2018年の暮にフランスで公開された、ジャンヌ・エリー(Jeanne Herry)監督(脚本も担当)の、Pupille(ピュピーユ)という映画の予告編を紹介します。
pupille は、公共の援助を受けている孤児のことです。女性名詞ならば、「瞳孔」です。
生まれてすぐ、母親が養子に出す決意をした赤ちゃんが、育ての親となる母親の手に渡るまでを描いた映画です。
pupille 予告編
フランス語の字幕を表示させることができます。
2分3秒。
予告編に出てくる部分は、みなわりとゆっくりしゃべっているので、字幕についていけそうですね。
トランスクリプト
Moi, ça m’a pris un peu de temps, avant de pouvoir l’envisager.
D’accord.
Enfin d’accepter, que j’aurai jamais d’enfant à moi. C’est peut-être pas la peine de le mettre dans votre rapport.
Un bon candidat à l’adoption, c’est pas quelqu’un qui a rien vécu de douloureux. Dans la vie, on a tous des champs de mines et des champs de fleurs. Nous, ce qu’on veut savoir c’est si vous avez réussi à déminer votre champ.
C’est un petit garçon. Vous voulez le voir ?
Bonjour, je suis assistante sociale.
Je veux pas le garder.
Je vous appelle parce qu’on va sûrement avoir un petit pupille à accueillir, probablement demain. Vous seriez dispo ?
On m’a proposé de faire un accueil aujourd’hui. J’ai dit non, parce que je crois que j’ai envie d’arrêter.
Il a quel âge ?
Il a un jour.
La vache !
Bonjour Théo. Je m’appelle Karine, je suis éducatrice spécialisée.
Comme tu le sais, ta maman peut pas s’occuper de toi dans l’immédiat. Mais elle nous a chargés de veiller sur toi.
Et nous on est là, pour ça. Pour toi.
Faut continuer à bien boire tu sais, pour prendre du poids.
Le conseil de famille a donné ses directives pour trouver des parents à ce petit Théo.
Alice Langlois, sa 1ère demande d’agrément date d’il y a 8 ans.
Elle est prête, cette femme.
C’est le bon moment pour elle, je le sais.
Je me sens carrément prête.
Tu grimpes, tu grimpes, tu grimpes.
Mon travail, c’est pas de trouver un enfant à des parents qui souffrent.
Mon travail, c’est de trouver les meilleurs parents possible à des enfants en difficulté.
T’inquiète pas, ça va bien se passer. T’es un super mec.
トランスクリプトの和訳
私は想像するのにちょっと時間がかかったんです。
はい。
つまり、私には子供ができないんだということを受け入れるのに。これは、報告書には書かなくてもいいことだと思いますけど。
養子縁組をするのに最適な候補者は、これまで何の問題もなかった人というわけではありません。
人生には、苦しい時期(地雷原)と楽しい時期(お花畑)があります。私たちは、あなたが、うまく切り抜けてきたかどうか知りたいのです。
男の子ですよ。ごらんになりますか?
こんにちは。私は民生委員です。
子供は育てないわ。
電話したのは、赤ちゃんの面倒を見ることになりそうだからです。明日あたり。空いてますか?
きょう、世話するように頼まれた。断ったよ。だって、やめるつもりだから。
何歳なの?
生後1日だ。
ひどいな。
こんにちは、テオ。私はカリーヌよ。ソーシャルワーカーです。
知ってると思うけど、あなたのママは、いま、あなたの世話をできないの。でもね、私たちにあなたことをみるように頼んだの。
だから、私たちはここにいるの。あなたのためにね。
ほら、どんどん飲むんだぞ。大きくならないとだめだからな(←体重を増やすために)。
家族委員会は、テオの両親を見つけるガイドラインをよこしました。
アリス・ランゴワ(はどうでしょう)。彼女が、最初に、許可を求めたのは8年前です。準備ができていると思います。
私はちゃんと用意できているわ。
あがって、あがって、あがって。
私の仕事はつらい状況にある両親に、子供を見つけてあげることではありません。私の仕事は、困難な状況にある子供たちに、最良の両親を見つけることなんです。
心配ないよ。うまくいくさ。おまえは、すばらしい子だ。
単語メモ
champs de mines 地雷敷設域、地雷原、目に見えない危険をはらむ区域、難関
déminer 地雷を除く
assistante sociale 民生委員、ソーシャルワーカー、ケースワーカー
dispo = disponible 自由な、拘束されない
vache 意地悪な人、冷酷な人 la vache は、たぶんこの赤ん坊をすぐに養子に出した母親のことです。赤ん坊を見たら、あまりにいたいけだったので、男性のソーシャルワーカーが思わずこう口にしたのでしょう。
éducateur spécialisé ソーシャルワーカー
conseil de famille 家族委員会、未成年者の後見に関することを取り決める政府の団体。
directives (上層部からの)指示、命令、行動方針
agrément (権力による)承認、同意、許可
ピュピーユ・あらすじ
フランスでは、生まれた子供を養子に出すことを条件に、匿名出産(内密出産)をすることができます。
匿名出産は、当局に自分の身元を明かさないでする出産です。
匿名出産は、フランス語で、accouchement sous le secret と言い、通称、accouchement sous X です。
ある女子学生が匿名出産をし、生んだその日に養子に出しました。赤ん坊の顔さえ見ていません。
匿名出産をしても、生後2ヶ月までなら、養子にする決心を撤回することができます。そのあいだ、政府(ソーシャルワーカー)がテオの世話をします。
50秒あたりで、病院の廊下を歩いている2人が、ソーシャルワーカーです。
男性のほう(ジャン)は、自宅にテオを連れ帰って世話をします。女性(カリーヌ)は、テオに最適な親が見つかるように努力します。
予告編の最初に出てくるのは、アリスという41歳の女性です。彼女は、子供ができないので、8年前に、養子を取りたいと申し出ていました。
しかし、養子を求めている親はたくさんいて、選抜を通るのは狭き門です。しかも、アリスは、離婚をしたため、ますます、養子を取りにくくなりました。
きびしい審査があるからです。
養子を取るためには年齢制限(43歳まで)もあります。アリスは41歳です。
アリスは養子をとれるのか?
やさしいソーシャルワーカーに面倒を見てもらっているテオの未来はどうなるのか?
こんな感じの内容です。
監督をしたジャンヌ・エリーは、女優、ミウ=ミウの娘さんです。ミウ=ミウも、ソーシャルワーカーとして出演しています。
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テオ、すごくかわいいですね。予告編見てるだけで泣けてくるので、本編を見ると号泣しそうです。
派手な映画ではありませんが、日本でも公開されるといいですね。
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