きょうご紹介することわざはこちらです。
Qui se ressemble s’assemble.
似た者は集まる。
似た者は集まる
人は自分と似ている者同士で集まるということわざです。よくある現象ですね。
日本語では「類は友を呼ぶ」。この場合の「類」は「同じ種類のものであること」です。
これは人間世界の基本的な法則、つまり原則と呼べそうです。
フェイスブックでも、意見が同じ人、価値観が同じ人、似たような年齢の人、同じ県出身の人、同じような経験をした人、同じことを手がけている人、職業が同じ人、同じものが好きな人、趣味が同じ人などなど、ありとあらゆる「類似点」を持った人たちが、仲良くコメントをしあっています。
人が似たもの同士で集まるのは、究極的には、自分を認めてもらったり、肯定してもらえる行為につながるからでしょうか?
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
qui ~する人
se ressemble < se ressembler 互いに似ている
s’assemble < s’assembler 集まる、より集まる s’ = se (エリジオン)
主語と動詞1つだけのシンプルなことわざです。
主語の「お互いに似ている人」というところで、se ressemblerという動詞が出てきますが、これはメインの動詞ではありません。
ちなみに、2つの動詞はよく似ていますが語源は違います。
ressembler = re + sembler(~のように見える)
assembler = ad + simul (ラテン語で類似、痕跡) ad-は行為の方向を表す接頭語。
文法のポイント~代名動詞(だいめいどうし)
代名動詞とは?
se ressembler も s’assembler も代名動詞です。この動詞は、いわゆる動詞の前に、主語と同じ人や、物を表す代名詞(seと、それが主語に応じた形)がくっついて出てくる動詞です。
代名詞がセットでついてくるから代名動詞。またセットでついてくる代名詞は再帰代名詞(さいきだいめいし)と呼ばれます。
たとえば、
Pen se lève à quatre heures. penは4時に起きます。
という文章のse lèver も代名動詞。
この場合のseは主語のpen自身です。
penは4時にpenを起こす⇒penは4時に起きる
このようにその動詞の動作が、主語自身に及びます。主語penは「起きる」という動作を投げかけるが、投げかける相手は自分自身である、ということ。
日本語で「起きる」と言ったらその人が起きるに決まってますが、フランス語では、いちいち誰を起こしているのか明確にします。
日本語では他人を起こすときは、(必要なら)起こす相手を明確にし、さらに「起こす」という「起きる」によく似た動詞を使いますね。ただし、日本語は主語や目的語をいちいち言わないことのほうが多いです。
penが自分ではなく、誰か別の人を起こす場合は、たとえば、
Pen le lève à quatre heures. penは彼を4時に起こす。
となります。le は何か男性形の名詞を受ける代名詞です。
代名動詞にはいくつか用法があり、このことわざに出てくるse ressembler と s’assemblerはお互いに動作を投げ合う、相互的な様子をあらわしています。
たとえばpenはGuruに似ているので、Guruのそばに寄っていきますが、Guruもpenに似ているので、Guruもpenのそばに寄ってくる。結果として似たもの同士が集まるわけです。
代名動詞がややこしいのは、まずこの考え方が日本語にないので、慣れる必要があること。
次に、動詞の前の代名詞を主語にあわせて形を変えなければいけないこと。
さらに、単純に語数が増えるので活用を読み上げるとき、口がうまくまわらないこと(特に否定形)などでしょうか。
se ressembler の現在形の活用
je me ressemble
tu te ressembles
il se ressemble
nous nous ressemblons
vous vous ressemblez
ils se ressemblent
代名動詞について詳しくはこちらに書いています
⇒代名動詞
直訳
互いに似ている人はより集まる。
似ている、または反対の意味のことわざ
逆の意味のことわざに
Les opposés s’attirent.
正反対の者はお互いにひきつけあう。
というのがあります。
Qui se ressemble s’assemble.とよく一緒に使われます。
日本語で、似ていることわざ
「類は友を呼ぶ。」
「類は類を呼び、友は友を呼ぶ。」
ちょっと違うけど、
「割れ鍋に綴じ蓋」
フランス語では⇒フランス語のことわざ30~割れ鍋にとじぶた
など。
英語では
Birds of a feather flock together.
同じ羽を持っている鳥は一緒に群がる。
ということわざがあります。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
人が正反対のものに惹かれるのは、自分にないものがほしいからでしょうね。
相変わらず活動されていますね。感服します。日本人はイメージで表すことが好きだから、「目の寄るところに玉が寄る」(目が動く方向に瞳も動く=似たもの同士が集まる)ほか、菰(こも)のところに菰がくる(乞食同士」蓑のそばに笠がくる(百姓同士}鬼の女房に鬼神がなる (悪人の夫婦)似たもの夫婦
などというと書かれています。
樋沼さん、こんにちは。
なるほど、日本人はイメージで表すのが好きなのですね。
目玉、菰、蓑、鬼の女房とみんなおもしろいことわざばかりですね。
一度も聞いたことありませんが。
お教えいただき、ありがとうございました。