きょうもサガンの言葉をご紹介します。
L’intelligence sans bonté est une arme bien dangereuse.
– Françoise Sagan (1935-2004)
人を思いやる気持ちのない知性は、すごく危険な武器なのよ。
人を思いやる気持ちのない知性は、すごく危険な武器なのよ
サガンは20世紀のフランスの作家、劇作家。今回は知性(intelligence)にまつわる名言です。
intelligence は知性や知識。知識人という意味もあります。
知識というのは、一般に「よいもの」とされています。
誰でも、「知識はないより、あったほうがいい」、と思ってますよね。
日本の大学の入試は、知識(とされているもの)を問う問題が多いです。答えをたくさん知っている人が合格します。
でも、どんなに知識がいっぱいあったって、人のことを思いやって使わないのなら、それはすごく危ない武器なんだ、とサガンは言っています。
この言葉は文脈によって、intelligence と bonté という2つの抽象名詞の訳し方が変わってきます。
抽象名詞とは⇒抽象名詞~翻訳講座第10回前半
intelligence を「頭のよさ」、bonté を「やさしさ」と訳せる場合:
すごく頭の切れる人は、その鋭い言葉で、人を傷つけてしまうことがあります。
ものすごくきついことを言って。
しばしば、その言葉は、当たっていたりするのですが、当たっているだけに言われたほうはひどく傷つきます。
本人も、うすうすわかっているけど、自分でわかっているのと、人にズバっと指摘されるのは違いますから。
intelligence を「知識」、bonté を「良識」と訳せる場合:
ラジウムを発見したのは物理学者のキュリー夫人。
彼女は、先々人類に危害を加えようと思って、毎日実験を繰り返していたわけではないでしょう。
人類の未来のために、放射性元素を取り出したかったんじゃないでしょうか?
自分は白血病で亡くなっていますし。
キュリー夫人を始め先人の科学者が叡智を集めて開発した原子力。
使い方を間違えたらそれはもう強力な武器です。
知識よりも大切なのは、人を思いやる気持ちなのですね。
サガンの経歴はこちら⇒名言その12~記憶は空想と同じくらい嘘つき
前回は教養に関する名言でした⇒名言その14~教養はジャムに似ている
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
l’ = la 女性名詞につく定冠詞 ~というもの
intelligence 知性、知能、頭脳
sans ~のない
bonté 善良、優しさ、思いやりの心;親切、好意
est < être ~である
une ひとつの 不定冠詞
arme 武器、兵器;攻撃手段
bien ひじょうに、とても (意味を強めています)
dangereux, dangereuse 危険な、危ない
文法
A は B である。
きょうの名言の修飾語(しゅうしょくご;説明している部分)をとって、骨組みだけにすると、
L’intelligence est une arme.
知性は武器だ。
という形になります。
これはフランス語の6文型のうちの第2文型の
主語+動詞+属詞(ぞくし)です。
AはBである。
A = B という形。
ほかの例:
C’est un stylo.
これは万年筆です。
詳しくはこちらをどうぞ⇒「まいにちフランス語」48:L70フランス語6文型その1
sans banté
sans + 名詞 で ~なしに、~なしの
sansのあとに続く名詞が特定されないときは、冠詞がつかないことが多いです。
livre sans illustrations
挿絵のない本
repas sans sel
塩分抜きの食事
robe sans manches
ノースリーブのワンピース
Il est sorti sans argent.
彼はお金を持たずに出かけた。
直訳
良識のない知性はとても危険な武器です。
☆これまでのサガンの名言
⇒名言その12~記憶は空想と同じくらい嘘つき
知性とハサミも使いようですね。
私はサガンがどういう人だったのか知りません。3つ名言を見た限りでは、やさしくて繊細な人だったのだろうと想像しています。
penさん、はじめまして。
先日アメブロでいいねを押していただいたMiamといいます。
まだフランス語2年目ですが、サガンの本読んでます!
正直読んでるというか、最初の数ページを行ったり来たり、ひたすら見つめてるだけでぜんぜん進みませんが、ふっと意味がわかったときがとてもうれしいです。
いつかサガンの本にある文を取り上げたいなと思っています。
そのときはまたぜひ見にきてくださいませ(^ ^)(^ ^)
Miamさん、こんにちは。
わざわざこちらのブログに来ていただき、
ありがとうございます。
サガンの本を読んでいらっしゃるんですね。
Miamさんはなんだかすごく楽しんでフランス語を
勉強されているなとブログを拝見して思いました。
また遊びに行きますね^^