娘と母親

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Maman a tort (ママは間違っている):予告編のフランス語

映画の予告編を使って、フランス語になじむシリーズ。

今回は、2016年秋に公開された、フランスとベルギー制作の映画、Maman a tort の予告編を紹介します。

母とティーンエイジャーの娘の物語。日本では未公開です。

Maman a tort の予告編

1分43秒。

女子中学生が、母親の勤めている保険会社で研修をする話です。

予告編のトランススクリプト

– Maman?
– Quoi?
– Tu sais, moi, ça me dit bien de faire mon stage dans ton entreprise. Ça pourrait même être super.
– T’essaies de me mettre dans un service infâme.
– Eh, oh! Tu te crois où ici? C’est pas les vacances à la carte. T’es dans une compagnie d’assurance.

– Ici, c’est notre salle de rangement et, faudrait, euh, ben, complètement la restructurer.
– J’ai quand même passé toute la journée dans un cagibi, tu trouves ça normal ?
– Non.

– On remet comme hier, si toi tu trouvais que c’était plus pratique Eh! ça va, là ? Tranquillou ? Non mais l’autre, par terre !
– Bienvenue dans le monde du travail !

– Ça fait un an que j’attends. Vous comprenez ça ? Un an ! Mes enfants, ils vont être à la rue à cause de vous.
– Bonsoir, excusez-moi, je peux vous aider? Je vous ai entendue, je travaille au service assurance-emprunteur.

– Tu crois que tu vas pouvoir faire quelque chose ?
– Je sais pas.
– T’as pu étudier le dossier?
– Ah, euh, oui, c’est mort.
– Comment ça, c’est mort?
– Elle va être expulsée ?
– Ben, pourquoi t’as pas pris le papier ? Hein ? Bah, eh, comment tu veux vérifier son dossier si tu prends pas le papier ?

– En fait, c’est quoi vos objectifs ?
– Bah, euh, c’est gagner plus d’argent. Arrête de vouloir te la jouer, là, genre je fais partie de la cour des grands. Ton stage, c’est un stage d’observation. C’est trop naïf de penser que c’est facile de faire le bien.
– Oui, mais c’est encore plus facile de rien faire.

– Ta maman elle t’aime, elle t’adore, elle fait tout pour toi ! Et toi, tout ce que tu trouves à faire c’est de la salir ? De l’accuser de choses affreuses ?

– T’as pu la reloger, là, ta famille?
– Ben c’est bien parti ouais. Quelques petits trucs à régler encore mais c’est comme si c’était fait.

– Ce stage a donc été une expérience très enrichissante, qui m’a permis de découvrir un nouvel univers. J’ai rencontré des gens très sympathiques qui m’ont appris beaucoup de choses que je ne connaissais pas.

– Et puis, euh, pour le titre, je pensais mettre «l’enfant du placard», mais c’est peut-être pas non plus très…
– Non, ça, c est pas…
– Ah oui. Non, parce que je suis plus une enfant.
– Voilà.

トランスクリプトはこちらで入手しました⇒« Maman a tort » de Marc Fitoussi | Fransk Sprog

トランスクリプトの和訳

ママ?
何?
あのね、私、ママの会社で研修したいんだけど。すごくいい経験になると思う。

ひどい仕事をあてがってもいいよ。
あらあら、どこにいると思っているの。バカンスじゃないわよ。ここは保険会社よ。

ここは、倉庫なの。えーと、全部、並べ直してくれない?

1日中、ずっと物置きにいたのよ。これって普通のこと?
いいえ。

きのうみたいに、戻しましょう。もし、そのほうが便利だと思うならだけど。あら、どうしたの? 静かなのね。違うわ、もう1つは、床の上よ。

仕事の世界にようこそ。

もう1年も待っているのよ。わかってるの? 1年よ。お宅のせいで、子どもたちは、路上に追いやられたわ。

こんばんは。どうしましたか? お話が聞こえたのですが。私は、保険の貸付を担当しております。

何かできると思う?
わからないわ。

書類を調べた?
え、ああ、彼は死んでいるわ。
どういうこと、死んでるって?
彼女は追い出されるの?

ねえ、ママ、どうして書類を取らなかったの? ねえ、書類を取らないのに、どうして記録をチェックしたいの?

で、この会社の目的って何?
そうね、できるだけお金をもうけることよ。

かぎまわるのはやめなさい。私は上層部で働いているのよ。あなたの研修は、観察することでしょ。簡単によいことができると思うのは、世間知らずすぎるわ。
うん、でも何もしないのはもっと簡単よね。

あなたのママは、あなたを愛してるわ。すごく大事に思っているの。あなたのためには、なんだってするわよ。それなのに、あなたが見つけることは、ママをけがすことになるのよ。おぞましいことをしたと非難したいの?

家を見つけることができたの?
えーと、まあ、そういうことね。まだ少ししなきゃならいことがあるけど、そうなったと言えるわね。

この研修は、とても実りある経験でした。私は、新しい世界を知ることができました。とても心優しい人々と出会い、皆、私が知らなかったことをたくさん教えてくれました。

で、(レポートの)タイトルは、「物置きの子供(l’enfant du placard)」にしようと思うんだけど、それだとちょっと…

そうね、それはちょっと…

そうなの。だって、私、もう子供じゃないし。

そのとおりよ。

単語メモ

stage  実習、研修

infâme  おぞましい、いまわしい;汚らしい、粗末な

cagibi  (窓のない、狭苦しい)小部屋、物置き

tranquillou  静かに ☆副詞ですが、ここでは女の子を呼びかける名詞として使っていると思います(間違っているかもしれません)。

expulsé  追い出された、退去させられた 動詞は expulser

genre  このgenreは、えーと、まあ、その、などのつなぎの言葉。英語でいえば、like

la cour des grands  トップ集団、上層部、メジャーリーグ

salir  よごす、汚くする;けがす、中傷する

reloger  (家を失った人に)住居を与える

placard  押入れ、クロゼット、物入れ

☆映画を見ていないので、papier と dossier が厳密には何をさすのかはわからないため、書類、記録という訳語をあてました。

顧客の書類を処理する段階で、保険会社側が、なんらかの操作をしたと思われます。

Maman a tort 予告編でのお話

主人公は、14歳の女の子。日本でいうと中学生です。

名前をアヌーク(Anouk)といいます。

学校の課題で、お仕事体験をすることになりました。最初は、テレビ関係の仕事をしたいと思っていたのですが、受け入れ先が見つからず、結局、母親が勤める保険会社に行くことになります。

しかし、会社では、倉庫の整理といった退屈な仕事ばかりさせられて、ちょっとうんざりしています。

アヌークは、「この会社のせいで、子供が路頭に迷っている!」と受付で訴える女性に出会い、この人のケースをちょっと調べてみることにします。

いろいろ調べていたら、どうも会社の扱いに問題があった、しかも、自分のママがそれに関与しているのでは? と疑惑を持つようになります。

アヌークの母親はシングルマザーで、子供のために、日々がんばっており、会社でも出世しています。

正義感にかられたアヌークにあれこれ詰め寄られると、「あなたはまだ子供なのよ。大人には大人の事情ってものがあるのよ」と答えます。

脚本と監督は、Marc Fitoussi(マーク・フィトゥッシ)という人です。

*****

日常生活を描く映画のセリフに出てくる言葉は、文法的にそんなに難しいことはありません。

けれども、ネイティブスピードなので、聞き取りはとても難しいですね。

日常よく使う、ラジオ講座のテキストにはなかなか登場しない語彙もごろごろ出てくるから、聞き取るためには、語彙力も求められます。映画によっては背景知識も必要でしょう。

そもそも映画の予告編は、いろいろなシーンをつなぎあわせてあるから、誰が話しているのかわからない箇所もあります。映画の全貌を完全に理解できるものにしてしまったら、映画を見る必要もなくなるので、「予告編見てもよくわからない」のが普通です。

あくまで、フランス語になじむ素材として紹介しています。

予告編は、1本、1本が短いから、生のフランス語にふれる素材としては、とっつきやすいものの1つだと思います。

この映画の予告編のトランスクリプトは、FranskSprog という、デンマークの、フランス語を教える先生向けのリソースを提供しているサイトで見つけましたが、レベル的にはA2だそうです。

「A2にしちゃ、難しくないかい?」と思いましたが、トランスクリプトを見ると、そんなに難しくないんですよね。

大学へ行って勉強する、フランス語で論文を書く、難しい試験にパスしたい、人にフランス語を教えて生活する、フランス語圏でどこまでも出世したい、といった事情がない限り、A2レベルに習熟すれば、日常生活はなんとかなりそうです。






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