フランス映画の予告編のスクリプトを使ってフランス語を学習するシリーズ。今回は「ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲」です。前回まで見ていた「エール!(La Famille Bélier)」同様、2015年フランス映画祭で上映される作品から選びました。
ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲
原題はQu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu ?
直訳は「私たちがいったい神様に何をしたというの?(何も悪いことなんてしてないのに)」
です。
この映画もある家族の日常を描いたコメディです。
その家族は la famille Verneuil ヴェルヌイユ家
大きな家に住んでいるので金持ちのようです。ヴェルヌイユ家のお父さんとお母さんは敬虔なカソリック教徒。
娘が4人いるのですが、上の3人はすべて異民族かつ異教徒と結婚してしまったので、2人は内心がっかりしています。
1人だけ残っていた末の娘が結婚を決め、彼女が選んだのは、ようやくカトリック教徒だったのですが・・・。
予告編はこちらです。
はははは。セリフわからなくても笑えますね。コメディだからですけど。
きょうは最初の1分あたりまで。
予告編のスクリプト
Et comment s’appelle l’heureux élu?
Chao Pierre Paul Ling
Rachid Abdul Mohamed Benassem
David Maurice Isaac BenichouTout le monde sourit? J’en vois deux qui ne sourient pas là !
On bouge plus!Si on les invite à Noël…
Comment ça, on va passer Noël chez tes parents !
On évite tous les sujets qui fâchent. hein; Israêl, le dalaï-lama, la burqa…
Il y aura Jackie Chan et Arafat ?
Il y aura Kadhafi et Enrico Macias ?
Dis pas qu’il y aura Bruce Lee et Popeck…
Surtout pas un mot sur l’équipe de France de foot.
Et si quelqu’un balance un cliché sur les Juifs, tu laisses couler.
Et si quelqu’un fait l’amalgame entre immigration et délinquance, toi, tu dis rien.
Et s’il y en a un qui balance une vanne sur les Chinois, je fais quoi ?
Eh bien, tu souris.
Ah, je fais le Chinois quoi, en fait.Suce-boules en chef, quoi !
和訳
新郎のお名前は?
シャオ ピエール ポール リン
ラシッド アブドゥル モアメッド ベナセルム
ダヴィド モーリス イザック ベニショー
みんな、笑って。2人だけ笑ってない人がいますね。
じっとして。
みんなをクリスマスに招待しましょう。
え、クリスマスを君の両親のところで過ごすだって?
気分を害する質問は全部しないようにするの、イスラエル、ダライ・ラマ、ブルカとか。
ジャッキー・チェンとアラファトと一緒だって?
カダフィとエンリコ・マシアスと一緒に?
ブルース・リーとポペックと一緒だなんて言わないでくれよ。
特に、フランスのサッカーチームの話は一言もしないようにするの。
もし誰かがユダヤ人についてお決まりの文句を言っても、受け流してよ。
もし誰かが移民と犯罪を一緒にしても、あなた、何も言わないでよ。
もし誰かが中国人を侮辱したら、どうしたらいいんだ?
うーん、微笑むのよ。
そうか、中国人みたいにしてればいいのか。
ははははは・・・。
調子のいいやつめ。
スクリプトはこちらを参考にしました⇒Bande-annonce: Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu?
単語メモ
balancer (話)放り投げる、放り出す、暴言を吐く
Juif ユダヤ人
cliché 型にはまった表現、考え、決まり文句、紋切り型
faire l’amalgame entre A et B
AとBをまぜこぜにする、一緒にする、同一視する
amalgame 歯につめるアマルガムのことで、水銀とほかの金属の合金なので、そこから、「混同、まぜこぜ、同一視」という意味もあります。
vanne (話)嫌味、悪口
lancer des vannes 嫌味を言う
délinquance 犯罪、非行
Suce-boules en chef おべっかを使うのがとてもうまい人をけなして言う言葉。
あまり品のいい言葉ではありません。sucer 吸う、しゃぶる boulesは玉(複数)です。
burqa イスラム教徒の女性が全身に着るマントみたいな服。
詳しくはこちらをどうぞ⇒ニカブとブルカの禁止について|penのフランス語日記
Kadhafi カダフィ大差 リビアの軍人 1970年代以降のリビアの最高指導者。アラブ人です。
Enrico Macias エンリコ・マシアス アルジェリア生まれのフランスの歌手。ユダヤ人です。
Popeck ポペック たぶんフランスの俳優のポペックのことだと思います。
今回の部分のお話
3人の娘たちがそれぞれ違う民族、異教徒と結婚したので、ヴェルヌイユ家のお父さんとお母さんは、表面的には受け入れてはいるものの、あまり幸せではありません。2人とも敬虔なカソリック教徒です。
娘の家族をクリスマスに呼ぶときも、話題に気をつけなければいけません。
娘の夫たちも、そんな集まりには出たくありませんし、互いに自分とは違う民族の義理の兄弟たちをけなしています。しかし、義理の家族である立場と、民族が違うということで共通点があるので、仲がいい部分もあります。
この映画は宗教や異文化にまつわるギャグが多いので、背景をよく知っていたほうが笑えると思えます。人によってはあまり笑えない冗談もあるでしょうね。
日本人が「フランス」と聞くと、白人ばかりと思いがちですが、それは大昔のことで、現在は、いろいろな民族が住んでいる多民族国家です。
特にフランスの植民地時代にフランスに来た北アフリカ系の移民が多いです。民族的な格差があり、宗教や慣習が違うので摩擦も多いのですが、この映画ではそういうことをユーモラスに描いています。
この映画はフランスで大ヒットしたそうです。
いかがでしたか?
それにしても、4人の娘はきれいだし、3人の娘のお婿さんたちも、二枚目の系統です。服装からして3人とも全然違う職業についているようですが、お金には困っていなさそうですね。
特に、長女(?)が結婚した中国人は、ビジネスマンみたいで、いい家に住んでいます。子どもが可愛いです。
この続きはこちら⇒ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲(2)~予告編のフランス語
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