタビューです。
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