「虎と小鳥のフランス日記」最新号、第154話は、「カミーユと劇場へ」というタイトルがついています。
カミーユがベルヴィル劇団の演劇を見て、そのあと友達と感想を言い合ったり、演出家にインタビューしていました。
劇の一部も入っていて長かったです。6分
内容濃かったですね。
では、冒頭の1分半をサンプルビデオでごらん下さい。
劇も少し見られますよ。
セリフの中に一つ目のキーフレーズが入っています。
★2015/01/24追記
「虎と小鳥のフランス日記」の配信が終了したため、サンプル動画も削除されました。あしからずご了承ください。
少しコメディも入ってる感じですね。
★きょうのメニュー
それでは、復習行ってみよう!
サンプルビデオのスクリプトと和訳
Nous sommes à Belleville, et aujourd’hui nous allons rejoindre nos amis, pour aller voir une pièce de thêatre.
~~~~~
Dominique, est-ce que tu peux me dire quel est ton animal préféré ?
Le lion.
Ok Dominique. Vends-moi cette brosse à dents en faisant le lion. Allez. Allez ! Encouragez-le.
Dominique ! Domoinique ! Dominique ! Stop ! Ça suffit. T’est un lion !
Ouaiiiiii !
Vas-y, vends-le-moi !
Ah ahhhh ! Qui veut avoir les chicots propres ? C’est moi !
ベルヴィルにいます。きょうは、友達に合って、劇を見に行きますよ。
~~~~
ドミニック、好きな動物を教えてくれませんか?
ライオンです。
では、その歯ブラシをライオンのふりをして売ってみてください。さあ、さあ。彼を応援して。
ドミニック、ドミニック、ドミニック、ストップ。それで充分。きみはライオンだ。
グルルルル・・・
さあ、それを僕に売って!
え~、グルルル きれいな歯を欲しい人は誰?それは僕だ!
~~~~
chicot 歯の残根、味噌っ歯
この歯ブラシでしっかり磨けば、年をとったあとも、きれいな歯が残っている感じでしょうか?
ちなみに、ここは仕事の面接の場面です。
俳優のオーディションではなく。
この会社は歯ブラシを売っているんでしょうか?
4つのキーフレーズと解説
Vas-y さあ、それ行け
ライオンになって、歯ブラシを売るように、という場面に出てきています。
さあ
Vas-y !
これは決まり文句。行動を促す表現です。
vas は aller の tu の活用。
vousの相手に言うときは、
Allez-y ! さあ、お先にどうぞ。
Ah la vache ! すごい!
これも劇のセリフ。
ライオンになった様子をほめて
すごい!
Ah la vache !
Ah la vache ! は間投詞のように使う決まり文句
意味は、ちくしょう;(反語的に)すごい、さすが。
Ah la vache, il a encore pris mon vélo.
ひどい!彼、また僕の自転車使った。
La vache ! comme c’est bon, ce vin !
すごい!このワイン、めっちゃおいしい。
くだけた表現なので、そのようなシーンで使います。
vache は 雌牛
日本語のちくしょうも「畜生」ですから似てますね。
でも「ちくしょう」って今、あんまり使わない感じがします。
私の母は時々使います。
Ça me la patate と comment on dit
劇が終わって、フロ(久しぶりの登場)が感想を言います。
よかった。いい意味でサプライズだった、というフロ。
なんて言うか、元気になるよ。
…ça met la patate, comme on dit.
ça met la patate
patate サツマイモ は口語で「元気、活力」という意味があります。そこで、ça met la patate (直訳 サツマイモを置く、入れる)= 元気が出る。
似た表現で
Ça donne la pêche. (直訳 桃を与える)というのもあります。
avoir la pêche で 元気です、好調だ、
という熟語あり。
元気だと、ほっぺが桃のような色、つまり血行がいい感じになるからでしょうか。
サツマイモも桃も、ともにカジュアルな表現です。
comment on dit
よく言うように、いわば
dit は dire (言う)
直訳すると、人が言うように⇒言わば
これも決まり文句です。
同じ意味の表現: comme dit l’autre
C’est, comme on dit, une langue de vipère.
あれはいわゆる毒舌家だ。
フランス語の「敬具」
今回、カミーユたちが見た劇は、 «Veuillez agréer»というタイトルの現代劇。
veuillez は vouloir (~を望む)の vousに対する命令法。
agréer は 願い、謝罪などを受け入れる、という意味。
つまり、直訳は「(以下のものを)受け入れていただけませんか」
Veuillez agréer は手紙の結ぶに使う言葉の冒頭。
フォーマルな言い方です。
日本語にすると「敬具」。
「敬具」はたとえば、
Veuillez agréer, Madame, Monsieur,(l’expression de) mes salutations distinguées.
(直訳:私の格別の挨拶を受け取ってください)
あるいは、
Recevez l’assurance de mes sentiment distingués.
男性のみへの手紙は Monsieur
女性のみへの手紙は Madameを入れて、
l’expression~のところは以下のようなバリエーションがあります。
l’expression de mon respect
l’expression de mes sentiments respectueux
l’hommage de mon profond respect
sentiment distinguésやsalutations distinguées
の distingué はその前の名詞に性数一致させます。
これは、フォーマルな手紙の結びで、親しい間柄なら、
A bientôt
Amicalement
などで大丈夫です。
劇«Veuillez agréer»
カミーユたちの見た劇、«Veuillez agréer» はベルヴィル劇団(Théâtre de Belleville)の出し物。同じ学校で演劇を学んだ人たちが母体の劇団です。
カミーユの友達(の友達?)みたいですね。
«Veuillez agréer»(スクリプトでは、「お願いします」と訳してありました)はこの劇団の2つ目の作品。
テーマは仕事で、面接に来た4人の過去と未来を描いているとか。
サンプルの動画では、机と歯ブラシが小道具として出てきました。
でもそれ以外のものは役者がからだを使って表すようです。
ライオンの面接のあと、筆記試験を受けてる場面や、エレベーターに乗っている場面がありました。
このエレベーターは4人がからだを使って、上昇している場面を表していましたよ。
動きがあって、おもしろかったです。
演劇はセリフをしっかり言うはずですが、聞き取りは難しいです。
というのも現代劇ってシチュエーションが奇想天外ですからね。
そういう意味では、「ライオンのふりをして歯ブラシを売る」というのは、わりとわかりやすいほうなのかもしれません。
「ライオン歯磨き」ってありますよね。ライオンの歯って丈夫で美しい歯の象徴なのでしょうか?
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