フランス映画の予告編のスクリプトで勉強するシリーズ。今回は、Les femmes du 6ème étage という2010年の映画をとりあげました。タイトルの直訳は「6階の女性たち」
日本では2011年のフランス映画祭で公開され、そのときのタイトルが「6階のマリアたち」。翌年一般公開されたときは「屋根裏部屋のマリアたち」というタイトルになりました。
主人公の男性の住んでいるアパートの1番上の階に複数の女性が住んでいて、その1人がマリアなので、まとめて「マリアたち」となっています。
映画の時代背景は1962年です。
屋根裏部屋のマリアたち・予告編
6階に住んでいる女性たちは、スペインからフランスに出稼ぎにきているお手伝いさんたち。途中で、スペイン語を習っているシーンがありますね。
■ Les femmes du 6e étage 6階の女性たち 予告編スクリプト
きょうは40秒あたりまで。
Mais c’est fini les Bretonnes, ma chère Suzanne.
Aujourd’hui, tout le monde a une Espagnole à son service.L’ascenseur c’est pour les patrons.
Vous, vous prenez l’escalier de service.À notre ancienne bonne, nous donnions 250 francs et j’ai décidé que…
400 francs!
400 francs? Ben, vous déraisonnez enfin.Et je compte sur vous pour que tout soit impeccable.
Pilar, abre! Dolores! Carmen! Teresa!Son petit itsy bitsy teenie weenie, tout petit, petit, bikini. Qu’elle mettait pour la première fois…
Vous êtes parfaite. Une vraie fée du logis.
もうブルターニュのメイドの時代じゃないわ、シュザンヌ。今はみんなスペイン人のメイドを雇ってるわよ。
エレベーターは主人が使います。あなたは使用人用の階段を使ってください。
前のお手伝いさんには250フラン払っていたんで、僕は・・・。
400フランお願いします
400フラン?そんな無茶な。
じゃあ、すべてきっちりきれいにしておいてくださいね。
ピラール、あけて。ドロレス、カルメン、テレサ!
♪彼女のちっちゃなちっちゃなビキニ、初めて着たあのよぉ.
あなた、完璧だわ。お手伝いさんのかがみね。
スクリプトはこちらを参考にしました⇒Bande-annonce: Les femmes du 6ème étage
この続きはこちら⇒『屋根裏部屋のマリアたち』(2):映画の予告編
英語のDVDあり。
単語メモ
déraisonner 理屈にあわない(非常識な)ことを言う
abre スペイン語で 「開けて」
impeccable 完璧な
fée du logis 理想的な主婦、良妻賢母
fée 妖精
logis 住居、家
Les femmes du 6ème étageのストーリーについて
主人公の男性、ジェン=ルイは、証券会社を経営している金持ち。祖父、父親とも同じ仕事で、家業をついだおぼっちゃんです。
ジェン=ルイは小さいときからこの建物に住んでいます。ここは親代々の家なのです。部屋には高価な家具調度がありますね。
彼の家には、長く勤めていたスザンヌというお手伝いさんがいましたが、奥さんと合わず、首になりました。
そこで新しく雇ったのが、マリアというスペイン人のお手伝いさん。マリアは同じビルの1番上の階に同郷の仲間と住んでいます。
この女性たちはスペイン内戦後のフランコ独裁政権をのがれ、フランスに出稼ぎに来ています。それぞれが個人的な事情をかかえており、みな、別々の主人の家でお手伝いさんをしています。
ジェン=ルイも奥さんも社会的に恵まれており、金持ちなのですが、どこか幸せではありません。しかし、スペインから来たお手伝いさんたちは、みな貧乏なのに、明るく、力強く人生をエンジョイしています。
フランスの階の数え方
sixième étage 直訳は 6階ですが、フランス語でsixième étage は、日本式の数え方をすると7階にあたります。フランスでは最初の階は1階ではなく、rez-de-chaussée (地上と平行の階)と呼びます。
rez-de-chausséeの上の階(日本の2階)がpremier étage (最初の階、つまり1階)となります。
ビキニスタイルのお嬢さん
お手伝いさんたちが、マリアの仕事を手伝うときに流れている曲は、アメリカのブライアン・ハイランドの1960年の大ヒット曲、Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka-Dot Bikini のフランス語のカバーです。
☆オリジナル
yellow polka dot bikini は黄色い水玉模様のビキニ
歌詞はこちら⇒Brian Hyland – Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka Dot Bikini Lyrics | Genius Lyrics
ブライアン・ハイランドの曲は、Sealed with a kiss (涙のくちづけ)の歌詞を訳しています。興味のある方はごらんください⇒『涙のくちづけ』(シールド・ウイズ・ア・キス)のフランス語版:歌と訳詩
映画で流れていたのはダリダのバージョンだと思います。
☆ダリダのPV、ビキニは着ていません。
最初、パジャマを着ているのかと思いましたが、よく見たら、半袖のチェックのシャツに、当時流行っていた細身のスラックスでした。やっぱりダリダって歌、うまいですね。
「赤に黄色い水玉のちっちゃなビキニを着てる」、と歌っています。
歌詞はこちら⇒Dalida – Itsi bitsi petit bikini Lyrics | Genius Lyrics
日本でも「ビキニスタイルのお嬢さん」というタイトルでカバーされました。田代みどりが歌っていたみたいなのですが、リアルタイムで聞いていないのでよく知りません。
いかがでしたか?
金持ちでも不幸な人がいて、貧乏でも幸せな人がいる。実人生でもよく起きていることです。
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