かわいいフランス語、教えます~その11 愛をこめた呼びかけでちらっとふれましたミッシェル・ポルナレフの « Tout, tout pour ma chérie »(シェリーに口づけ)を訳してみました。
上記の記事にも書きましたように、chérieは人の名前ではなく、ma chérie で「僕の恋人」「僕の愛しい人」という呼びかけです。
「シェリーに口づけ」は、おそらく日本で一番よく知られているポルナレフの作品ですね。とてもキャッチーな1969年発売の歌です。
ma chérieとmon amour という2つの愛の呼びかけが出てきますので、聞き取ってみてください。
Tout, tout pour ma chérie(すべてを、かわいい君に)
2分54秒
では、訳詞に挑戦!
すべてを、かわいい君にX4
ねえ、僕と一緒に来て
僕の腕にぶらさがって
すごく寂しいんだ
君がここにいなくて、
君の声がしなかったり、君のからだが感じられないとね
そう、だから来て!
僕のそばに来て
僕は、君のことは何も知らない
名前も、年も
それでもきみは後悔しないよ
だって、僕、あげるから、
すべてを、かわいい君にX4
大理石の台座の上にいる僕
ある日、落ちるかもしれないと恐れている
そばに誰もいないとね
でも、もし君が
僕といっしょに来てくれたら
僕のそばで歩いてくれるその人が
僕の苦しみを終わらせてくれるってわかるんだ。
ねえ、君、僕といっしょに来て
どうしても君が必要なんだ
君への愛はあふれんばかり
ぼくに君を抱きしめさせて
さあ、僕と来て
そして、どこにも行かないで
もう何年も君を待っていた
僕の恋人、僕は何年も泣いていたんだ
単語メモ
piédestal (円柱、彫像などの)台座、台石 複数:piédestaux
mettre fin à qc ~を終わらせる、(問題)にけりをつける
désarroi 不安、苦しみ
serrer 抱きしめる
ワンポイントフランス語~命令法
この歌には命令法が4種類出てきますが、うまい具合に文法ポイントが入っていますので、ちょっと解説します。
命令法について詳しくはこちら⇒13:初級編L35~動詞prendreと命令法
ぜんぶtu(きみ、ma chérieと呼びかけている人)への命令法です。命令といっても、ここでは「お願い」に近いですね。
命令法はふつうの文の主語をとるだけです。
でてきた命令法とふつうの文、そして動詞の不定法を書いておきます。
ごく素直な命令法
viens – Tu viens – venir 来る
pends – Tu pends – pendre ぶらさがる
Sの脱落など少し注意が必要なもの
・-er動詞と、allerとほか一部の動詞は現在形の活用のSが脱落。
・肯定の命令法に代名詞がつく場合は動詞の後ろにおきトレデュニオンで結ぶ。
・te,meがつくときはそれぞれ強勢形(toi,moi)になる。
laisse-moi – Tu laisses – laisser …をさせておく
否定の命令法
否定のとき、代名詞はふつうの文ど同じようにneと動詞のあいだにおく。
ne me quitte pas – Tu ne me quittes pas – quitter – ~から離れる
※quitterもer動詞なので、命令法では、tuの活用からSが落ちています。
さて、この曲はいたってシンプルなラブソングですが、ひとつだけ比喩が出てきますね。
un piédestal de cristal
クリスタルの台座
なぜ、彼はこんなものの上にいるんでしょうか?お人形さん?
こわれやすいってことかもしれません。実際、ポルナレフはかなり大胆な行動をする方ですが、反面ナイーブで繊細なのです。
関連動画
2分で彼のことを紹介したビデオを見つけましたので、貼っておきます。若いころのインタビューの映像もあります。話し声もとてもいいですね。
ピチカート・ファイヴのカバーをご紹介します。こちらもスピード感があっていいですよ。
5分5秒
●ポルナレフ(1944~)の経歴については「渚の思い出」の記事で書いています。
⇒歌と訳詞:「渚の想い出」ミッシェル・ポルナレフ
ポルナレフのデビュー曲も記事にしています⇒歌と訳詞:ノンノン人形~ミッシェル・ポルナレフ
ポルナレフの他の曲も順次訳す予定です。時々ブログをチェックしてください。
すごく素敵な和訳ありがとうございました。
読んでて本当に感動しました。
YOUTUBEで聴きながら歌詞読むと最高ですね!!
これからも活躍してくださいね。
黄色い猫さま
はじめまして。penです。
コメントありがとうございます。
訳詞を楽しんでいただき、うれしいです。
これからもよろしくお願いいたします。
googleの日本語訳の次に見つけました。
訳によって、ぜんぜん異なるものです。
何が異なる?いろいろですね。
この訳の方の文に出会って良かったけど、お名前表示が無くて残念。
「大理石の台座」比喩理解って、ミッシェル ポルナレフさんの個性が見えていないと、判らないかも知れませね。ステキに訳されていい感じな歌詞感情移入出来ました。macherie!イェーイです。
麦わら帽子さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
私の名前がなくて失礼しました。
ブログの記事なので、いちいち名前は書いておりませんが
penと申します。
記事を楽しんでいただけてよかったです。