フランスのシンガー、Maëlle (マエル)の L’effet de masseという曲を紹介します。
L’effet de masseは、そのものずばりの訳が見つからなかったのですが、集団の中で、皆が、同じ心理を持つというか、意見の強い人に引っ張られて皆が同じことをする現象です。ここでは、「集団心理」と訳しました。
歌のテーマは学校でのいじめで、1対1では、いじめる気がなくても、他の大勢の子がいじめるとなんとなく一緒にいじめてしまうとか、そうしないと自分もいじめられるからいじめてしまう心理を歌っています。
L’effet de masse
3分23秒。
フランス語を何も知らない人が、音だけ聞いていると、美しいラブソングに聞こえますよね?
では、訳詞に挑戦!
集団心理・訳詞
彼は私のクラスにいて、あなたの通りに住んでいた
向かい側に住んでた子よ、そう、あなたは見たことがあるわよ
意地悪な朝、あなたと同じバスに乗っていた
あなたは、彼のことを笑ったわ。彼が皆と違っていたから
☆今も物語は同じ
人生でも廊下でささやかれるうわさでも
学校の廊下のような美しいガラス窓のオフィスで
いつも集団心理が私たちをこわし、孤立させる
モニターの上で、マスクの下で、笑ったまなざしの中で
いつも集団心理が私たちをこわし、孤立させる☆
彼は私のクラスにいて、あなたの通りに住んでいた
すれ違ったけど、名前はもう忘れてしまった
集団になると私たちはどれほど愚かになれるのか
重い心で認めるわ。ええ、私も皆と笑ったの
☆~☆ 繰り返し
彼はのけ者で、私たち何人かがそこにいた
引き立て役が必要なのよ、いい気分になるためには
彼は私のクラスにいて、あなたの通りに住んでいた
向かい側に住んでいた子よ、誰も彼に2度と会わなかった
単語・文法メモ
car = autocar バス
les bruits うわさ
le cœur gros 重たい気持ち 辞書では、avoir le cœur gros を 悲しみで胸がいっぱいだ と訳していいます。
à l’écart 離れて、他の子たちから離れていたので、「のけ者」と訳しました。
un faire-valoir 脇役、引き立て役。他の人の価値を作る役というわけですね。
単語や文法は難しくないです。
文法ポイントは半過去です。
半過去は、過去に起きていた習慣や状況を説明するのに使われる時制です。
複合過去が2箇所出てきます。
最初の方で、「あんた、彼を前に見たことあるわよ」と言い、最後に、「私たちはもう彼を決して見ることはなかった」で終わっています。
半過去が状況説明や物語の背景だとすると、複合過去はアクションです。
マエルさんは、Maëlle Pistoia という名前で、2001年1月4日Tournus(トゥルニュ)生まれ。
ひょ~~~。今世紀生まれ。まだ若い方ですね。
この曲は2019年の発売なので、なんと18歳のときの歌唱?
この歌は本人がついこの間まで行っていた学校の話かと思いましたが、ソングライターのクレジットは、Calogero Joseph Maurici / Gioacchino Maurici / Paul Ecole とあったので、マエルが作詞したわけではありません。
こちらは The Voiceのファイナルオーディションの様子です。
英語の歌を歌っています。
2分。
とても歌がうまいですね。
ここで選ばれて、このあとコーチについて練習しながら、いくつか歌って2018年、最終的に優勝して、その後、2019年にレコードデビューしました。
ラッキーな星のもとに生まれた人とも言えるでしょう。、
そのとき出したアルバムが Toutes les machines ont un cœur で、L’effet de masse はこのアルバムに収録されていて、シングルカットされたうちの1曲です。
フランスのWikiによると、2023年の9月の終わりに2枚めのアルバムが発売される予定です。
18歳の女子がいじめの歌を歌うのは、現代ならではですかね。 でも、コンサートで歌うとみんな、重い気持ちになりますよね?
■この人もオーディション番組出身⇒On ne vit qu’une fois (人生は1度だけ)Sidoine:歌と訳詞
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私は、テレビを見ないので、欧米のオーディション番組も全然見ていませんが、昔、見ていた「スター誕生」とは、レベルが違いますね。
本当に歌のうまい人が、発掘される番組のようです。
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