「虎と小鳥のフランス日記」のバックナンバーのご紹介です。きょうは、第62話。
この回では、カミーユがオペラ座のレペットへ行き、ダンス用シューズを買います。レペットというのは、フランスの有名な靴のブランドですね。
この回は2週分のボリュームがあり、店員さんもふつうにしゃべっているので難易度が高いです。
このエピソードのサンプルはありません。
■ きょうのメニュー
●3つのキーフレーズと解説
●レペットの歴史
それでは、復習、行ってみよう。
3つのキーフレーズ
いわゆる
カミーユがお店で。
私が好きなのはこのデザイン。いわゆるサロメの形(Tストラップシューズ)です。つまり、これがついているものです。
まさにこんなふうな靴がほしいのです。
Alors ce que j’aime c’est euh… la forme, ce qu’on appelle la forme Salomé. C’est-à-dire avec… ça. Et ça justement, je voudrais des chaussures euh comme ça.
ce qu’on appelle … 私たちが…と呼ぶもの⇒いわゆる
これはこのかたまりで出てきます。
comme ça こんなふうな
いい感じです
靴をはいてみました。
店員:サイズに関してはどうですか?
カミーユ:いいようです。えっと、履いてから見てみます。
店員:お客様は38くらいですね。
Au niveau de la pointure, ça… ?
Ça a l’air d’aller. Euh…j’vais… j’vais voir après… en mettant.
Vous faites un petit 38, alors.
au niveau de ~に関して
pointure (手袋、靴、帽子などの)サイズ
Quelle pointure faites-vous ?
お客さまはどのサイズですか?
Ça a l’air d’aller.
合うようです。
avoir l’air + 形容詞 de + 不定法
~であるようである、~のように見える
Ces pommes ont l’air bonnes.
このリンゴはおいしそうです。
このaller は 合う、ふさわしい、という意味です。
Cette clef ne va pas à la serrure.
この鍵は錠前と合わない。
たぶん~でしょう
ほぼ買う靴を決定したあとで、店員さんに、別サイズでもいいかもしれないが、それで完璧にあっている(…là c’est parfait.)と言われて。
はい、そうですね。これで、じゅうぶんいいと思います。でもあとで試すだけ試してみようかしら。
Ouais, c’est, ben, pfff. Ecoutez, je me sens assez… assez bien. Après peut-être qu’on peut essayer, du coup euh…
peut-être que +直接法/条件法
たぶん~だろう
Peut-être qu’il neigera demain.
たぶん明日は雪です。
Après peut-être qu’on peut essayer
あとで、ためしてみることもできるだろう⇒あとで、試してみてもいいです。できれば、試します。ここでは「試してみたいです」というニュアンス
レペット Repetto
レペットはフランスの靴メーカーです。
その始まりは、1947年。 ローズ・レペットが、オペラ座のそばのアトリエで、ダンス用の靴を縫ったのが始まり。ローズの息子はローラン・プティ(バレエダンサーで振付師)で、彼に靴を縫うことを勧められたのです。
女優、ブリジット・バルドーに作った、Cendrillon(サンドリオン。シンデレラ)という靴で話題になります。バルドーがこの靴をいたく気に入り映画やプライベートではいたからです。
BB(ベベ)と呼ばれているバレリーナシューズ。
バルドーは真っ赤なのを普段用の靴としてはきました。
BBはブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)のことです。
この靴、レペットの店員さんもはいていました。はきごこちがいいらしいです。今は、いろいろな柄のがあります。
10年ほど後、50年代の終わりに、ローズは、ラ・ペ通りに店舗をかまえます。ここは、世界中のダンサーに愛される店となりました。
70年代にはゲンズブールがジジ(Zizi)という靴を気に入り、よくはいています。この靴は、ローズ・レペットが義理の娘にあたる、バレリーナのジジ・ジャンメールのために作ったもの。
男女、両方のデザインがあります。
ゲンズブールは白いのをはいてよく写真にうつってます。
86年、ローズ・レペットがなくなってから、借金がかさみ、事業は低迷。
1999年にジャン=マルク・ゴーシェがCEOとなり、このメーカーに息を吹き込みました。彼は有名デザイナーとのコラボレーション戦略で、市場に返り咲くことに成功。
今はご存知のとおり、ダンス用の靴なら「レペット」というブランド力のあるメーカーです。
もちろん、フランスでも人気がありますが、日本と韓国ですごく売れているそうです。
レペットは財団を作って、子どもたちが学ぶダンススクールの援助もしています。バッグや香水も売ってますね。
レペットは、縫製技術にこだわっています。
こんな感じでシューズを製造。
縫製の学校を作り、6ヶ月かけて従業員にトレーニングをします。6ヶ月って長いですよね。
その研修を終えると、レペット独特の« cousu retourné (返し縫い?)»という技術を習得できるそうです。
こちらはレペットのプロモーションビデオです。
☆関連記事もどうぞ
バレエ⇒パリ・オペラ座バレエ学校の『小さなネズミたち』
オペラ座
⇒第34話 パリのオペラ地区の日本人街
レペットが財団を作ったのは、恵まれない子どもにも踊るチャンスを与えたり、踊りに親しんでもらうのが趣旨だそうです。
私の娘もバレエを長く習っていました。トウシューズって消耗品です。踊るための靴だから当然といえば当然ですが。けっこう高いんですよね。トウシューズを買い替えると、ふところが痛みました。
踊りだけで生計をたてるのもなかなか大変だと思います。
この記事へのコメントはありません。