ハートを描く指

フレンチポップスの訳詞

La tendresse (ラ・タンドレス やさしさ):ブールヴィル/マリー・ラフォレ(歌と訳詞)

1960年代に、ブールヴィル(1963),そしてマリー・ラフォレ(1964)が歌った、La tendresse という曲を紹介します。

邦題がわからないので、『ラ・タンドレス』とします。la tendresse は やさしさ、愛情、思いやり、という意味です。

とてもきれいな歌なので、たくさんカバーバージョンがあります。

2020年の3月の終わりに、複数のミュージシャン(Symphonie confinée)が、自宅や庭で歌った動画がYouTubeに投稿され、いま、話題になっています。この歌は、COVID-19に影響を受けた人、すべてに捧げられています。

ラ・タンドレス

ブールヴィルのバージョン 3分11秒

ブールヴィル(1914-1970)はフランスのコメディアンです。

マリー・ラフォレのバージョン。一部、歌詞が省略されているため、ブールヴィルのバージョンより短いです。2分20秒

La Tendresse

On peut vivre sans richesse
Presque sans le sou
Des seigneurs et des princesses
Y’en a plus beaucoup
Mais vivre sans tendresse
On ne le pourrait pas
Non, non, non, non
On ne le pourrait pas

On peut vivre sans la gloire
Qui ne prouve rien
Etre inconnu dans l’histoire
Et s’en trouver bien
Mais vivre sans tendresse
Il n’en est pas question
Non, non, non, non
Il n’en est pas question

Quelle douce faiblesse
Quel joli sentiment
Ce besoin de tendresse
Qui nous vient en naissant
Vraiment, vraiment, vraiment

Le travail est nécessaire
Mais s’il faut rester
Des semaines sans rien faire
Eh bien… on s’y fait
Mais vivre sans tendresse
Le temps vous paraît long
Long, long, long, long
Le temps vous parait long

Dans le feu de la jeunesse
Naissent les plaisirs
Et l’amour fait des prouesses
Pour nous éblouir
Oui mais sans la tendresse
L’amour ne serait rien
Non, non, non, non
L’amour ne serait rien

Quand la vie impitoyable
Vous tombe dessus
On n’est plus qu’un pauvre diable
Broyé et déçu
Alors sans la tendresse
D’un cœur qui nous soutient
Non, non, non, non
On n’irait pas plus loin

Un enfant vous embrasse
Parce qu’on le rend heureux
Tous nos chagrins s’effacent
On a les larmes aux yeux
Mon Dieu, mon Dieu, mon Dieu…
Dans votre immense sagesse
Immense ferveur
Faites donc pleuvoir sans cesse
Au fond de nos cœurs
Des torrents de tendresse
Pour que règne l’amour
Règne l’amour
Jusqu’à la fin des jours

作詞は、Noël Roux 、作曲は Hubert Giraud

やさしさ・訳詞

僕たちは富がなくても生きられる
ほとんど文無しでも
領主やプリンセスのお金が
ろくになくても
でも、やさしさなしで生きるなんて
そんなことはできない
ノー、ノー、ノー、ノー
僕たちにはできない

僕たちは栄誉がなくても生きられる
栄誉なんて何のあかしにもならない
歴史の中で無名でも
そのことについて満足できる
でもやさしさがないことには
問題外だ
ノー、ノー、ノー、ノー
話にならない

なんてやさしいもろさ
なんてきれいな気持ち
やさしさが必要だ
生まれたときから僕たちに備わっているやさしさ
本当に、本当に、本当に

仕事は必要だ
でも、もし、家にいなければならないなら
何週間も何もしないで
そういうのは…慣れるものだ
でもやさしさなしに生きると
時間が長く感じられる
長い、長い、長い、長い
時間が長く感じられる

若さの炎の中で
喜びが生まれる
そして恋が偉業をなしとげる
僕たちの目をくらませる
でも、やさしさがなかったら
恋は何にもならない
ノー、ノー、ノー、ノー
恋は何にもならない

無情な人生が
ふりかかってきたら
僕たちは、哀れな人にすぎない
打ち砕かれて落胆した
だから、やさしさなしにはね、
僕たちの心を支えてくれるやさしさ
ノー、ノー、ノー、ノー
僕たちは前に進めない

子どもがキスをしてくれる
僕たちがその子を幸せにするから
すべての悲しみは消えていく
僕たちは目に涙を浮かべる
神さま、神さま、神さま
あなたの無限の知恵の中で
深い熱情の中で

だから、やめることなく雨を降らせるんだ
私たちの心の奥底で
やさしさというほとばしりの雨を
愛が行き渡るために
みなぎるのは愛だ
世界の終わりまで

単語メモ

on s’y fait  人は慣れる

la prouesse  偉業、手柄

impitoyable  無情な

pauvre  (名詞の前で)気の毒な、あわれな

diable  やつ、男 ☆親愛の情をこめた表現
pauvre diable 哀れな男

broyer  打ち砕く

torrent  ほとばしり
torrents de larmes あふれるような涙

☆歌詞では la tendresse などの名詞を関係代名詞であとから形容しているので、わかりやすいように、名詞を補った部分があります。

カバー・バージョン

Kids United Nouvelle Génération のバージョン。歌詞つき 2分38秒

Symphonie confinée (家に閉じこもっているシンフォニー)のバージョン。こちらも歌詞がついています。4分4秒

トイレットペーパーに囲まれて、庭で寝ている人や、バスタブの中で歌っている人がいて、笑えますね。いや、笑ってはいけないのですが。

ほかにも、いろいろなバージョンがありますので、YouTubeで探してみてください。

フランスでは、自宅に閉じこもっている今の状態を、confinement と言っています。

confinement は、閉じ込めること、閉じこもること、独房監置、隔離、です。

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アラン・ドロンのダーバンのCMでフランス語を学ぶ。

マリー・ラフォレ(1939-2019)は、去年の11月、80歳で亡くなりましたね。

*****

フランスでは、今のところ5月11日まで、移動・外出制限がかかっています。

私が住んでいるところも、もう6週間ぐらい閉じこもっています。

政府の感染拡大予防のためのガイドラインに従って行動していますが、ここまで、皆がびっしりほぼ100パーセント、家に閉じこもる必要があるのかな、と思うときがあります。

私の州で、感染が広がっているのは、老人ホームやケアセンター、肉をパッキングする工場、石油を採掘している場所とわりと限られているからです。

しかし、YouTubeで、実際にCOVID-19にかかった若者の体験談を聞くと、空恐ろしく、閉じこもって正解なんだろう、とも思います。

早く終息することを願うばかりです。






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コメント

  • コメント (2)

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    • ソランジュ
    • 2020年 5月 05日 5:25pm

    しばらく仕事が忙しかったのですが、コロナ関係の自粛で少し時間の余裕が出来て、久しぶりにPENさんの記事をじっくり読めるようになりました。La tendresse いい曲ですね、今の状況になぜかぴったりです。私も歌いたくなったので歌詞を書き写して練習してみようと思います。素敵な曲を紹介してくださりありがとうございます。

      • pen(フランス語愛好家)
      • 2020年 5月 06日 8:26am

      ソランジュさん、こんにちは。
      こちらこそ、コメントありがとうございます。

      はい、いい曲だと思います。
      ぜひ歌ってください。

      これからもよろしくお願いします。

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