きょうご紹介することわざはこちらです。
Qui sème le vent récolte la tempête.
風をまく者は、嵐を収穫する
風をまく者は、嵐を収穫する
「風をまく」とは「風の種をまく」、ということです。
小麦の種ではなく、風の種をまくと、収穫できるのは、小麦ではなく、嵐です、という意味。
風を起こすと、それが嵐になって返ってくるように、何か争いや、騒動のもとになるようなことをすると、それが倍になってかえってきますよ、といういましめのことわざです。
投資が倍になって返ってくればうれしいですが、悪いことが倍になるのはいやですね。でもこうしたことは、しばしばこの世間に起こりがちです。
TwitterやFacebookなどのSNSで、軽い気持ちで失言してしまうことなど、いい例ではないでしょうか?
うっかり業務上の秘密をばらしてしまったり、個人的な見解を述べただけのつもりが、大事になってしまうことがよくありますね。
もともとは旧約聖書の「ホセア書」の第8章7節にあった文章から生まれたことわざです。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
qui = celui quiの略 ~する人、~の人
sème < semer ~の種をまく
le 男性名詞につく定冠詞
vent 風
récolte < récolter 収穫する
la 女性名詞につく定冠詞
tempête 嵐
semerの活用
semer は規則的に活用するER動詞ですが、
je sème
tu sèmes
il sème
nous semons
vous semez
ils sèment
と現在形の1人称複数と、2人称複数をのぞく活用でアクサングラーブがつきます。
semerのように不定法(活用していない形)が-e + 子音 + er で終わる動詞はアクサングラーブが出現します。
代表的な動詞はacheter
以下に、理屈を書いておきますが、混乱しそうなら無視してください。
フランス語の単語は発話される最後の母音にアクセント(強勢)がかかります。
nousとvousの場合は、-ons, -entのところにアクセントがかかるので、その前のeはeのまま(弱い音)です。
他の人称は語尾のeが発音されないので、その前のeにアクセントがかかりèとなります。e(無音、あるいはウ)に強勢がかかりエという音になるわけです。
同じパターンで活用する動詞に、mener (~を運ぶ、通じる)、lever (上げる)などあります。
menerや、leverの前に接頭語がついてできた動詞も同じです。たとえば、se promener (散歩する)もそうですね。
直訳
風の種をまく者は、嵐を刈り入れる。
旧約聖書、ホセア書、第8章7節の文章から生まれたことわざです。
似ていることわざ
英語では
Sow the wind and reap the whirlwind.
といいます。
意味は同じです。
日本語では
身から出た錆
からだから錆が出るなんて、まるで「オズの魔法使い」に出てくるブリキの木こりを想像します。
が、この『身』とは、刀のさやにおさまっている刀身のこと。
刀の手入れをちゃんとしないと、錆が出て、ここぞというときに使い物にならず、自分の命を落としてしまう、という意味です。
つまり自分のせいで、自分に大きな災いや苦しみがふりかかること。
自業自得 ということですね。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
自己責任という言葉がよく聞かれますが、このことわざも自己責任を追求したことわざと言えそうですね。
ポイントは、ちょっとしたことが大きな不幸となって身にふりかかってくるところ。
ほんの小さなミスを見逃してしまったり、小さなサインを見過ごしてしまうと、あとで大変なことになってしまうのです。
怖いですね。
それでは、次回のことわざの記事をお楽しみに。
この記事へのコメントはありません。