フランスの女性シンガー、Vanille(ヴァニーユ)の、Suivre le soleil という曲を紹介します。
歌詞を見ると、冬の歌なんですが、いつ聞いても感じがいい歌だと思います。
寒くて悲しい冬の日でも、太陽を見れば、目の前がキラキラして気分が変わるわ、という歌です。
Suivre le soleil
2分35秒。
作詞作曲はヴァニーユ自身です。
それでは訳詞に挑戦!
■太陽を追う
目を開けて、目の前をちょっと見たら
空はオレンジとブルー、ライラックを横切る光
ええ、わかってるわ。ええ、パリは
寒いし悲しい
ここは冬
終わりが見えない
☆太陽を追いかけてちょっと肌を変えたら
太陽はあなたの眠りをなでて、暖かい国を作り出すでしょう
あなたのために 金と銀が小川の中を流れるでしょう
空にあるあなたの瞳が美しい国を作りだすように
美しい国☆
肌を変える
あなたの苦しみを風に運んでもらって
朝、あなたの瞳の中で燃える炎がまた生まれますように
ええ、わかってる。ええ、パリは、ええ
寒いし悲しい
冬、春は
まだ明日じゃない
☆~☆ 繰り返し
肌を変える
太陽を追って肌を変える
太陽を追う
☆~☆ 繰り返し
目を開けて、目の前をちょっと見たら
単語メモ
vermeil 金めっきした銀
se faire 作り出す
changer peau の peauを「肌」と訳した理由は、コメントの返信に書いています。
文法メモ・条件法、その他
以下は私の解釈です(間違っている可能性あり)
この歌には条件法現在形の動詞がたくさん出てきます。
Si tu ouvrais les yeux:条件法の条件節(条件を提示する節、si+直接法半過去)、あとには節が続かず、名詞だけになっています。
Si tu suivais le soleil :もし太陽を追いかけたら 条件節 si ~ suivais
帰結節では、caresserait ferait couleraient feraient というように条件法の動詞が使われます。
Si tu laisses les vents emporter tes tourments en chemin :これは現在形を使っているので、ふつうの仮定(もし~なら)。条件法を使うときは、実現がありえないことや、難しいという気持ちがあります。
Que renaisse le feu qui brûlait dans tes yeux un matin ここは、仮定に対する帰結節が来るところですが、このque は願望を表していると解釈し(この場合、動詞は接続法)そんなふうに訳しています。
「苦しみを風に運んでもらって、また目に炎が宿ったらいいわね~」という感じ。
brûlait が半過去なのは、以前は、目が輝いていたということでしょう。
si+直接法現在形のときは、「もし~だとしたら」という訳以外にも、~したらいつも、~ではあるが、~なのは(~だからである)という流れもあるので、文脈に合わせて理解してください。
Suivre le soleil・関連動画
■歌詞の動画
■インタビュー(4分26秒)
ヴァニーユ(1988年生まれ)はジュリアン・クレール(Julien Clerc)の娘なんですね。
インタビューで、「うちには、たくさんcavalière(騎手、馬に乗る女性)がいる」と言っていますが、ヴァニーユのお母さんは、Virginie Coupérie-Eiffel(ヴィルジニー・クペリ・エッフェル)という人で元優秀な障害馬術選手(現在はブリーダーらしい)で、有名な方です。
名前にEiffel とついていますが、この方はエッフェル塔を作ったGustave Eiffel(グスタフ・エッフェル)のひ孫なので、ヴァニーユも、エッフェルの血をひいていることになります。
ジュリアン・クレールも良家の子息だから、ヴァニーユはいいところのお嬢さん、と言えるかもしれません。
まあ、父親や母親が誰かは、本人はあまり言ってほしくないかもしれません。
インタビューでは、お父さんも喜んでくれたと言ってるし、ジュリアン・クレールとデュエットしているシーンもあるので、親子の仲はいいみたいです。ジュリアン・クレールとヴィルジニー・クペリは現在は離婚しています。
Suivre le soleilはヴァニーユが2019年に発売した Amazona というアルバムに収録されています。
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Vanilleはヴァニラという意味ですが、たぶん本名です。作詞作曲のクレジットは Vanille Clerc となっていますから。
ヴァニラちゃん、ってかわいい名前ですね。
changer de peau を、肌を変える
と訳していらっしゃいますが、ちょっとしっくり来なくて調べたら、変貌する、イメージチェンジする、生活(の仕方)を変える、というのがありました。こちらの方がしっくり来るかな、と思いますが、如何でしょうか?
関春子さん
こんにちは。penです。
コメントありがとうございます。
確かに、肌を変える という表現は日本語にはないから
違和感たありますよね。
私も辞書でpeauの定義は全部見ました。
この歌は、寒くてゆううつなときに、日光にあたると暖かくなるし楽しくなる
という歌だと思うので(太陽の光の表現がいろいろと出てくるところからそう解釈)、
「肌」とそのまま訳しました。
生活を変えるというよりも、
もっとダイレクトな、肉体的な変化を
歌っていると思ったからです。
peauの意味の中に
体 や 生命 があるので
そういう意味合いを入れた訳し方がいいかもしれません。
もちろん、歌の解釈は自由なので
好きなふうに捉えればいいと思います。
いつもブログをごらんいただき、ありがとうございます。
pen