きょうご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
Deux patrons font chavirer la barque.
船長が2人いると船は転覆する
船長が2人いると船が転覆する
なぜ船長が2人いると船が転覆するのでしょう?
2人船長がいるということは、方針も2つあるので、船員はどちらの言うことを聞いていいかわからず、船がひっくりかえってしまうのです。
統率が取れない、ということですね。
2人の船長が、お互いの足りないところや、欠点を補う形で仕事をすればいいのですが、これがなかなか難しいようです。
こういうことよくありますよね。
たとえば、母親と父親の子育ての方針があまりに違いすぎると、子どもは迷ってしまい、筋のとおった価値観を養うことができません。
さまざまな組織における、指揮系統の乱れ、というのも現場を混乱させるもの。
特に命令を出す人たちの立場が同じぐらいに強いと、さらに困ります。いったい誰の言うことを聞けばいいのか、と。
最後には社長が出てきて何か言うんでしょうね。
これは、国の政治にも言えます。ですから、大統領や、首相、または国王、天皇といった一番えらい人、というのは集団にとっては必要ですね。
もちろん、そこにすべての権力が集中してしまってはまずいのですが。
人が集まって協力して何かをすると、1人で行うより、ずっとたくさんのことができます。しかし、リーダーが大勢現れて、それぞれが違うことを言い出すと、「1人でやってるときのほうがよっぽどよかった」、ということにもなります。
それでも人間は社会的動物ですから、このあたりうまくバランスをとって暮していきたいですね。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
deux 2つの
詳しくは⇒フランス語の数字【第3回】~2(ドゥ)
patron 船長 patron はなにかの組織、団体のリーダーです。
詳しくは⇒パトロンとは? FC2ブログです
font < faire ~させる
faire + 動詞の不定詞 で使役表現⇒文法ワンポイント
chavirer (船が)転覆する、ひっくりかえる
Trois bateaux ont chaviré à cause du typhon.
台風で船が3そう転覆した。
la 女性名詞につく定冠詞
barque 小舟、ボート
文法ワンポイント 使役のfaire
faire + 動詞の不定法(辞書にのってる活用していない形)で、~させる、という使役の意味になります。
使役とは人を使って何かをさせることです。
いつも faire のあとに直接動詞が続き、間に何かが来ることはありません。この点、英語と違います。
たとえば、
Elle fait travailler ses enfants.
彼女は子どもたちに勉強をさせる。
Je l’ai fait venir.
私は彼を来させた。
~に…をさせる、と言うときは、その動詞をする人(つまり、させられる人)は、à (又はpar)のあとに言います。
たとえば、
Je fais lire ce roman à mon fils.
私は息子にこの小説を読ませる。
このあたりの語順について、詳しくはこちらの記事に書いています⇒
faireの現在形の活用は不規則なので書いておきますね。
je fais
tu fais
il fait
nous faisons
vous faites
ils font
直訳
2人の船長は船を転覆させる
バリエーション
英語で似ていることわざは以下のもの。
Too many cooks spoil the broth.
コックが多すぎるとスープが上手くできない。
Many dressers put the bride’s dress out of order.
着付け係がたくさんいると、花嫁の衣装が変になってしまう。
日本語では
船頭多くして、船、山にのぼる。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
リーダーのみならず、なんでも数が多いと迷ってしまうのですよね。なるべく1つにしぼりこみ、方法をシンプルにするほうが、何ごともうまく行きやすいと思います。
それでは、次回のことわざの回でお会いしましょう。
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