今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
真実は子どもの口からもれるもの
La vérité sort de la bouche des enfants.
真実は子どもの口からもれるもの
子どもは大人よりずっと純粋で嘘をつきませんから、本当のことを言うという意味です。
大人は嘘をついたり、建前を言いますけれど。
子供は一般に隠しごとができないですません。
ママが子どもに「これはパパに内緒よ」と口止めしても、あとで何かのときにポロッと「そういえば、あのときママが・・・」と子どもはパパに言いますから、気をつけなければなりませんね。
よくわかる!フランス語の解説
★単語の意味
vérité 本当のこと、真実
sort < sortir 出る、生じる
bouche 口
enfant 子ども
★直訳
真実は子どもの口から出る。
★補足
sortir 「~から出る」はたいてい、出る場所(起点)の前に
前置詞deがつきます。
彼は家から出る。
Il sort de chez lui.
彼は国を離れる
Il sort de son pays.
子供の嘘はすぐにばれる
子どもでも、時に嘘をつきますが、その場をとりつくろうだけのすぐばれる嘘です。
たとえば、映画「プチ・ニコラ」のクロテールのように。
この映画「プチ・ニコラ」は1950年代末~60年代のフランスが舞台。少年ニコラとその家族や友だちが出てくるコメディです。
予告編です。1分8秒
30秒すぎぐらいにクロテールがすぐにばれる嘘をついています。
彼は宿題をやってこなかった理由の手紙を先生に手渡しています。
クロテール:C’est un mot d’excuse de mes parents.
これは、両親の(宿題をやらなかった)理由を書いた紙です。
先生:Qui t’a fait ce mot ?
誰がこれを書いたの?
その手紙には«Papa»(パパ)と子どもの字でサインしてありました。
ところで、この手紙、理由を書いてある部分はタイプ打ちしてあるようです。
タイプはクロテールが自分で打ったんでしょうか?
それともそういう手紙は最初から作ってあって、親はサインするだけでよいのでしょうか?
★映画、プチニコラの予告編を紹介しています
↓
プチ・ニコラ(映画)予告編のフランス語(前編)
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このことわざは、子どもには大人には見えない「物事の本質」が見えるという解釈もできます。
子どもに真実が見えるのは、彼らの生活がシンプルきわまりないからではないでしょうか。
学校でお友達と遊んで、家に帰っておやつを食べて、また遊んで、晩御飯を食べて、テレビを見て、お風呂に入って寝る。
心配事は明日のテストだけ。
誰にも何にもよけいな気遣いする必要なし。
私たち大人は周囲といろんな利害関係があり、考えたり、処理することもたくさんあります。いろんなことをばたばた片付ける生活に追われ、今、本当に何が大切なのか、見失いがちなのです。
まあ、最近の子どもは私の時代の子どもより大人化が早く、嘘をつく技術も必要以上に早く覚えさせられるという面はあるかもしれませんね。
残念なことです。
ちなみに、フランス語で似たようなことわざに
La vérité est dans le vin.
真実は酒の中にある(真実はワインの中にある)
というのがあります。
「酔っ払うとつい本当のことをもらしてしまう」ということです。
こちらは大人にしかできないことですね。
penさん
はじめまして^^
>「真実は子どもの口からもれるもの」
思わず笑ってしまいました。
うちの子も、さすがに上4人はそうでもなくなりましたが、
下の娘2人なんぞ、
「ピンポ~ン♪」が鳴るといち早く玄関に飛んでいき
私が到達するまでのわずかな隙(?)に、
お客さんに我が家の暴露情報を提供していたりします。
>La vérité sort de la bouche des enfants.
フランス語はさっぱりでしたが、
なんだか親しみがわいてきました♪
ゆーみんさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうなんですね。お客さんに暴露するとは。
でもお子さま、人懐っこいんですね。
私はすごい人見知りで、お客さんがくると家の奥に
走って逃げていきました。
けっこう身の回りにフランス語から来た外来語って
多いんですよ。また記事にしますね^^
「La verité 真理」に関する諺、格言、名言は沢山ありますが、2つだけあげてみます。
1.「La vérité est au fond du puits」. TLF は「 La vérité est difficile à découvrir.」と説明していますが、田辺貞之助は次のように解説しています。
<ギリシャの哲学者デモクリトス(紀元前460年頃-紀元前370年頃)の言葉。
フランスの小説家で、フランス幻想文学の祖と言われるCharles Nodier(1780年4月29日 – 1844年1月27日)は、
「井戸の底にうつる空は丸い井戸枠にくぎられた天空の一部にしかすぎない。
これと同じく、真理がどこかにあるにしても、人はその一部か知らぬ。
この諺は我々の知性を表徴する」といった。
神話では女が鏡をささげながら井戸からあがってくる絵で真理をあらわしている。
これは真理は真理が井戸の底にかくれた鏡のように人知の奥に隠されているが、おそかれはやかれ探求者から発見されて世の中にあらわれることを意味している。>
2.La vérité est la fille du temps 真実は時の娘である。
ラテン語:VERITAS TEMPORIS FILIAあるいは、VERITAS FILIA TEMPORIS
英語:Truth is the daughter of time.あるいはTruth, the daughter of Time.
この言葉はアウルス・ゲッリウスが紀元前2世紀に著した『アッティカ夜話』(Noctes Atticae)のなかです。
フランス語でAulu-Gelle というラテン文法学者ですが、
この言葉をタイトルにした有名な歴史ミステリがありますので、この言葉の意味と、このミステリー小説の中味を
Wikipedia の「時の娘」でみてください。
上述の田辺貞之助は Le temps découvre la vérité: どんな秘密でも時がたつうちにはおのずから明らかになる と同じ意味だと解説しています。
1の諺の延長にある、という解釈です。
真理に関する他の格言もたくさんあります。
古来真理とは何か、考え尽くされているように思えます。新しく加えることは至難の業ではないでしょうか。
樋沼さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
たくさん教えてくださってうれしいです。
そういえば、「時の娘」というミステリーのタイトルは、昔
エラリー・クイーンなどを読んでいたときに見たことがあります。
そういう話だったんですね。
人間はずっと真理について考えてきたのですね。
私はX-ファイルズというテレビシリーズの
“The Truth Is Out There” を思い浮かべました。