フレンチ・ポップスを聞きながら、フランス語になじむシリーズ。きょうは比較的新しい曲(2023年発売)を紹介します。
Zaho de Sagazan(ザオ・ド・サガザン)という女性シンガーソングライターのLa symphonie des éclairs(稲妻のシンフォニー)という曲です。
ザオさんは、去年のVictoires de la Musique (フランスの音楽の賞、レコード大賞みたいな感じ?)で女性新人賞だけでなく、楽曲賞とかほかの賞も受賞した人です。
近年、フランスでは、ダンスミュージックといいましょうか、ラップやヒップホップ(区別がよくわからないけど)が人気なんですが、この曲はふつうのフレンチ・ポップスで、フランス語の勉強に向いていると思います。
La symphonie des éclairs
本人が登場しているミュージックビデオ、3分
それでは訳詞に挑戦!
稲妻のシンフォニー
☆空の上はいつも天気がいい
でも私は、自分が鳥だったら嵐の中に踊りに行く
光がするように私は雲の中を進む
雨の中で稲妻のシンフォニーを聞く☆
ずいぶん幼いときから
低く叫ぶこと以外には、彼女は話すことができなかった
叫びをおさえようともしなかった
叫びや涙が、彼らをとても…させたから
☆~☆ 繰り返し
成長しても、何もそれを静めなかった
小さな嵐は見つけた
同じように雨を降らせる理由を
正直言って、誰が彼女を愛することができただろう?
誰もその中にいる自分を見つけたくない
嵐の真ん中に、そうでしょ。
泣く理由があるのよ
自分なりの理由がね、でも
☆~☆ 繰り返し
嵐が知ったとき
メロディーが、風から逃れることができることを
そしてみんなの心の中にいられることを
嵐はこう思ったの
太陽をうらやむ理由なんてない
私は私の涙のリズムで皆を踊らせる
私の歌の嵐が皆の心をあたためる
私の心をあたためる
雲の上はいつも天気がいい
でも私は、その鳥になって、嵐の中で私達を踊らせる
雲の中をすすんで光を見つける
雨の中で歌いながら、雷鳴のシンフォニーを
単語メモ
そんなに難しい単語はないですが、天気関係の単語を拾いました。
nuage 雲
orage 嵐
pluie 雨
éclair 稲妻
tempête 暴風雨、嵐
pleuvoir 雨が降る
vent 風
soleil 太陽
tourmente 嵐、暴風
空と雲に関係のある言葉:かわいいフランス語教えます(152)
歌の内容
小さいときによく泣いていた”嵐”は、ザオさん本人のことです。
ザオさんはハイパーセンシティブとWikipediaにありました。
幼少の頃から、音楽的才能があったがゆえに、ピアノを弾きながら泣き叫んだりわめいたりしていて、そんな自分は誰からも好かれないと思っていたけれど、ある時、自分の泣き叫ぶ声が、ほかの人を踊らせ、喜ばせ、感動させることに気づいたんです。
だから、ザオさんは、もう雲の上に行こうとしたり、太陽になったりする必要はなく、雲の下で、自分自身の雷鳴のシンフォニーを奏でればいいのです。
自分の居場所で見つけた、という感じですかね?
プチ文法。条件法
Mais moi, si j’étais un oiseau, j’irais danser sous l’orage
でも私はね、もし私が鳥だったら、嵐の中に踊りに行くわ。
条件法は現実にはありえないことを仮定して(想像して)話す言い方です。
人は絶対鳥にはなれないので、こういうときは条件法を使います。
もし~だったら、と仮定する部分の動詞は半過去形を使って、そのあとの、~するだろう 部分は条件法の活用をした動詞を使います。
étais は être の半過去形
irais は aller の条件法現在形
ずっとリフレインで、「鳥だったら~」と言っていますが、最後は
Mais moi, je suis de ces oiseaux qui nous font danser sous l’orage
現在形を使っていて、ここは比喩ですが、私は自分の嵐でみんな踊らせることができるという確信を表していると思います。
La symphonie des éclairs・関連動画
この曲はアニメーションのPVもあります。たぶん、最初はこちらを世に出して、賞をとってから本人が登場するPVも作ったんじゃないでしょうか?(単なるpenの推測)
歌詞の動画です。
ピアノの弾き語りバージョン
ザオ・ド・サガザンについて
ザオさんは、1999年12月28日生まれ。現在、24歳。
生まれはサン・ナゼールで、現在はナントに住んでいるようです。
お父さんは画家、彫刻家、パフォーマーとあるので、そういう雰囲気の中で育ったのでしょう。
子どものころは、ダンスに打ち込んでいたそうです。
2015年から、インスタグラムで歌を配信。2016年に初めてステージに立つ。
2023年3月にアルバム「La Symphonie des éclairs」でデビュー。
2024年の2月に、前述のVictoires de la Musique でたくさんノミネートされ、いくつか受賞。
作詞作曲だけではなくアレンジや楽器も手がけるマルチな人です。
日本ではまだデビューしていないようですが、そのうち紹介されるかもしれませんね。
優秀新人賞や楽曲賞を獲得しているのですから。
これからの活躍が期待されるシンガーです。
*****
ピアノだけで歌っているのを聞くと、往年のフレンチ・ポップスという感じがしますね。
ザオさんは20代なかばには思えない貫禄のある人です。
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