シトロンジブレー

フランスのお菓子

シトロン・ジブレ(レモンのシャーベット)の作り方:フランスのお菓子(52)

夏にぴったりのデザート、レモンのシャーベットの作り方を紹介します。

動画のタイトルは SORBET CITRON / CITRONS GIVRÉS(レモンのシャーベット/シトロン・ジブレ)

お菓子の作り方を紹介しているチャンネル Il était une fois la pâtisserie の1本です。3分38秒。フランス語の字幕がついています。

シトロン・ジブレ(citron givré)は、中身をくりぬいたレモンの皮を器にして、そこにシャーベットを詰めたもの。

givrer は霜で覆うという意味の動詞で、白く霜がついたような見た目からこの名前があります。フランスでは昔からあるデザートです。

動画の内容

シロップ作りから、レモンの器の仕込み、シャーベットを凍らせて詰めるところまで、テンポよく進みます。手順そのものはとてもシンプルです。

シロップを作る

グラニュー糖(sucre en poudre)、水、水あめ(sirop de glucose)を鍋に入れ、全部が溶けるまで火にかけます。水あめがなければ、はちみつで代用できます。

レモン4個分くらいの果汁を加えます。大きさで量が変わるので、目分量ではなく計って30clに。鍋ごと冷蔵庫で2時間以上、ひと晩おいてもかまいません。

*砂糖の量ですが、動画の概要欄によれば、150グラム、シロップは50グラムです。

レモンの器を作る

シトロン・ジブレにするなら、レモンの上のほうを帽子のように切り落として、中身をくりぬきます。このあたりのやり方は、重要フレーズでくわしく取り上げます。

シャーベットマシンで凍らせる

よく冷えたら、シャーベットマシン(sorbetière)に流し入れます。マシンの容器は12時間以上前から冷凍庫に。動画では25分回していますが、時間は機種によって違うので取扱説明書(mode d’emploi)に従います。

子ども向けでなければリモンチェッロを、好みですりおろしたしょうがを少し加えることもできます。どちらも入れなくてかまいません(facultatif)。

仕上げと盛り付け

固まったら、冷凍庫に入れられる容器に移し、食べる1時間前までに冷凍庫へ。それ以上おいても大丈夫です。

シトロン・ジブレにするなら、先ほどのレモンの器にシャーベットを詰めます。器が倒れないようにする、ちょっとしたコツがあります。これも重要フレーズで。

重要フレーズ

動画の中から6か所選びました。私は独学なので、訳は参考程度にどうぞ。

1. 出し方は2通り(0:07〜)

Le sorbet citron qu’on peut présenter soit sous forme de glace toute simple, soit sous forme de citron givré. C’est au choix, je vous donne les deux méthodes dans la vidéo.

レモンのシャーベットです。ごくシンプルなアイスの形で出すこともできますし、シトロン・ジブレの形で出すこともできます。どちらでもお好みで。動画では両方のやり方を紹介します。

soit A, soit B は、AかBか、どちらでも、という二者択一の言い方。ここでは sous forme de(〜の形で)が2回くり返されています。

toute simple の toute は、副詞として使われている tout です。ごく、まったく、という意味を添えます。

副詞なので本来は変化しませんが、子音または有音のhで始まる女性形の形容詞の前では、toute(複数なら toutes)と形を変えます。

C’est au choix. は、お好きなほうでどうぞ、という決まった言い方です。

2. そんなに絞れません(1:04〜)

Vous pressez pour récupérer un maximum de jus, mais vous verrez, vous n’arriverez pas à aller très très loin. Du coup, avec une cuillère à soupe, vous allez finir d’extraire tout le jus qu’il y a dans les citrons.

できるだけ果汁を取るために絞りますが、そんなに絞りきれないのがわかると思います。そこで、大さじを使って、レモンの中に残っている果汁を最後まで取り出します。

vous verrez は voir の単純未来。今にわかりますよ、まあ見ていてください、と相手に呼びかけるときによく使います。

ne pas arriver à + 不定詞 は、〜できない、うまくいかない。aller très loin は直訳すると、とても遠くまで行く。ここでは、絞ってもそこまでの成果は出ない、ということです。

du coup は、そこで、だから。話し言葉でよく出てきます。

finir de + 不定詞 は、〜し終える。ここは、残りを最後まで取り出す、という感じです。

3. 果肉をこそげ取る(1:17〜)

Ensuite, vous allez gratter la pulpe de haut en bas pour la décoller du citron et puis enlever en fait tout ce qui est à l’intérieur. Vous allez voir, il y a une petite pellicule qui va partir.

次に、果肉を上から下へこそげて、レモンからはがし、中に入っているものを全部取り除きます。薄い皮が1枚はがれてくるのがわかりますよ。

gratter はこそげる、かき取る。la pulpe は果肉です。pour la décoller の la は、この la pulpe を受けています。

décoller A de B は、AをBからはがす。coller(はりつける)に、分離を表す dé- がついた形です。飛行機が離陸するのも décoller です。

de haut en bas は上から下へ。反対は de bas en haut。

pellicule は薄い膜のこと。ここではレモンの白い薄皮です。写真のフィルムも pellicule といいます。

4. 中がきれいなレモンに(1:30〜)

Ça doit vous permettre d’avoir un citron bien nickel dans lequel vous pourrez mettre votre sorbet sans être embêté ensuite à la dégustation.

そうすれば、中がきれいにくりぬけたレモンができるはずです。そこにシャーベットを入れれば、あとで食べるときに困ることもありません。

nickel は金属のニッケルですが、口語では、きれいな、申し分ない、という形容詞として使います。C’est nickel !(完璧!)のように。ここは、果肉をすっかり取り除いたレモンの中の状態を指しています。

permettre à 人 de + 不定詞 で、人が〜できるようにする。ここは主語が Ça なので、そうすることで〜できる、という意味になります。

dans lequel は前置詞つきの関係代名詞。先行詞が citron(男性単数)なので lequel です。その中にシャーベットを入れられるレモン、ということ。

être embêté は、困る、うんざりする。embêter は人を困らせる、いらいらさせるという動詞です。

5. 冷凍庫用の容器に移す(2:30〜)

Après vous versez le tout dans un bac allant au congélateur.

そのあと、全部を冷凍庫に入れられる容器に移します。

le tout は、全部、全体。

allant au congélateur は aller の現在分詞で、bac を後ろから修飾しています。冷凍庫に入れても大丈夫な容器、ということ。オーブン可の器を un plat allant au four というのと同じ言い方です。

6. 自分で立つように(2:47〜)

Vous coupez l’extrémité pour qu’ils tiennent debout tout seul, et puis vous les remplissez de sorbet citron.

先のところを切って、レモンが自分で立つようにします。それからレモンのシャーベットを詰めます。

pour que のあとは接続法です。tiennent は tenir の接続法現在ですが、直説法と同じ形なので見た目では区別がつきません。

tenir debout は立っている、倒れないでいる。tout seul は、ひとりでに、支えなしで。字幕では tout seul となっていますが、主語が複数なので、書くなら tout seuls だと思います。

remplir A de B は、AをBでいっぱいにする。les は citrons を受けています。

単語メモ

givrer 霜で覆う、霜がつく

givré(e) 霜のついた(citron givré:くりぬいたレモンにシャーベットを詰めたデザート)

rafraîchissant さわやかな、涼しくする

sucre en poudre グラニュー糖

sirop de glucose 水あめ、グルコースシロップ

casserole 片手鍋

fondre 溶ける、溶かす

récupérer 回収する、取り戻す(ここでは果汁を取る)

peser (重さを)計る、量る

presser 絞る、押す

chapeau 帽子(ここでは切り落とすレモンの上の部分)

cuillère à soupe 大さじ、スープ用スプーン

extraire 取り出す、抽出する

gratter こそげる、かき取る

pulpe 果肉

de haut en bas 上から下へ

décoller はがす、(飛行機が)離陸する

pellicule 薄い膜、薄皮、フィルム

nickel きれいな、申し分ない(口語)

être embêté 困る、うんざりする

sorbetière シャーベットマシン、アイスクリームメーカー

congélateur 冷凍庫

mode d’emploi 取扱説明書

râpé(e) すりおろした

facultatif 任意の、入れなくてもよい

prise(glace bien prise) しっかり固まった

bac (四角い)容器、箱

extrémité 端、先

remplir いっぱいにする、詰める

réclamer 求める、要求する

プチ文法:単純未来と近接未来

このレシピ動画は、未来の言い方が2種類、代わるがわる出てきます。

まず、単純未来のほうから。

作り方は、不定詞に -ai, -as, -a, -ons, -ez, -ont をつけます。-re で終わる動詞は、最後の e を取ってからつけます(prendre → je prendrai)。

vous n’arriverez pas à aller très loin
そんなに絞りきれないでしょう(arriver → arriver + ez)

語幹が変わる動詞もあります。動画に出てくるのはこのあたり。

voir → verr- vous verrez(今にわかりますよ)

pouvoir → pourr- vous pourrez mettre votre sorbet(シャーベットを入れられます)

devoir → devr- ça devra dépendre de votre machine(お使いの機械によるでしょう)

plaire → plair- j’espère qu’elle vous plaira(気に入ってもらえるといいのですが)

もうひとつが近接未来。aller の活用形+不定詞で作ります。

vous allez gratter la pulpe(果肉をこそげます)

il y a une petite pellicule qui va partir(薄皮が1枚はがれます)

ça va dépendre de la taille de vos citrons(レモンの大きさによります)

近接未来は、今の状況とつながりの強い予定や、これから起こることを表すときによく使います。

単純未来は、出来事を現在から少し切り離して述べる形です。時間が近いか遠いかだけで決まるわけではないのが、ややこしいところです。

話し言葉では近接未来のほうがよく出てきます。

この動画では、これから手を動かす工程には近接未来、その結果として起こることには単純未来が使われています。vous allez gratter(こそげます)に対して、vous verrez(そうするとわかります)といった具合です。

自作の例文です。

Vous verrez, c’est très facile.(やってみればわかりますよ、とても簡単です。)

Je vais faire un sorbet ce soir.(今晩シャーベットを作ります。)

Quand il fera chaud, je ferai des citrons givrés.(暑くなったら、シトロン・ジブレを作ります。)

最後の例文のように、時を表す quand のあとが未来のことなら、フランス語では未来形にします。ここは、日本語や英語とは違います。

si(もし)を使う場合は、条件を表すので、あとが未来のことでも現在形のままです。Si j’ai le temps, je viendrai.(時間があれば行きます)で、Si j’aurai le temps とは言いません。

quand のあとが現在形になることもあります。習慣や一般論を言うときです。Quand il fait chaud, je bois beaucoup d’eau.(暑いときは水をたくさん飲みます)。これから起こる1回のことか、いつものことかで分かれます。

レモンのすべて・関連動画

レモンそのものを取り上げた動画もあわせて紹介します。

タイトルは Le Citron : Son Histoire, Sa Culture et Ses Vertus Méconnues !(レモン:歴史、栽培、そして知られざる効能)

9分34秒。

内容をかいつまんで紹介します。

レモンの原産は南アジア。野生種ではなく、柑橘類がかけ合わさって生まれた果物です。アラビアの商人によって中東から地中海へ運ばれました。

動画では、中世に長い航海へ出た船乗りたちが、壊血病に苦しむなかでレモンの力に気づいた、と紹介されています。

ただ、船で柑橘類が広く使われるようになったのはもっとあとの時代で、イギリス海軍がレモン果汁を正式に採用したのは1795年です。

うわさの検証もあります。空腹時にレモン水を飲むと痩せる、という話について、動画の答えは、消化や水分の排出の助けにはなっても、脂肪を落とす魔法の力はない、というものでした。

料理以外の使い道も出てきます。お酢と合わせて水あかの掃除、電気ケトルのカルキ取り、衣類のしみ抜きなど。

このほか、健康面のはたらき、おいしいレモンの選び方、レモンで電池を作ってLEDを光らせる実験の話などもあります。

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*****

シトロン・ジブレはレモンの皮をそのまま器にしてしまうので、見た目がかわいくて、写真映えもします。

フランスでは古くから食べられているデザートなので、どこか懐かしい雰囲気もありますね。

シャーベットマシンがあれば簡単にできますが、なくても作れます。冷凍庫で半分固まるまで冷やして、途中で何回かかき混ぜます。

たまにしか作らないなら、機械を買うほどもないでしょう。

酸っぱいものが好きな人も、そうでもない人も、機会があったら試してみてください。

それでは、次回の記事をお楽しみに。

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