シリーズでフランス語のことわざや名言を紹介しています。
きょうのことわざは
Qui trop embrasse mal étreint.
単語
qui ~する人
trop あまりに
embrasse – embrasser 抱く、抱える
活用
j’embrasse
tu embrasses
il embrasse
nous embrassons
vous embrassez
ils embrassent
現在分詞 embrassant
過去分詞 embrassé
mal へたに、まずく、不適切に
étreint - étreindre 抱きしめる
活用
j’étreins
tu étreins
il étreint
nous étreignons
vous étreignez
ils étreignent
★複数側に発音の関係でGが出現
現在分詞 étreignant
過去分詞 étreint
子どもを腕に抱きしめる
étreindre un enfant sur sa poitrine
意味
あまりにたくさんの物を抱え込むとうまく抱えることができない。
あまりにたくさんの物を抱え込もうとする人は結局、うまく抱えることはできない。
⇒ 二兎を追う者は一兎をも得ず、虻蜂取らず
解説
embrasserは元来「腕(bras)に抱く、抱擁する」という意味ですが、現代フランス語ではこの意味はなく、キスをする、という意味です。
抱擁する は serrer entre ses bras, このことわざにも出てきたétreindreなどを使います。
しかしこのことわざは古く、14世紀の終わりからあったそうなので、ここでのembrasserは「腕に抱く、抱え込む」という意味です。当時の embrasserは「何かことを始める、事業を始める、計画する」という意味もあったそうです。
また、embrasser を言葉通りに受け止めて、「たくさんの人をいっぺんに抱こう(=くどく)とすると一人も抱くことができない」、とも考えることができます。
二つを追っただけで一つも取れないのに、もっとたくさん取ろうとすると、何もとれないのは道理ですね。
英語では Grasp all, lose all. (すべてを掴もうとすれば、すべてを失う)というのがあります。
似た意味のことわざ⇒フランス語のことわざ54~息を吸いながら吐くことはできない
もうひとつ⇒フランス語のことわざ59~バターとそれを売ったお金をいっしょに持つことはできない
■ほかのことわざは、こちらからチェック⇒フランス語のことわざ~目次 その1
欲張ってもろくなことがないのに、ついつい欲張ってしまうのが人間ですね。全部取ろうとせず、どれか一つに焦点を絞ったほうがいいのです。「そのほうが、何がしか手元に残るものがある」、とは語学でも言えることでしょう。
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