いろんな商品の包装に表記されているフランス語を読んでいくシリーズを開始します。
ふと気づくとまわりには英仏併記のラベルのついた品物が転がっています。というのも、私が現在住んでおりますカナダの公式言語は英語とフランス語の二つなのです。
だからといって全員がバイリンガルというわけではありません。統計によるとカナダの全人口のおよそ21パーセントがフランス語を母国語としてしゃべっているそうです。そういう人々はやはりフランス語圏のケベック州あたりに集中しています。
しかし法律(Consumer Packaging and Labelling Act and Regulations)でこの国で販売される商品のラベルは、英仏バイリンガルの表記をするように定められています。
その理由は公式言語が二つあるからだけではなく、もし純然たるアメリカ合衆国の商品が紛れ込んでいたら、カナダの税関の人にすぐわかるためでもあるらしいです。
以前はフランス語表記は邪魔だと思っていました。せまいところに同じ事を別の言語で書いているから、たいていは読みにくくなっています。もちろん、最初から両方併記することを考えてデザインされているラベルもありますが。
しかし最近少しフランス語が読めるようになったので、英仏表記のラベルは格好の学習材料となっております。
きょうは台所にあった黒くて小さいドーナツのパッケージに貼ってあったシールの文字を検証してみましょう。
英語:Chocolate Enrobed Mini Donuts
enrobed以外はみんな日本語になっていますね。
enrobeはrobe(ローブ、長い服、礼服、バスローブのローブです)をen(動詞にする接頭語)だから「チョコレートの服を着ている小さいドーナツ」と推測がつきます。
ま、そんなこと考えなくてもドーナツを見ればわかりますが・・・
一応ジニアス英和大辞典をひいてみました。先日、もうすぐ始まる翻訳講座の企画段階の音声を聞いておりましたら、「たとえその単語の意味を知っていると思っていても辞書をひけ」と先生たちが言われていたのです。
enrobe 他動詞:~を正装させる、自動詞:正装する
そして
enrobe (タイプできませんでしたがOに左下がりのアクセント記号がついてました) ~に衣服を着せる、装う、(ケーキなどを)コーティングする
どうやらチョコレートに服を着せる場合、正式にはOにアクセント記号がついた表記であるようです。
フランス語:Minis de beignes enrobés de chocolat
beignes (ベーニュ)はケベックのフランス語でドーナツのこと。
でも。
minis de beignes はフランス語としてはNGだと思います。このままだとminisが名詞みたいに見えます。ふつう形容詞なのでは?
プチロワ辞書をひいたらminiの名詞として、「ミニ(スカート)、小型製品」、とありましたが、この場合小型製品というのとはちょっと違う気がします。
たぶんフランスのフランス語なら mini beignets(ベニエ)です。プチロワにはminiの形は不変とあったので複数のSはつかないはず。
これがうわさに聞く英語の影響を受けたフランス語でしょうか? おもしろいですね。
ちなみに
enrober は ~をつつむ、コーティングする
bonbons enrobés de chocolat 「チョコレートがコーティングされたキャンディー」なので、beignes enrobés de chocolat の部分は大丈夫です。
penさん、こんばんは^^
素敵な記事、教えてくださってありがとうございます!
カナダって英仏両方が公式なんですね…!
ずっと英語だけなのかとなんとなく思っていました。
あああああお恥ずかしい…。
文法的な細かい部分全くわからないのですが、言葉って面白いですね。
特に英語もフランス語もスペイン語やポルトガル語もそうかな?
欧州からそれぞれに渡っていった言葉は、元々は同じフランス語だったり英語だったりしても、その広まった先で他の言葉や現地の言葉と混ざったりして微妙に変化してるのかなと。
でも、パッケージに英仏併記表示だと、毎日そこらじゅうに練習問題があふれてますね!(笑)
長文すみません!
またお返事いただいただけでなく、リンクまではってくださってありがとうございます^^
これまた関係ないですが、ケベックと聞くと、メープルシロップをたっぷりかけたホットケーキが食べたくなる当方でございます。
スギハラ食堂さん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
私もカナダのことなんてほとんど知らなかったです。
日本じゃ、影薄いですよね?
そうですね。言葉っていろいろ行ったり来たりして変わっていっって
おもしろいですね。
バイリンガル表記でも、ふだんは英語しか見てないです。
前はフランス語は完全にスルーでしたね。
最近、ちょっと言葉として意味を持ち始めたって感じです。