きょうご紹介することわざはこちらです。
Quand le vin est tiré, il faut le boire.
酒が抜かれたら飲まねばならない
酒が抜かれたら飲まねばならない
「酒を抜く« tirer le vin »」とはワインの樽の栓を抜いて、ワインを汲み出すこと。いったん栓を抜いて、ワインをグラスに注いだら飲まなければいけない、という意味です。
ふつうワインをグラスに注いだら、周囲の人はそのワインが飲まれることを期待しますよね。当然の帰結といいましょうか。
「ワインを飲みます」と言って、注いでもらったら最後まで飲まなければいけないのです。
つまり、「何かをやり始めたら、最後までやり通さなければいけませんよ」、ということです。
また、自分が何かをやり始めてミスをしてしまったり、まずいことがおきても、最後まで責任を取らなければいけない、という意味で使われることもあります。
初志貫徹せよ、ということです。
自分が決めてやり始めること。たとえば、ダイエットとか禁煙などは一人でやるものだから、途中でやめても、あまり他人に迷惑がかかりません。
でも、会社のプロジェクトとか、共同事業とか、複数の人間でやり始めてしまったことは、自分がさじを投げたらほかの人の人生に影響を及ぼしてしまいます。こういうのは特に途中で放棄しないようにしなければなりません。
よくわかる!フランス語の文法解説
単語の意味
quand ~する時に、~すると
le vin ワイン あるいは酒
tiré < tirer tirerは「引っ張る」という意味の動詞。この場合は、水や成分などを汲み出す、ということ。
tirer le vin du tonneau 樽からワインを出す。
tirer le jus d’une orange オレンジの汁をしぼる
il faut ~しなければならない
le = le vin 汲み出したそのワイン
boire 飲む
boireの現在形の活用
REで終わる動詞です。
活用語尾は、ふつうの
s-s-t-ons-ez-ent ですが、
その前の語幹が3種類あります。
つまり、 boi, buv, boiv の3つです。
je bois
tu bois
il boit
nous buvons
vous buvez
ils boivent
直訳
いったん(樽から)汲み出されたワインは飲まなければならない。
似ていることわざ
On ne change pas les chevaux au milieu de gué.
浅瀬の真ん中で(⇒川を渡っている途中で)馬を替えてはいけない
⇒難局にあたって、スタッフの首をすげ替えてはいけない。
chevaux cheval 馬 の複数形
gué (歩いて渡れる)浅瀬
日本語では
「乗りかかった船」
英語では
He that is out at sea, must either sail or sink.
海に出たからには、進むか沈むしかない。
ということわざがあります。
★ことわざの記事の目次を作りました。ご利用ください。
その1⇒フランス語のことわざ~目次 その1
私はこのことわざを見ると、いつも
酒は飲め飲め 飲むならば
日(ひ)の本(もと)一の この槍(やり)を
飲みとるほどに 飲むならば
これぞまことの 黒田武士
という歌を思い出します。黒田節ですね。
子どもの頃、本当に槍を飲むのかと思っていました。
なんだかすごい覚悟を感じたものです。
きょうのことわざも、ちょっとした覚悟が問われることわざですね。
それでは、次回のことわざの記事をお楽しみに。
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