きょうご紹介することわざはこちらです。
Un mauvais ouvrier a toujours de mauvais outils.
へたな職人は道具のせいにする。
へたな職人は道具のせいにする。
腕のよくない職人は、自分の仕事がうまくいかないのを自分の腕のせいではなく、道具のせいにする、ということです。
つまり、職人として一流でない者は、できばえの悪さを自分の持っている道具や、環境など、自分以外のせいにする、という意味ですね。
Un mauvais ouvrier a toujours de mauvais outils.
は直訳すると、「下手な職人は、いつも質の悪い道具を持っている」です。
これを文字通り解釈してしまうと、下手な職人は、質のよくない道具を持っているから、仕事が上手く行かない、という意味にもとれます。
すると、二流の職人は、道具の選び方を知らない、という意味にもとれますね。
ですが、このことわざは、「腕の悪さを道具のせいにする」、という意味で使われます。
これは、自分の失敗を、道具や人や環境のせいにするな、という戒めです。
つまり、責任転嫁してはいけません、ということ。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
un 男性名詞につく不定冠詞 1つの~
mauvais 品質の悪い、粗悪な
ouvrier 職人
ouvrier maçon 石工
ouvrier en chaussures 靴職人
a < avoir 持つ
toujours いつも
de des のこと⇒補足参照
outil 道具
補足 deになるdes
不定冠詞の複数形のdes は〈形容詞+複数名詞〉の前に来ると、deに変わる、というルールがあるので、ここではdeになっています。
mauvais は単数でも複数でも mauvais とスペルが変わらないので、ちょっと気づきにくいかもしれません。
他の例
Tu as de beaux yeux. きみはきれいな目をしている。
この文は T’as de beaux yeux, tu sais?
きみ、すごく目がきれいだって、知ってる?
と、口説き文句によく使われます。
会話で早くしゃべっているので、tu のuが落ちて t’as と発音されます。
直訳
へたな職人はいつも質の悪い道具を持っている。
似ていることわざ
バリエーション
Les mauvais ouvriers ont toujours de mauvais outils.
主語が複数になっています。
Un mauvais ouvrier blâme toujours ses outils.
avoir の代わりに blâmer (~を非難する)を使用。
似ていることわざ
À méchant ouvrier, point de bon outil.
腕の悪い職人にとって、よい道具はない
⇒下手な職人は道具のせいにする。
英語では、A bad workman always blames his tools.
腕の悪い職人は、いつも道具のせいにする。
ということわざがあります。
日本のことわざでは、逆の言い方で
弘法筆を選ばず
というのが似ていると思います。
こちらは、その道をきわめた人は、道具の良し悪しにかかわらず、よい仕事ができる、ということです。
★べつの職人関連のことわざ⇒フランス語のことわざ21~石工の価値はその仕事ぶりでわかる
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
職人の仕事と言っても、さまざま。弘法は筆1本、板前は包丁1本で足りるようですが、もっといろいろな道具がいる仕事もありますね。
そのような道具が今いちだと、仕事のできばえに影響するのも事実です。でも、一流の職人なら、確かな道具を選んで、メンテナンスも怠らないことでしょう。
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