今日、ご紹介するフランス語のことわざはこちらです。
「もし」がたくさんあれば、パリを瓶につめることだってできるだろう。
Avec des si, on mettrait Paris en bouteille.
ことわざの意味
「もし」がたくさんあれば、パリを瓶につめることだってできるだろう。
「もし si」は「もしも~なら」と仮定するときの「もし」です。
仮定の話や想像の話でなら、パリを瓶の中に入れることはできる、という意味です。誰が考えたのか知りませんが、パリをびんに入れる発想がおもしろいですね。
もし、パリをびんに入れたら、パリっと割れるだろう。
・・・というような仮定でしょうか。
さて、人が「もし~だったら、~だったのに、でも現実は・・・」
と過ぎてしまった過去のことをいつまでも考えて、前に進めないのはあまりいい状況ではありません。
スポーツなどでは、よくある局面ですね。
もしもあのとき、ゴールキーパーがよそ見をしていなかったら、勝てたのに、とかなんとか。
あるいは未来のことでも、
もし、フランス語がぺらぺらになったら、パリに行って、映画のオーディションを受けて、合格して、ヒット作に出て、セザール賞とって、コートダジュールに別荘買って、遊んで暮らすのに・・
と根拠のない想像をめぐらしていると
「想像のうえなら、なんでもできるよ。でも実際に、フランス語ができるようになるために、何かをしているの?」
と人に痛いところをつかれてしまいます。
反面、「もし~なら」と空想することはマッチ売りの少女のように、その人の持っていない世界をかいまみせ、一時的にせよ、苦痛をやわらげてくれます。
また、メーテルリンクの「青い鳥」のような、奇想天外で夢のある、お話を紡ぎだすことも可能。
使い方次第で、役にも立てば、害にもなるのが「もしも」の世界のおもしろいところですね。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
avec ~があれば、~をもってすれば;条件を示す
des いくつかの;複数形の不定冠詞
si もしも
on 人は
mettrait < mettre 入れる; 条件法現在(3人称複数)
Paris パリ フランスの首都
en bouteille びんの中に
直訳
「”もしも”がいくつかあれば、人はパリをびんの中に入れるこ
とができるだろう」
★補足
このことわざそのものが「もし、”もしも”がたくさんあれば~、~だろう」という条件法現在形の形です。
Avec des si で条件を示し、on mettrait Paris en bouteille は、その条件のもとでなら、起きるだろうことを言っています。
似た意味のことわざ
英語で同様のことわざにこんなのがあります。
If ifs and ands were pots and pans there’d be no work for tinkers’ hands.
もし「もしも」や「そしたら」が深鍋と平鍋なら、鋳掛け屋さんは不要です。
*tinker は鍋掛や屋、鍋や釜を修繕する人。
「もしも~だったら」と願うだけでは何も生まれませんね。
あまりにその「もしも」が強烈であれば、妄想となり、小説が書けるかもしれませんが。
こうだったらいいのに、と夢見るのも楽しいのですが「そうなるといいな~」と思っているだけでは何も起きません。
どんな小さなことでもいいから、実際に何か行動をおこさないと、現実は変わらないでしょう。
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