TV5Mondeが作っているフランス語学習サイト、Apprendre le français にあるニュースのスクリプトを訳してみました。
毎週、7 jours sur la planèteというニュース番組で実際に流れたニュースクリップが、3つほど紹介され、動画、スクリプト、そしてレベルごとに練習問題が用意されています。
実際のニュースなので、入門段階だとちょっと難しいですけど、時事に興味のある人にはとてもいい学習素材だと思います。
今回はこのニュースクリップから、Devenir lanceur d’alerte のスクリプトを訳してみます。トップページのA2と書いた大きな文字の右側にリンクをクリックするとビデオとスクリプトがあります。
Devenir lanceur d’alerte 内部告発者になること
John Kiriakou, Irène Frachon ou encore Edward Snowden, des noms qui ont popularisé le terme de « lanceur d’alerte ». John Kiriakou, ex-agent de la CIA, a révélé l’utilisation de la torture par ses services ; le docteur Irène Frachon que le médicament Mediator, utilisé en France comme coupe-faim, était en réalité un poison ; quant à Edward Snowden, son nom est à jamais associé au scandale des écoutes téléphoniques.
« Lanceur d’alerte », un terme qui colle bien aussi au site d’information Mediapart ; l’un de ses fondateurs était l’invité de La Première*.
ジョン・キリアコー、イレーヌ・フラション、そしてエドワード・スノーデン、「内部告発者」という言葉を世間に広めた人たちの名前です。
元CIAのエージェント、ジョン・キリアコーは、CIAの捜査で拷問があったことを暴露。医者のイレーヌ・フラションはフランスで食欲減退剤として使われているメディアターという薬は、実は毒物であると告発、エドワード・スノーデンにいたっては、コンピュータを使った情報の不正入手のスキャンダルを明らかにした名前として永久に記憶にとどめられるでしょう。
「内部告発者」という言葉は、メディアパート(Mediapart)という情報サイトにも関係があります。ラ・プレミエール(La Première 番組の名前だと思います)に、このサイトの創設者の1人を招きました。
-私たち自身が見つけたもの、私たちが接触したソースからのもの、そして情報提供者といっしょに見つけたものがあります。彼ら自身がそういうことが行われているのではないかと、公けにしていたことです。
内部告発をすることは、リスクを伴います。HSBC銀行の脱税幇助のリストをもらした、エルベ・ファルシアーニは報復を恐れて、スイスから逃げなければなりませんでした。
彼らは危険な道をとっています。最初は孤立無援で、ひじょうに悪い立場にいます、そして、何とかうまくやっていく道や、仕事を見つけるわけです。
そこで私たちジャーナリストは、こういした情報を提供してくれる人を擁護し、社会的身分を保障したり、保護する責任があると思うんです。
こうした考えのもとにソース・シュール(Source sûre)が生まれました。これは、大変セキュリティーの高いプラットフォーム(インターネットのサイト)で、フランス語を使う4つのメディアによって創設されました。そのうちの1つはRTBFです。
誰でもこのサイトから、機密扱いの書類を送ることができます。匿名で、跡をたどることができない形で、です。
- 内部告発なくしては、こうしたソースを保護することなくしては、私たち、調査をするジャーナリストは無力です。私たちにできることは1つだけだと思います。それは情報にアクセスしやすくすることです。
私たちは、私たちの仕事ができるようにしてくれる人と一緒に働けるようにするべきなのです。私たちの仕事は、その情報をチェックして、その裏にあるものを調べることですから。
生まれたばかりのソース・シュールでは、すでに最初の情報を受け取っています。ジャーナリストたちが、ただの密告と、本当の不正行為を選別するという、真の仕事を始めています。
単語メモ
lanceur d’alerte 内部告発者 英語ではwhistleblower
coupe-faim 食欲減退剤
à jamais 永久に
écoutes téléphoniques コンピュータによる盗聴
coller à はりつく、ぴったり合う
interlocuteur 話し相手、対話者 ここでは内部の機密情報を外部にもらす人
dévoiler ヴェールをはぐ、明らかにする、暴く
évades fiscaux 脱税
fiscal, fiscale 国税の、税務上の
représailles 報復
par crainte des représailles 報復を恐れて
à l’égard de qn/qc ~に関して、~に対して
RTBF (radio-télévision belge) ベルギーのフランス語のラジオ、テレビ局
délation 密告
statut 社会的地位、ステイタス
piloter 操縦する、制御する、コントロールする
délation 密告、タレコミ
délit 不正行為
prémâcher かみくだく、よりアクセスしやすいように簡単にする
tri 区別、ソート
インタビューの箇所は、名詞表現を多様したひじょうにフランス語らしいフランス語なので、かなり意訳しています。
要するに、内部告発者を保護するためと、こうした情報にアクセスしやすくするために、4つのメディアが一緒になってSource sûre というプラットフォームを作った、ということです。
TV5MONDE⇒Apprendre le français avec TV5MONDE
Apprendre le françaisにのるニュースは週替りなので、その週のうちに学習する必要がありますが、スクリプトや動画をダウンロードすることができます(1週間ぐらいで削除されるようです)。
その人のレベルにもよりますが、浅くたくさん聞くのも大事ですが、リスニングに関しては1つの教材を何回も聞いたほうがいいと思うので、どれか気に入ったのがあったら、ダウンロードして、しつこく学習するといいかもしれませんね。
また、毎回アップされるニュースのうち1つだけ、スマートフォンのアプリで学習することができます。課金すれば全部学習できますが。
スマホのアプリについてはこちらの記事に書いています。
⇒フランス語学習に使えるフランスのテレビ局のリスト FC2ブログです。
関連サイト
Mediapart Site d'information français d'actualités indépendant et participatif en ligne | Mediapart いろいろ調査したことが書いてあるサイトのようです。ウィキリークスみたいな感じでしょうか。
Source sûre Sourcesûre ここは情報を提供するサイトです。カソリックの偉い人が実はこんなことしてる、とか、あの企業が実はこんなひどいことしてる、とか、うちの会社のボスはあんなことをしている、という情報がある人は、証拠書類とともに、匿名で提出することができます。
Source sûre を作った4つのメディアのうちの1つがLe Figaroで、フィガロのサイトにもSource sûre についての記事があります。
⇒« Source sûre », une plate-forme sécurisée pour lanceurs d'alerte
エドワード・スノーデンがテーマのドキュメンタリー映画、シチズンフォー(CitizenFour)について書いた記事もどうぞ⇒映画『シチズンフォー』のレビュー:なぜエドワード・スノーデンは告発したのか?
「内部告発者はヒーローか、裏切り者か」という論議がよくありますが、暴露する内容によるでしょうね。
歴史上のいろいろな悪事も、内部告発がなかったら、誰にもわからなかったわけです。つまりこうした人がいないことには、大きな陰謀は世間に知られることがないので、彼らを守るのは必要だと思います。
それでは、次回のニュースの記事をお楽しみに。
この記事へのコメントはありません。