「虎と小鳥のフランス日記」第97話の解説授業で、カミーユがライブで披露したジターバグワルツの歌詞を訳すという課題が出ました。やってみました。
こちらは第97話のサンプルビデオ。このあと歌うのですが、残念ながら歌は入っていません。
★2015/01/24追記
「虎と小鳥のフランス日記」の配信が終了したため、サンプル動画も削除されました。あしからずご了承ください。
ちなみに、曲目はファッツ・ウォーラーの書いたJitterbug Waltzです。
ファッツ・ウォーラーについてはこちらを⇒パリでライブ・デビュー~TIPAZBAND 虎と小鳥のフランス日記第97話
カミーユがつけたフランス語の歌詞を訳すのです。
ジターバグとは?
jitterbug は名詞だとジルバや、ジルバを踊る人のこと。動詞で「ジルバを踊る」
ジルバは、大雑把に言ってスイングの演奏にあわせる踊りです。
ジターバグはこんな感じです。
2分18秒
この人達はプロだから、飛んだり跳ねたりワイルドに踊っていますが、社交ダンスでは、もっとおっとり踊ります。単に前にステップふんだリ、後ろにふんだりするだけだから、わりと誰でも踊れるとされています。
ジターバグ・ワルツは、オリジナルがジャズ・ピアノの曲なので、ピアノの演奏が多いです。
ほかにもギターやらなんやらインストゥルメンタルが主なのですが、アビー・リンカーンが英語で歌っているバージョンがありますので、それをご紹介します。
3分17秒
★アビーの歌う英語の歌詞の和訳はFC2ブログに書いています
⇒ジターバグワルツの歌詞の和訳~まったり踊りましょう
歌詞の内容は、クラブで、他のお客さんはほとんどみんな帰ったのに、恋人とずっとジターバグを踊っていて、足が疲れてるけど、それでもやめることができなくて、二人で密着してゆるく踊っている、というような内容です。まったり歌っていますね。
カミーユのバージョンはそれとは全然違って、なぜか「歌の歌詞を暗記することの難しさ」がテーマです。独創的です・・・。
では彼女の歌詞と私の和訳をご紹介します。
ジターバグワルツ(カミーユのバージョン)
単語が難しくて、お手上げです。
私のほうこそ、Tonnerre de cacahuètes et saperlipopette と言いたいです。
とても歌詞のように、訳せていません^^;
Jitterbug Waltz
覚えられなくてジタバタ(笑)
Tonnerre de cacahuètes et saperlipopette,
ces mots que je n’arrive pas à m’rentrer dans la tête…
ils prennent l’escampette.
ほんとにもう、やんなっちゃう
この歌詞の言葉、頭にちっともはいらないわ
すぐに頭の中から逃げていっちゃう
J’Ai beau les répéter, j’ai beau les rabâcher,
j’ai beau leur demander de rester, de rester…
ils pensent qu’à s’en aller.
繰り返しても、何度覚えようとしても無駄なの
頭の中に残っててって頼んでも無駄なの
どこかに行ってしまうことしか考えてないのよね
☆
Mais pourquoi ces mots ont-ils des fourmis dan les pieds ?
Mais pourquoi dans ma tête ne veulent-ils pas se ranger ?
En vérité ils préfèrent aller se trémousser sur des rythmes endiablés.
でも、どうしてこの言葉たちはむずむずしてるのかしら?
でも、どうして私の頭の中ですっきり並ぼうとしてくれないのかしら?
実を言うとね、この言葉たちは激しいリズムにのって踊るのが好きなのよ
☆
La seule chose qui les botte c’est d’avoir la bougeotte,
je peux courir après, ils ne tomberont jamais…
au fond de mon filet.
この言葉たちが好きなたった一つのこと、
それはそこらをふらふらすること
私だって捕まえようと後を追いかけて走ってる
でも絶対に網の中にかからないの
Ils narguent ma mémoire à coups de grands écarts,
à mon autorité ils font un pied de nez…
ces petits mal élevés.
言葉たちは足を広げてジャンプして私の記憶力を馬鹿にする
私の権威はどーんと落ちる
小さな悪い生徒たちのせいでね
☆~☆繰り返し
単語メモ
・・・知らない単語がいっぱいありました。課題なので、辞書でしらべた単語を全部書いておきます。
Tonnerre de cacahuètes 落花生の雷のような音
tonnerre は雷鳴、または雷のような音。
落花生って雷みたいな音しますかね?
解説によると落花生の袋を開けるとき力が入りすぎて袋が破けて、落花生が飛び散ったときの音⇒そういう場面で言ってしまう「なんてことだ/くっそ~/ちぇっ」という間投詞だそうです。
私は落花生の殻をがりっとかんで割ったときの音じゃないかと思ったんですが、雷鳴ってほどでもないから違いますね。
saperlipopette ちぇっ、なんてことだ、ちくしょう
これも間投詞。間投詞なのにこんなに長いとは・・
escampette 逃亡 古い単語で、現在は
prendre la poudre d’escampette
そそくさと逃げ出す
・・という成句でのみ使われます。
ils pensent qu’à s’en aller
=ils ne pensent qu’à s’en aller
ne・・・queのneの省略
s’en aller 立ち去る
fourmi アリ
avoir des fourmis dans les jambés[les pieds]
(口語)(しびれて)足がちくちくする
se trémousser (細かく不規則に)身体を揺する、身をくねらす、激しく身体を動かす
endiablé 動きが激しい この単語の成り立ちはen+diableで「悪魔にとりつかれたような」
botter (話)~の気に入る(←靴が~にあう、ぴったりあう)
Ton copain me botte.
僕は君の友だちが気に入った。
bougeotte(←bouger)(話)じっとしていられない性分、放浪癖
avoir la bougeotte 絶えずそわそわ動き回る
filet(捕獲用の)網
narguer ~を軽んじる、馬鹿にする
grand écart グラン・テカール、スプリット:床または空中で、一直線に両足を広げる動作
avoir un pied de nez がっかりする、失望する
歌詞や詩を訳すのはいつも難しいのですが、この歌詞は格別難しかったです。
韻を踏ませる目的で使われている単語もありますしね。どっちにしろ、彼女は相当な詩人です。
botteがどうしてもわかりませんでした。
ありがとうございます。
nobaraさん、こんにちは。
お役にたてば、何よりです。
今後ともよろしくお願いします。